今朝 TBS TV で放送された、関口宏がメイン・キャスターをつとめる「サンデーモーニング」でも、この話題を取り上げていました。それはいいのですが、某レギュラー・コメンテーターが訳知り顔で、太陽活動の低下と地震増加を結びつけるトンデモ説すれすれの講釈を垂れたのには唖然とさせられました。こういう頭の人が、ふだんは偉そうに政治や経済について論評しているのですから、何をか言わんやです。
海外のニュースサイトでも、大地震が異常に多いのではないかとの疑問を扱った記事を掲載しています:
- The science behind the many seismic headlines (イギリス タイムズ・オンライン)
- Quake frequency normal, scientists say (アメリカ CNN)
USGS(アメリカ地質調査所)も問い合わせが多いためか、以下のような記事を自身のウェブ・サイトに掲載しています。上記の報道記事も、結論はこの USGS のものと同じです:
- Is Recent Earthquake Activity Unusual? Scientists Say No. (最近の地震活動は異常か? 科学者の答えは「ノー」)
USGS のサイトに掲載されている USGS オリジナルの情報はパブリック・ドメインであると明記されていますので、著作権の心配をせずに全文を以下に “適当”訳します:
4月13日に中国でおきた悲劇的な M6.9 の地震、それに加えてハイチ、チリ、メキシコなどでおきた一連の破壊的な地震を見て、多くの人たちが地震活動が異常なのではないかとの疑念を抱いています。
科学者たちは、2010年が異常に高い地震活動の兆候を示しているとは考えていません。1900年以降の統計によると、世界ではマグニチュード 7 以上の地震(地震学者は “major”すなわち大地震と定義しています )が毎年平均 16回発生しています。発生回数は年によってかなり変動します。1986年や 1989年のようにわずか 6回しか発生しなかった年もあれば、1943年のように 32回も発生した年があります。
2010年は、最初の 4ヶ月で 6回の大地震が発生していますが、これは十分に正常の範囲内です。さらにつけ加えるならば、2009年4月15日から 2010年4月14日までの 1年間では、18回の大地震が発生していますが、この数字も予期される変動の範囲内に十分に収まっています。
「地震の発生回数が正常の範囲内に収まっているからといっても、それが人口の多い地域での大規模な破壊と人命の損失がおきたという事実を減殺するわけではありません」と USGS で地震災害についての副調整官を務める Michael Blanpied 博士は語っています。
今後どのようなことがおきるのでしょうか? 大地震がおきた地域の周辺では余震が続くでしょう。余震の規模がこれまでおきた地震より大きい可能性は低いですが、これまでの地震によって損傷を受けている建造物では、さらに損傷が広がる可能性があるので注意が必要です。ここ数ヶ月におきた地震によって、現在続いている余震のほかに、将来の大地震の可能性が高まったということはありません。しかし、その可能性が減少したわけでもありません。大きな地震は、過去と同じようにおき続けます。
最近おきている地震は異常ではないとはいうものの、人口の多い地域 ― 特に、建物が強い揺れに耐えられるように設計されていない地域 ― で地震が発生すれば大災害になる可能性があるということを、これらの大地震が明確に注意喚起していることを忘れてはなりません。私たちはどんな備えをすればよいのでしょうか? 科学者たちは、特定の地震についていつ発生するかを予知することができません。しかし、家庭や地域社会で、住居・仕事場・学校・企業が地震に対して安全になるように対策を講じれば、自らの安全性を高め、損失を減らすことができます。USGS では、地震に対してどのような備えをするべきかについての情報を Earthquake Hazards Program (地震災害計画)のウェブ・サイトで提供しています。
(English version credit: U.S. Geological Survey)
結論は、地震は増えているわけではない、ということです。地味な内容ですが、センセーショナリズムやトンデモ説の対極にあり、感覚ではなく数字に真実を語らせる科学とはこういうものだろうと思います。
大地震が増えているように感じるのは、今年は人口の多い地域やその近くで大地震がおきて甚大な被害があり、盛んに報道されている事が大きな理由であろうと思います。