2010年11月5日金曜日

エポキシ探査機がハートレイ第 2彗星に接近

11月 4日、NASA の彗星探査機エポキシが 103P/ハートレイ第 2周期彗星から約 700km のところを通過しました:

上の動画には、ハートレイ第 2彗星が自転しながら周囲に物質をまき散らしている様子が捉えられています。太陽に面した側で明るく輝く雲のようなものが発生し、それが自転にともなって反対側に回り込んでいます。

エポキシ探査機がハートレイ第 2彗星に最接近したおりに撮影した画像が以下にあります。まるで異形の宇宙船です。撮影順にしたがって左上から時計回りに画像が配列されています:

さらにアップの画像が以下にあります。中解像度の観測装置を使用したとのことで、あまり解像度がよくありませんが、ガスの噴出が彗星表面のどこで起きているかがはっきりわかります。太陽に面した側、夜の側、そして明暗境界線上からジェットが噴き出ています:

同じ彗星を地上のレーダーを使って観測した画像が以下にあります。エポキシ探査機が撮影した画像と比べてみてください:

ディープ・インパクトという彗星探査機を憶えている方も多いと思います。2005年 7月にテンペル第 1彗星に銅とアルミニウムからなる 重さ 370kg のインパクター(衝突体)を打ち込み、彗星の成分や内部構造を調査した探査機です。ディープ・インパクトは、テンペル第 1彗星の調査を終えた後も燃料などに余裕があったため、新たに 2つのミッションに転用されることになりました。それがエポキシです。エポキシ(EPOXI)は、新しい彗星(つまりハートレイ第 2彗星)を探査する「DIXI(Deep Impact Extended Investigation)」と、太陽系外惑星の観測を行う「EPOCh(Extrasolar Planet Observation and Characterization)」という 2つのミッション名を合成したものです。

今回エポキシが接近したハートレイ第 2彗星は、ディープ・インパクトの時に接近したテンペル第 1彗星の 100分の 1ほどの大きさで、長径 2.2km、質量 2億 8千万トン、公転周期は 6.46年、自転周期は 18時間ほどです。

NASA では、2つの異なる彗星をまったく同じ観測機器で接近調査し比較することは非常に有意義である、としています。


過去の関連記事