間もなく(注)超新星爆発を起こすと言われているオリオン座の1等星ベテルギウスの最新画像が公開されました。イギリスのジョドレル・バンク天文台を中心として複数の電波望遠鏡を連結して構成した電波干渉計(e-MERLIN radio telescope array)で観測された結果です:
- Mysterious hot spots observed in a cool red supergiant (冷たい赤色巨星の中に不可解なホットスポットを観測)
Credit: University of Manchester (クリックで拡大) |
図1(サイズ注意:4.3MB): ジョドレル・バンクのラベル電波望遠鏡とオリオン座。四角内は e-MERLIN によって得られたベテルギウスの姿。
図2(サイズ注意:1.0MB): ジョドレル・バンクのラベル電波望遠鏡とオリオン座。
図3(47KB): e-MERLIN によって得られたベテルギウスの姿。画像の縦は1秒角、北が上、東が左。観測周波数は 5.5~6.0GHz(波長は約5.2cm)。色によって明るさを表しており、赤色が最も微かで、白色がもっとも明るい部分。
図4(53KB): e-MERLIN によって得られたベテルギウスの姿。黒円は可視光線で見た時のベテルギウスのサイズ。
図5(58KB): e-MERLIN によって得られたベテルギウスの姿。同心円は、内側から木星、土星、天王星、海王星の公転軌道の大きさ。
図3、図4、図5に写っているのは、ベテルギウス本体ではなく、電波を放っている大気の最外層です。可視光線で見た場合の光球ではありません。
ベテルギウスに超新星爆発が迫っているからこんなに不規則な形をしているのでしょうか。それとも、赤色巨星は一般にこんな風になっているのでしょうか。明るく見えているホットスポットは、対流によってベテルギウスの深部からわき上がってきた高温の物質なのか、それとも、大気外層の薄い部分で内部が見えているだけなのか、わかっていません。
地球からベテルギウスまでの距離は、資料によって多少ちがいがありますが、約650光年です。今この瞬間に超新星爆発を起こしていたとしても、人類がそれを知るのは650年後になります。
(注): 「間もなく」といっても天文学的な時間スケールの話ですので、明日かも知れないし、百万年後かもしれません。
関連記事
- ヴァチカンは三千光年の先だ (08年12月26日)
- 送電線は動物の方向感覚を乱す (09年6月10日)
- ベテルギウスが収縮 (09年6月14日)
- ベテルギウスに超新星爆発の兆候 (10年1月10日)
- 北斗七星のそばに明るい超新星 (11年9月8日)
- 「超光速」ニュートリノの謎が解けた!? (11年10月16日)
- オリオンの心臓 (11年10月29日)
- 超新星爆発まぢかのベテルギウス (12年8月28日)