近くおこなわれるオバマ新大統領の就任記念パレードに、NASA が現在テスト中の月面探検車(LER: Lunar Electric Rover)が参加することになったそうです:
リチウム・イオン電池を電源とする電気モーター駆動で、最高時速 20km、航続距離 100km。12輪6対の車輪であらゆる方向に走向可能。トイレ、キッチン、ベッドが備えられており、2人の乗員が2週間、基地から独立して生活できる機能を持っています。
上の記事の冒頭に掲載されている LER の写真では、2人分の宇宙服が車体の外側につり下げられているように見えます。宇宙服を着るために車外に出なければならないとしたら、真空に身をさらさねばなりません。実は、写真に写っている2着の宇宙服は、背中の部分で気密状態の車内とつながっているのです。宇宙服を着用して車外に出る場合には、背中側から宇宙服に滑り込みます。その後、車体から分離して歩き回れるように作られているのです。この方式により、エア・ロックの設備のためのスペースが節約でき、また、宇宙服に付着した月面の細かい塵を車内に持ち込まずにすみます。月面の塵は、アポロ計画のように短期間であればとくに問題にならなかったのですが、長期間月面に滞在し、この塵を吸い続けていると呼吸器に障害が出かねないとのことです。
LER の詳しい情報は以下の NASA 資料にあります。車体から分離した状態の宇宙服を着た人物の写真もあります。まるでドアを背中にしょって歩いているようです:
下は、ご存知ボストン・グローブ紙の "The Big Picture"です。LER のシャーシー部分がテストされている写真があります。とくにおすすめは、最後から2番目のアポロ17号の写真です。背後の山の大きさと、月着陸船の小ささの対比が印象的です: