2009年4月7日火曜日

九州・パラオ海嶺

第1回の「襟裳海山」、第2回の「第一鹿島海山」に続き、「グーグル・マップを使ったプレートテクトニクス名所巡り」シリーズの第3回目です。今回は九州・パラオ海嶺をとりあげます。

九州・パラオ海嶺は、ニューギニア島北西端のドベライ半島(通称「鶏の頭」)付近から出発して、パラオ諸島を通り、九州の南東で南海トラフに沈み込んでいる長大な海底山脈です。

第1回でとりあげた襟裳海山は裾野が海溝軸に到達して崩れ始めた段階、第2回の第一鹿島海山はさらに海溝軸に近づいて山体の半分が海溝に崩落、海溝の陸側斜面に一部が付加し始めている段階でした。今回の九州・パラオ海嶺の北端部では、さらに段階が進んで、すでに複数の海山が南海トラフからユーラシア・プレートの下に完全に沈み込んでおり、トラフの陸側にU字形に凹んだ痕跡が残るだけになっています。


大きな地図で見る

上に掲げたグーグル・マップで、マークがつけてある地点は、4月5日18時36分頃に発生した地震(M5.6、深さ約30km、最大震度4)の震央です。南東方向からこの震央に向かって延びているのが九州・パラオ海嶺です(地図が小さい状態の場合、九州・パラオ海嶺が範囲外になってしまうので、「大きな地図で見る」をクリックするか、地図をスクロールさせて南東(右下)部分が地図の範囲内に入るようにしてください)。この海嶺が陸側プレートに沈み込む地点がU字形に凹んでいる点と、海嶺の延長方向に日向灘の地震の震央がある点に留意してください。沈み込んだ九州・パラオ海嶺の海山が、アスペリティとして地震の発生場所になっていることが想像できると思います。

今回紹介したようなU字形の地形は、世界の海溝でいくつも見つかっており、プレート移動の証拠となっています。代表的な例は、中米コスタリカ沖の中米海溝の陸側斜面に見られる海山群と海台の沈み込みにともなう地形です。これについては、別の機会に紹介したいと思っています。

グーグル・マップの操作法はご存知の方が多いと思いますが、念のために書いておきます:
  • マップの左下にある「大きな地図で見る」をクリックして、広い範囲を表示することをおすすめします。
  • マップ上でマウス・ポインターが「手」の形になっているときに、左クリックしたままマウスを動かすことによって、マップを任意の方向にずらすことができます。
  • マップの左上部にある「+」か「-」を左クリックすることによって、マップの縮尺を変えることができます。
  • 拡大率をあまり大きくすると「この地域の詳細画像は表示できません」などのメッセージや空白がマップに表示されることがあります。
  • マップ上の任意の地点をダブル・クリックすると、その地点を画面の中央に持ってくることができます。
  • 「日向灘 深さ 約 30km M5.6」と書かれた震央を示す吹きだしは、その右上にある「×」をクリックすれば消えます。再度表示するには、震央につけられたピン形のマークをクリックします。