1991年にスペースシャトルに搭載して打ち上げられたNASAの大型人工衛星〝UARS〟(Upper Atmosphere Research Satellite: 上層大気研究衛星)が、9月下旬から10月上旬の間に大気圏に再突入する見込みとなりました。同衛星のいくつかの部品は、大気圏内で燃え尽きずに地表まで到達すると推定されています。UARS は、2005年に運用が停止され廃棄衛星用の低い軌道に移されていました:
- Defunct 6-ton satellite crashing back to Earth (機能停止した6トンの人工衛星が地表に衝突する)
- Who'll get hit by a falling satellite? (落ちてくる人工衛星に当たるのは誰だ?、動画あり)
- 衛星の破片、落ちるかも 人に当たる確率3200分の1
NASAの発表資料です:
- UARS Re-Entry Overview (UARSの大気圏再突入概説)
- Re-entry and Risk Assessment for the NASA Upper Atmosphere Research Satellite (UARS) (プレゼンテーション・パッケージ: NASAの上層大気研究衛星の大気圏再突入とリスク・アセスメント、PDF形式)
上記プレゼンテーション・パッケージの2ページ目には、シャトルの貨物室に積み込まれたUARSと作業員が写っている写真があります。人と比べることによってUARSの大きさがよくわかります。3ページ目にはUARSの高度変化を示したグラフがあります。グラフ中の〝Apogee〟は遠地点(最高点)、〝Perigee〟は近地点(最低点)を意味しています。2005年の運用停止にともなって、廃棄用の低軌道に移行した様子がわかります。9ページ目と10ページ目のグラフは、燃え尽きなかった部品が、UARSが大気圏再突入した地点からどのくらい離れた場所に落下するかを示しています。
Image Credit: Chris Peat, Heavens-Above GmbH |
上掲の報道記事によれば、「世界のだれかに当たる確率は3200分の1で、『自分に当たる確率』にすると、21兆分の1」とのこと。この確率が高いのか低いのか。少なくとも、「自分にあたる確率」がジャンボ宝くじの1等に当選する確率より6桁も低いことは確かです。
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