2013年9月30日月曜日

紅海で海底火山噴火


9月28日、紅海で海底噴火が始まりました。場所はイエメン領 Jebel Zubair 島(地図)の北西で、2011年12月に新島を誕生させた噴火地点の南西になります。顕著な水蒸気の柱が立ち昇っている様子が衛星写真に写っていることなどから、噴火は水深100m未満の浅い海底で起きているとみられています:

噴火がおきている場所は、アラビア・プレートとアフリカ・プレートの境界にあたり、海洋底の拡大が起きている場所です。


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2013年9月29日日曜日

メヌケ大漁 ― 北海道苫小牧市


9月21日、北海道苫小牧市(地図)の漁港に、深海に棲むメヌケ123匹が水揚げされました。「20匹あれば大漁と言われる魚。100匹超えはここ何十年も見たことがない」:

参考までに、『広辞苑』にはメヌケについて次のように書かれています:
カサゴ科の硬骨魚で深海生の赤色種の総称。全長40~60センチメートル。眼が大きい。本州中部以北の寒海に分布する種が多い。サンコウメヌケ・バラメヌケ・コウジンメヌケ(オオサガ)など。

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エイが川を遡上 ― 千葉県千葉市


9月24日から25日にかけて、千葉県千葉市(地図)の中心部を流れる川で、アカエイとみられるエイが泳いでいるのが確認されました。場所は河口から約1km。24日には数十匹、25日には数匹。1週間ほど前から目撃されており、東京湾で発生した青潮から逃れてきた可能性があるとのことです:

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「地震島」浮上 ― パキスタン


9月24日にパキスタンで発生した M7.7 の地震(震央地図)では、現時点で500人を超える死者が出ています。

この地震にともなって、震央から約200km離れたグワダル(地図)沖のアラビア海に新たな島が現れたことは、ほとんどの方がご存じだと思います。地震の強い揺れによって、地中のメタンガスが土壌を噴き上げて形成された泥火山の可能性が高いとされています。

この「地震島」を撮影した写真や動画の中から厳選したものを紹介したいと思います。

「地震島」が出現した海域の衛星写真です。地震前と地震後を比較できます:

「地震島」をほぼ真上から俯瞰した写真。島の直径は100m弱。高さは15~20mほど:

「地震島」を斜め上から見下ろした写真。島の起伏がよくわかります:

鮮明な写真が掲載されています:

私が見た動画の中では最も鮮明なものです。エイの死骸、岩に密集して付着している貝類など、島が海中から隆起したことを示しています。岩の間から噴き出すガスに火をつけるシーンもあります:

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伊勢神宮の式年遷宮と南海地震


2013年は、20年に1度おこなわれる伊勢神宮の式年遷宮の年。今回の遷宮では、東の敷地「米座」(こめざ/こめくら)の旧社殿から西の敷地「金座」(かねざ/かねくら)に建てられた新社殿にご神体が遷ります。

《 伊勢では、古来から東の「米座」に神様がおられる時代は平和で心豊かな「精神の時代」、西の「金座」に神様がおられる時代は波乱、激動、物質欲が強い「経済の時代」として言い伝えられて 》いる、《 巨大南海地震は「金座」の時期にしか起きていない 》:

「金座」の時代に起きた主な出来事としては次のようなものがあります(地震については、被害地震のうち名前がつけられたものから抜粋):

「金座」の時期 出来事
1849~1869 黒船来航、桜田門外の変、薩英戦争、禁門の変、下関戦争、鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争、伊賀上野地震、安政東海地震、安政南海地震、江戸地震、飛越地震
1889~1909 大津事件、足尾鉱毒問題、日清戦争、日露戦争、濃尾地震、東京地震、庄内地震、三陸地震津波、陸羽地震、芸予地震
1929~1953
(戦争のため遷宮を4年延期)
5・15事件、2・26事件、世界恐慌、満州事変、日中戦争、第2次世界大戦、北伊豆地震、西埼玉地震、三陸沖地震、静岡地震、河内大和地震、屈斜路湖地震、福島県東方沖地震、男鹿地震、積丹半島沖地震、田島地震、鳥取地震、東南海地震、三河地震、南海地震、福井地震、今市地震、十勝沖地震、大聖寺沖地震、吉野地震
1973~1993 第1次・第2次石油ショック、ロッキード事件、湾岸戦争、伊豆半島沖地震、伊豆大島近海地震、宮城県沖地震、浦河沖地震、日本海中部地震、長野県西部地震


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2013年9月28日土曜日

十勝地方に地震雲?


「カチマイ」こと『十勝毎日新聞』の記事です。9月26日、十勝地方(地図)の広い範囲でうろこ模様が重なった帯状の雲が見られ、「地震雲」ではないかとの憶測が広がったとのことです:

言うまでもないことですが、《 地震雲には明確な定義がなく、地震予知との関係も「明確な科学的根拠はない」(帯広測候所) 》。仮に今後、強い地震が発生したとしてもそれは偶然そうなっただけのことです。

掲載されている写真は、樹木の歪み具合などから判断して、明らかに広角系のレンズで撮影されたもので、雲が放射状に広がる様子が実際よりも強調されています。


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2013年9月27日金曜日

樽前山で地震増加 ― 北海道苫小牧市、千歳市 (続報-4)


8月12日付「樽前山で地震増加 ― 北海道苫小牧市、千歳市 (続報-3)」の続報です。

気象庁が9月27日に発表した「平成25年 No.39 週間火山概況 (平成25年9月20日~9月26日)」によると、9月23日に樽前山(地図)付近でマグニチュード3.0の地震が発生したとのことです:
山体西側を震源とする地震活動は徐々に低下しつつありますが、23日02時34分にマグニチュード3.0の地震が発生し、伊達市大滝で震度1を観測しました。その後の地震活動は低調に経過しています。山頂溶岩ドーム直下の地震活動には、特段の変化はありません。

山頂溶岩ドーム周辺では、1999年以降、高温の状態が続いていますので、突発的な火山ガスの噴出に注意してください。

樽前山では、6月下旬から7月上旬にかけて、観測開始以来初めてとなる地殻変動が発生しています。詳しくは、関連記事「樽前山で地震増加 ・・・」をご覧ください。


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阿蘇山の噴火警戒レベル引き上げ (続報)


9月25日付「阿蘇山の噴火警戒レベル引き上げ」の続報です。

気象庁が9月27日に発表した「平成25年 No.39 週間火山概況 (平成25年9月20日~9月26日)」によると、阿蘇山(地図)では火山性地震が非常に多い状態が続いています:
火山性地震は26日現在も非常に多い状態が続いており、日発生回数は、23日62回、24日2,413回、25日1,925回、26日1,112回です。また、26日の現地調査でも、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,000トンと多い状態が継続しています。

なお、24日に実施した中岳第一火口の現地調査では、湯だまりの量は3割(前回9月17日、4割)で、温度は76℃(前回9月17日、76℃)とやや高い状態ですが、火口内及びその周辺の状況に特段の変化は認められませんでした。GPS連続観測では、火山活動によると考えられる変化は認められません。

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イエローストーンの3ヶ所で群発地震が同時発生


9月10日から15日にかけて、米国イエローストーン国立公園の3ヶ所で同時に群発地震が発生したとユタ大学が発表しています。3ヶ所とは、Lewis Lake(地図)近傍、Lower Geyser Basin(地図)、Norris Geyser Basin(地図)北西部です。地震の規模は M0.6 から M3.6 で、一部は有感地震となっています。上記期間に発生した地震の総数は130ですが、最新の地震リストによれば、まだ完全には終息していないようです:

ユタ大学の地球物理学教授で53年間にわたってイエローストーンやその周辺の地震活動を研究してきた Bob Smith 氏によれば、このように群発地震が同時に発生するのは初めて。1959年に Hebgen Lake(地図)で発生した大地震(M7.3)の余震と考えられるとのことです。


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2013年9月26日木曜日

東北地方の5火山地域で不穏な動き


以下は『週刊朝日』所載の記事ですが、このブログの7月1日付「東北地方の5火山、5~15cm沈降」で触れた『Nature Asia』の記事とほぼ同じ内容です:

東北地方の5つの火山地域で、地盤が局所的に沈降していることが判明。沈降は5~15cm。5つの火山とは秋田駒ヶ岳、栗駒山、蔵王山、吾妻山、那須岳。マグマだまりを中心とした高温で強度が弱い地盤が、東北地方太平洋沖地震にともなう地殻変動によって水平方向の伸張応力を受け沈降したと考えられています。

5つの火山のうち、秋田駒ヶ岳、蔵王山、吾妻山では、火山性微動や火山性地震などが増加したり、傾斜計に変動が現れるといった噴火の前兆ともみられる変化が起きています。詳しくは以下の関連記事をお読みください。


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2013年9月25日水曜日

阿蘇山の噴火警戒レベル引き上げ


阿蘇山(地図)では、9月7日ごろから火山性微動の振幅が大きくなるなど不穏な兆候が現れていましたが、福岡管区気象台は25日15時40分、同山の噴火警戒レベルを 1(平常)から 2(火口周辺規制)に引き上げました。

《 阿蘇山では、23日夜から火山性地震の回数が増加し、本日(25日)にかけて、非常に多い状態となっています 》、

《 本日実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1900トン(前回19日、500トン)と多い状態となっています 》、

《 火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください 》:

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近畿圏中心領域大型地震 (続報-18)


9月7日付「近畿圏中心領域大型地震 (続報-17)」の続報です。

八ヶ岳南麓天文台の串田氏が更新情報を9月21日に出しています:

内容を要約すると以下のとおりです:
  • ステージ6前兆群が継続中。
  • これらの前兆群で、これまでに4つの極大を観測。
  • 「前兆初現→極大→地震発生」の時間間隔についての経験則を当てはめると、4つの前兆すべてが 10月5日前後の地震発生を示唆。
  • 10月5日± に地震発生の場合、10月2日± にすべての前兆が終息する見込み。
  • 前兆群の継続時間は次第に短くなっている。ステージ4が345日、ステージ5が134日、ステージ6が30日。仮にステージ7があるとしても継続時間は1週間程度。現行のステージ6が最終前兆群である可能性あり。

ちなみに10月5日は新月です。


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2013年9月22日日曜日

火星の奇妙な溝


NASAの火星探査車キュリオシティが撮影した火星の地面。奇妙な浅い溝のようなものが、石ころの散乱した地面を蛇行しています:

上記は、NASAが公開している “Raw Images”(未加工、未調整の画像)に含まれている画像で、NASAによる成因などの解説はありません。

この他の Raw Image をご覧になりたい方は、以下のページからどうぞ。ほぼ毎日更新されており、現時点で8万4574枚の画像が公開されています:

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こんな金環日食はいやだ (続報)


9月7日付「こんな金環日食はいやだ」の続報です。

8月20日に火星で見えた金環日食の動画です。動画の長さは、実際の日食の継続時間と同じ32秒間です:

いびつな形の黒い影が太陽を横切っていきます。このような日食が地球で見えていたら、どのような神話が生まれていたでしょうか。


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アイソン彗星が軌道変更、フォボスに向かう?


10月1日に火星に最接近するアイソン彗星(C/2012 S1)。この彗星の挙動について、ロスコスモス(ロシア連邦宇宙局=Roscosmos)が作成し、クレムリン(ロシア政府)内部に配布された報告書には、次のように書かれているとのことです ―― アイソン彗星は火星に近づくにつれて複数回の軌道修正をおこない、火星の「不自然な衛星」フォボスに並行しようとしているように見える:

上記記事によると、ロスコスモスの報告書は 《 アイソン彗星は「泥混じりの汚れた雪の玉」などではなく、実際は知的に制御された恒星間飛行物体で不明の使命を帯びてフォボスに向かっている可能性がある 》 とまで述べているとのことです。

記事はさらに、フォボス空洞説(フォボス人工物体説、すでに否定されている)や最近のESA(欧州宇宙機関)の発表(フォボス内部には大きな空洞がある)を援用して、アイソン彗星がフォボスに向かう理由付けをしようとしています。

しかし、アイソン彗星の進路が事前に想定されていた軌道からずれているという事実はありません。全くの作り話です。もし、そのようなことがあればNASAも黙ってはいないでしょう。仮に隠蔽しようとしても不可能です。世界中の研究者やアマチュア天文観測者がアイソン彗星を追跡しているのです。事実を隠し通せるはずがありません。

どうやら、この話の出所は〝Internet Hoax Queen〟(インターネット上のでっち上げ女王)と呼ばれる女性(実は男性?)のようです。

世間の耳目を集める彗星が出現すると、必ずと言ってよいほど、この種の「作り話」を流布しようとする人が出てきます。エレーニン彗星(エレニン彗星)のときにも以下のような話がありました:

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2013年9月20日金曜日

小惑星が相次いで地球に接近 (続報-3)


9月14日付「小惑星が相次いで地球に接近 (続報-2)」の続報です。

さらに4つの小惑星が地球に接近しました(青字で示した小惑星):

小惑星 直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(*)
2013 RO5 47 9月1日 14:55 8.34
2013 RG 6 9月3日 19:27 0.59
2013 RZ5 10 9月4日 16:00 1.15
2013 RO30 9 9月4日 18:47 0.76
2013 RF32 8 9月5日 20:26 0.44
2013 QE16 22 9月5日 20:43 8.19
2013 RQ5 27 9月6日 15:40 4.77
2013 RR43 36 9月8日 08:40 1.47
2013 RS43 18 9月14日 01:07 2.88
2013 RT73 49 9月16日 18:58 8.27
2013 RM73 20 9月17日 09:37 2.28
2013 RF74 25 9月19日 01:53 5.52
2013 RZ53 3 9月19日 07:51 0.63
*: 地球-月の平均距離=1

表の一番下に示した小惑星〝2013 RZ53〟は9月13日に発見され、9月19日に地球に接近して月の軌道の内側にまで入り込んできました。この小惑星の直径は数メートルとされていますが、このように小さい小惑星が地球接近の前に発見されるのは希有のことだそうです。

〝2013 RZ53〟はアポロ群に属し、その軌道は地球の公転軌道とほとんど重なり合っています。今後も毎年のように地球に接近しますが、今回のような「至近距離」に近づくのは前回は1954年3月、次回は2073年3月のこととされています。仮にこの小惑星が地球に衝突するとしても、大気圏で燃え尽きてしまい被害は出ません。今年2月にロシアのチェリャビンスクに落下した大隕石は、この小惑星の5倍ほどの大きさがあったと推定されています:

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阿蘇山に不穏な兆候 (続報)


9月13日付「阿蘇山に不穏な兆候」の続報です。

気象庁が9月20日に発表した「平成25年 No.38 週間火山概況(平成25年9月13日~9月19日)」によると、阿蘇山(地図)の火山性微動の振幅は17日ごろから小さくなっているとのことです:
阿蘇山では、9月7日頃から火山性微動の振幅がやや大きい状態が続いていましたが、17日頃から振幅は小さくなっています。孤立型微動、火山性地震は少ない状態で経過しています。

16日夜間に高感度カメラで確認できる程度の微弱な火映を観測しました。

17日に実施した中岳第一火口の現地調査では、湯だまりの量は4割、湯だまりの温度は76℃とやや高い状態でしたが、火口内およびその周辺の状況に特段の変化は認められませんでした。17日、19日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり500~700トン(前回5月17日600トン)と、特段の変化は認められませんでした。

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各地で野生サル出没


日本各地で野生のサルの出没が相次ぎ、襲われて負傷する人も出ています。特に九州での出没が目立ちます。

▼ 8月28日から9月9日に18人が重軽傷、6月中旬ごろから目撃あり、宮崎県日向市(地図)。サル対策繁忙で市議会が休会に。9月9日に捕獲、殺処分:

▼ 9月8日から、大阪府摂津市、大阪市、八尾市:

▼ 9月10日から15日にかけて、熊本県熊本市(地図):

▼ 9月14日から、大分県津久見市(地図):

▼ 9月17日、青森県板柳町(地図):

9月7日、大分県大分市(地図)では、イノシシの大暴走がありました:

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よくわかるプレートテクトニクスの始まりから発展まで


書評記事です。執筆者の一人・木村学氏は、私がいつも机上に置いている『プレート収束帯のテクトニクス学』の著者でもあります:

《 たいていの人は最初、「プレートの下はドロドロのマグマ」という誤解をします 》、

《 プレートは硬いはずなのに(中略)曲がりながら地球内部へ沈み込んでいくというのは、おかしいのではないか? 》、

《 「マントル対流」という言葉を聞いたことのある人は、プレートの下のマントル対流に乗って動くと考えるでしょう。しかし、近年わかってきたマントル対流の姿は、プレートの運動とぴったり一致しているわけではありません 》 などなど ――

初学者にありがちな疑問や誤解が取り上げられているようです。

私がよく耳にする誤解の一つに、「マグマはプレート同士の摩擦熱によって発生する」というのがあります。火山ができる仕組みについても触れられているようなので、この点についても、きっとわかりやすい説明があると期待しています。

プレートテクトニクスについて誤解しまくった上で、的外れな批判を繰り返している例のサイトの御仁にも読んでいただきたい本です。


中秋の名月の左右に幻月


9月19日、北海道陸別町(地図)で、中秋の名月の左右に幻月が現れました:

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2013年9月17日火曜日

餃子もメロンパンも飛んだ


「アスファルトの上に正しく並んだ餃子」、「ベランダに飛ばされてきたメロンパン」:

アイソン彗星は宇宙船か


10月1日に火星、11月19日に水星、11月28日に太陽、12月26日に地球に最接近するアイソン彗星(注)。この彗星をハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像を処理すると、3つの輝く「物体」が浮かび上がり、それらは3隻の巨大宇宙船、あるいはアイソン彗星の核とそれをエスコートする2隻の巨大宇宙船であると主張する向きがあります。世間の注目を集める彗星が近づいてくると、必ずといっていいほどこの種のトンデモ説が現れるのですが、以下の動画はその例です:

上記のような説に対して、ハッブル宇宙望遠鏡の公式サイトが解説を載せています:

説明をまとめると以下のようになります:
  • 問題となっている画像は、ハッブル宇宙望遠鏡がアイソン彗星を撮影した3枚の異なる画像を均等に合成したものである。アイソン彗星そのものが3つに分かれているわけではない。そのように見えるのは、違う時間に撮影した画像を合成したために生じた人為的結果である。

  • 合成前の3つの画像でアイソン彗星が異なって見えるのは、撮影中にハッブル宇宙望遠鏡もアイソン彗星も動いているからである(3枚とも露出時間は7分20秒)。彗星がぶれて写っているのは、走っている自動車から撮影した周囲の景色がぶれて写るのと同じ理由による。

  • 3枚の画像を撮影中、ハッブル宇宙望遠鏡はアイソン彗星ではなく、その背景にある恒星や銀河を精確に追尾していた。つまり、恒星や銀河はぶれずに写る。

  • 今回のケースでは、彗星の動きよりもハッブル宇宙望遠鏡の動きによるぶれの方が大きい。ハッブルは95分で地球の周りを一周する。3枚目の画像の露出が終わったのは、1枚目の画像の露出開始から46分後である。

  • この46分の間にハッブルは地球を半周し1万3000km離れた場所に移動している。恒星や銀河と比べると彗星までの距離は近いので、視点の移動によって彗星の位置は背景の恒星に対して変化する。この効果は視差(パララックス)として知られている。

(注): 日付はいずれもアメリカ時間です。日本時間では1日早まる場合があります。たとえば、火星と地球への最接近は、日本時間ではそれぞれ10月2日午前2時28分、12月27日午前7時42分になります。


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2013年9月16日月曜日

八甲田山の入山規制、避難計画を策定へ ― 青森県


青森県は「八甲田山火山防災協議会」を設立し、今年度末までにハザードマップの作製や入山規制計画、避難計画の策定などを行う、とのことです。

《 気象庁によると、6~8月に八甲田山付近を震源とする約140回の火山性地震(最大マグニチュード1・9)が発生。2月からは、黒石市と十和田湖の距離が約2センチ伸び、大鰐町と黒石市が約2センチ縮むなどの地殻変動も見られ ・・・ 》:

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HAARPは地震を起こせるか


わかりやすい検証記事です。HAARP地震兵器説は「都市伝説」に過ぎなかったようです。

《HAARPから強力な電磁波をビビッと出して、地震断層を刺激し、地震を引き起こすなんて言っている人もいますが、電磁波って、地中や水中に入ると急速に減衰して届かなくなっちゃうんですよ》、

《実はHAARPは今、電気が止められちゃっているんですよ》、《HAARPの公式サイトは現在アクセスできなくなっています》、

《7月半ばに電気が止められちゃって、施設も通じる道路が閉鎖されちゃったようです。どうもオカルト業界以外にはウケが悪い施設で、結局、役立たずだったらしいです》:

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2013年9月15日日曜日

地震予測ハンドブック


目次を見る限りでは、これまでの類書と比べて宏観異常について特に目新しい情報が載っているとは思えませんが、私は買うつもりです。《道具を使わずに誰にでも、すぐにできる地震予測方法の集大成!》、《専門家や研究者が無視し続けてた「宏観現象」。先人たちの知恵に学び、地震前兆をいち早くつかむ!》:

冥王星へゴー!


金曜日の『朝日新聞』朝刊には、「ボイジャー太陽系脱出」、「人工物で初」という見出しが躍っていましたが、ボイジャーと同じように将来は太陽系を離脱することになるNASAの冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」が、これまで探査機が近づいたことのない冥王星に向かって飛行中です。

日本時間9月14日18時00分には、地球から26.96天文単位(約40億km)、冥王星まで5.33天文単位(約8億km)のところに到達しています。

ニュー・ホライズンズや各惑星の現在位置 (クリックで拡大)
この尺度では地球の公転軌道が非常に小さいことに注目してください。
Image Credit: Analytical Graphics, Inc., NASA

ニュー・ホライズンズが冥王星に最も接近するのは2015年7月14日前後です。この時、ニュー・ホライズンズは冥王星から1万km、衛星カロンから2万7000kmのところを秒速14km(時速約5万km)という猛スピードで通過します。約700億円(プロジェクト全体の予算)の巨費を投じ、2006年1月の打ち上げから9年半ほどを費やしてやっと冥王星のところまでたどり着いたと思ったら、挨拶もそこそこにサヨナラです。もちろん、最接近の数ヶ月前から数ヶ月後まで冥王星を観測をしますし、カイパーベルトの調査もするのですが、なんだかもったいない気がします。

できれば冥王星の周りを回って、長期間、至近距離からの観測をしたいところですが、冥王星に到達するまでの猛スピードを減殺して周回軌道に投入するだけの燃料を積む余裕がありませんでした。

ニュー・ホライズンズは太陽から遠く離れた場所で観測をおこなうため、太陽電池は使えません。そこで、電力源としてRTG(radioisotope thermoelectric generator: 放射性同位元素熱電発電機)が搭載されています。RTGは放射性同位元素の自然崩壊にともなって発生する熱を利用して発電しますが、ニュー・ホライズンズのRTGには 11kg の二酸化プルトニウム(含有するプルトニウムのほとんどは核兵器に転用できないプルトニウム238)が封入されています。

RTGは、打ち上げ時には240ワットの出力がありますが、年率約3.5ワットで出力が低下するので、ニュー・ホライズンズが冥王星に到達するころには200ワットに下がっています。ほぼ同じ率で出力が低下するので、冥王星を通過後も数十年間は地球に観測データを送り続けることができます。ボイジャー1号・2号、パイオニア1号・2号に続いて太陽系外縁部や恒星間空間の貴重な情報を伝えてくれることでしょう。

ニュー・ホライズンズの詳しい情報は以下に載っています:

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2013年9月14日土曜日

小惑星が相次いで地球に接近 (続報-2)


9月9日付「小惑星が相次いで地球に接近 (続報)」の続報です。

さらに二つの小惑星が地球に接近しました(青字で示した小惑星):

小惑星 直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(*)
2013 RO5 47 9月1日 14:55 8.34
2013 RG 6 9月3日 19:27 0.59
2013 RZ5 10 9月4日 16:00 1.15
2013 RO30 9 9月4日 18:47 0.76
2013 RF32 8 9月5日 20:26 0.44
2013 QE16 22 9月5日 20:43 8.19
2013 RQ5 27 9月6日 15:40 4.77
2013 RR43 36 9月8日 08:40 1.47
2013 RS43 18 9月14日 01:07 2.88
*: 地球-月の平均距離=1

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2013年9月13日金曜日

阿蘇山に不穏な兆候


気象庁が9月13日に発表した「平成25年 No.37 週間火山概況 (平成25年9月6日~9月12日)」によると、阿蘇山(地図)では「7日頃から火山性微動の振幅が次第に大きくなりました。その後も、やや大きい状態が続いています。(中略) 今のところ火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められませんが、火山性微動の振幅がやや大きい状態が続いていることから、今後の火山活動の推移には注意する必要があります」とのことです。

阿蘇山で火山性微動が観測されたのは今年4月10日以来です。その前の発生は2012年9月26日でした。


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八甲田山 地震の増加傾向続く ― 青森県青森市 (続報-2)


8月9日付「八甲田山 地震の増加傾向続く ― 青森県青森市 (続報)」の続報です。

気象庁が9月9日に発表した「八甲田山の火山活動解説資料(平成25年8月)」(PDF形式)によると、八甲田山(地図)の「山頂付近を震源とする火山性地震はやや多い状況で経過していますが、7月下旬以降、規模のやや大きな地震の占める割合は少なくなっています」とのことです。

同資料に掲載されている「広域地震観測網による八甲田山周辺の地震活動図」のグラフを見ると、地震の積算回数を示す曲線の上昇が以前と比べると穏やかになっています。さらなる上昇に向けての「踊り場」なのか、このまま沈静化に向かうのか気になるところです。

広域地震観測網による八甲田山周辺の地震活動図 (2008年7月1日~2013年8月31 日)
仙台管区気象台「八甲田山の火山解説資料(平成25年8月)」より引用
(クリックで拡大)


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宏観異常情報の収集開始 ― 高知県 (続報-2)


8月15日付「宏観異常情報の収集開始 ― 高知県 (続報)」の続報です。

高知県庁のウェブサイトに掲載されている宏観異常現象の表が更新されています。6月の受け付け開始以来0件だった受付件数が、8月分で初めて2件となっています。どのような宏観異常現象が県民から寄せられたのか、「その他」に分類されているだけで具体的な記述がないのでまったくわかりません。

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2013年9月12日木曜日

吾妻山で火山性微動連発、火山性地震増加、傾斜変動も ― 山形県・福島県 (続報)


8月16日付「吾妻山で火山性微動連発、火山性地震増加、傾斜変動も ― 山形県・福島県」の続報です。

8月11日から13日にかけて吾妻山で発生した火山性微動についてはこのブログでも既報ですが、9月9日に気象庁が発表した「吾妻山の火山活動解説資料(平成25年8月)」(PDF形式)にはもう少し詳しい情報が載っています。

火山性微動について:
火山性微動が11日に1回、12日に2回、13日に1回と、今期間、4回発生しました。浄土平観測点(大穴火口の東約1km)で観測した火山性微動の継続時間と最大振幅(上下成分)は、11日が約10分で11.9μm/s、12日は約5分30 秒で2.3μm/s と約2分40 秒と5.9μm/s、13日が2分で3.8μm/s となっています。吾妻山で火山性微動を観測したのは、2011年10月27日以来です。
地震について:
11日から12日にかけて、大穴火口付近を震源とする火山性地震が連続して発生し、今期間の前半は地震活動が多い状況になりました(以下略)
地殻変動について:
11日の火山性微動の発生に先立ち、浄土平観測点の傾斜計のデータで、西(火口方向)上がりの傾斜変動が観測され、火山性微動の終了前に変動が収まりました。また、その前後には火山性地震の発生とほぼ同じタイミングで数回の傾斜変動が観測されています。

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磐梯山で火山性地震増加 ― 福島県


気象庁が9月9日付で発表した「磐梯山の火山活動解説資料(平成25年8月)」(PDF形式)によると、8月18日、磐梯山(地図)で火山性地震が一時的に増加したとのことです。発生は22時10分から23時30分にかけてで、合計23回発生し、震源はすべて山頂付近であったということです。


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乗鞍岳で火山性地震増加


気象庁が9月9日付で発表した「乗鞍岳の火山活動解説資料(平成25年8月)」(PDF形式)によると、8月8日に乗鞍岳(地図)付近を震源とする火山性地震が一時的に増加したとのことです。火山性微動は観測されていません。


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2013年9月9日月曜日

小惑星が相次いで地球に接近 (続報)


9月6日付「小惑星が相次いで地球に接近」の続報です。

新たに2つの小惑星が月の軌道の内側を通過していたことがわかりました(青字で示した小惑星):

小惑星 直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(*)
2013 RO5 47 9月1日 14:55 8.34
2013 RG 6 9月3日 19:27 0.59
2013 RZ5 10 9月4日 16:00 1.15
2013 RO30 9 9月4日 18:47 0.76
2013 RF32 8 9月5日 20:26 0.44
2013 QE16 22 9月5日 20:43 8.19
2013 RQ5 27 9月6日 15:40 4.77
*: 地球-月の平均距離=1

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2013年9月8日日曜日

地球と月と地震


長い記事ですが、地球と月と地震の関係が包括的に説明されています。「1900年以降に日本で発生した地震のうち、死者が1000人を超えた地震は8回ある」、「(スマトラ沖地震を加えた)合計9回の大地震のうち、満月(大潮)の日に発生したのは、(中略)阪神淡路大震災およびスマトラ沖地震だけである」、その一方で「巨大地震の発生が近づくと、地震の発生に地球潮汐が関与する」:

上掲の記事中にある災科学技術研究所の田中佐千子氏については、このブログでも過去に取り上げています:

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湖の波で地震を予知する女性


米国テキサス州東部の町に住む女性が、湖の波を見て地震を予知しているという記事です:

この女性は街でカフェを営んでいるのですが、時間があれば自宅裏のベランダに腰掛けてティンプソン湖(地図)の水面を眺めるのだそうです。そして、風もなく、ボートが湖にこぎ出しているわけでもないのに、湖面に滑らかにうねるような波(smooth rolling waves)があれば、2日後ぐらいに地震が起きるということです。

最近の例としては、8月31日(土)に前兆となる波を見たので友人たちにその旨を連絡したところ、果たせるかな、9月2日(月)の午後5時前にM4.1、午後7時前にM4.3の地震がティンプソン付近を震源として発生したとのことです:

専門家は ―― テキサス州東部の地震と湖の波の間には明確な関係はない、この女性の地震予知については以前から聞いている、女性宅の庭には地震計が設置されていて、昨年来、数十件の地震が記録されている ―― と述べています。記事には書かれていませんが、多くの地震が起きているので、湖の波と地震の間に関係があるように見えているだけだ、と言いたいようです。


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2013年9月7日土曜日

こんな金環日食はいやだ


8月20日、火星の2つの衛星のうちの大きい方 ― フォボス ― が太陽の前を横切り、その影が火星表面で活動中の探査車・キュリオシティの上を通過。キュリオシティは車体上部から真上に伸びるマストに取り付けられたカメラ(Mastcam)の一つを使ってその様子を撮影しました。三枚の写真の撮影間隔は3秒です:

通常の探査活動を休止してまでこのような現象の撮影をおこなうのは、火星の衛星の軌道を精密に知るためです。実際、今回の金環日食では、太陽面を横切るフォボスが、予報よりも太陽の中心に2~3km近いところを通過したことがわかりました。

フォボスの視直径は太陽を覆うほど大きくなく、その形もいびつなため、金環日食といってもあまり「環」のようには見えません。これに比べると、美しい金環日食や「ダイヤモンド・リング」という現象を作り出す太陽-月-地球の大きさや距離のバランスは絶妙といえるのではないでしょうか。


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