雨と地震の関係
地震前兆関係の掲示板やホームページでは、「雨が降っているときには地震が少ない」とか「降雨は地震を抑圧する」ということが、しばしばまことしやかに語られます。もともと降雨日数は、そうでない日数より大幅に少ないので、雨と結びついて記憶される地震が少なく、そのような錯覚が生じるのも無理からぬことです。そのような錯覚に陥らぬためにも、今回の駿河湾の地震は雨、それも大雨の最中に発生したと言うことは記憶にとどめておくべきだと思います。
月齢
月齢と地震の関係も地震前兆関係の掲示板やホームページではよく話題になります。「満月トリガー」、「新月トリガー」、あげくの果てに「半月トリガー」まで。それらのトリガーで危険日とされる日数、たとえば当日プラス前後 2日(合計 5日)とすると、1朔望月(約 29.5日)のうち、実に 20日(5日×4回)が危険日になってしまいます。今回の駿河湾の地震は、月齢 19.7 の時点で発生しました。8月 6日が満月、8月 14日が下弦ですから、どの「トリガー」にも該当しません。
鉄道の運行障害はあったのか
地震前兆関係の掲示板やブログでは、鉄道の運行障害が起きると、短絡的に「断層からのイオン」や「断層からの電磁波放射」が原因だの、VVVF 制御(可変電圧可変周波数制御)を採用している車両は電磁気的な妨害に弱いだの、と断ずる向きがあります。今回の地震が起きたと考えられる「静岡-石廊崎-新島 構造線」の北西方向への延長は、交通の大動脈である東名高速道路や東海道新幹線の軌道を横切っていますが、その付近で地震の前に「断層からの電磁波放射」などによって自動車や新幹線に運行障害が発生することはありませんでした。この付近を通る東海道新幹線の車両は、現在ではすべて VVVF 化されているのですけれど。
なお、公平を期するために付け加えますが、地震の 2日後の 13日には、余震の揺れによる停電で、新幹線が 10分間ほど運転を見合わせています。
【2009年10月27日追記】
上記の「鉄道の運行障害はあったのか」の記述に対して、以下のようなコメントがありました(「地震の掲示板ブログ」 http://8816.teacup.com/tamajin/bbs/2265 より引用):
それはそうですよ、NEMOさん。だって、地震の発生が早朝の早い時間帯ですから運転本数も少ないですし、鉄道障害が出るはずも無いです。このコメント、どういう意味があるのでしょうか。なんの説明にもなっていないと思います。私が、「その付近で地震の前に (中略) 自動車や新幹線に運行障害が発生することはありませんでした」と書いたのは、地震当日早朝の時間帯に限定した話ではありません。それ以前から、当該地域で自動車や新幹線に運行障害が発生していなかったと書いているのです。地震前の短い時間帯だけが対象ではなく、もっと長い期間について述べています。
(中略)
鉄道自体の障害については、地電位上昇と深い関わりが有る・というのはずっと記載しているはずです。
ひょっとして、この人物は「鉄道の運行障害は、地震発生の直前にしか発生しない」と断定しているのでしょうか。そう断定できるのであれば、この人物がしばしばおこなっている、鉄道の運行障害と地震を安易に結びつける主張も検証が非常に容易になります。運行障害の数時間後、あるいは半日後程度までの間に、障害のあった地域で地震があったかを調べれば良いのですから。
「~というのはずっと記載しているはずです」は脈絡が変です。このコメントをした人物は何が言いたいのでしょうか。いっぱしの権威者のつもりなのでしょうか。まるで、学校の教師が生徒に、あるいは師匠が弟子に対して「オレがいつも言ってるだろう」と叱っているかのような尊大な口ぶりです。この人物が何を記載していようが、私がそれに従う謂われはありませんし、地震の前に運行障害が起きていなかったという事実も動かせません。
この人物は同じ投稿で次のようにも書いています:
むしろ、なぜ・短絡的に何でも断定してしまうのかが非常に私自身・不思議です。断定=そこで研究がストップしてしまう事になり、それこそ不思議な現象とか自然現象、不可解な現象というのは違う考え方を持って検証も必要では。これはそっくりそのままこれを書いた人物本人に当てはまっています。自分で書いたことをよく拳々服膺して、自戒した方がよいのではないでしょうか。
【追記終わり】
(続く)