断層の変位に耐える「断層用鋼管」。大容量送水管の一部が蛇腹状になっています:
- 水道管で初のグッドデザイン賞 神戸市、断層用 (説明図あり)
- 水道管で初のグッドデザイン賞 神戸市採用「断層用」が受賞 (図あり)
もっと大規模な断層対策 ― 米国アラスカ州でデナリ断層を横切るトランス・アラスカ・パイプラインです。断層を横切る部分は、断層の変位に対して余裕を持たせるためにジグザグに敷設されています。さらに断層の変位がパイプに伝わらないように、パイプを支える脚はテフロン製の橇(そり)に載せられ、ガイドの上を滑るようになっています:
2002年11月にデナリ断層で発生した M7.9 の地震では、デナリ断層が長さ約300kmにわたって平均約5mの右横ずれを起こし、パイプラインとの交差部分では約4mのズレが生じました。パイプを支えるさまざまな装置が損傷しましたが、パイプライン本体は無事でした:
- Trans-Alaska Pipeline (TAPS) (写真多数あり)
地震によってパイプラインが破断すれば、人口が希薄な地域とはいえ大きな損害や経済的な影響が発生し、原油によって汚染された環境を元の状態にもどすには長い年月を要したことでしょう。米国地質調査所(USGS)は、「1970年代に行ったわずか300万ドルの投資によって、今日の1億ドル以上の損失を防ぐことができた」としています(遠田晋次著、「活断層地震はどこまで予測できるか」、講談社、2016)。東京電力など、原子力発電所を運営する企業には拳々服膺してほしい言葉です。
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