2017年8月31日木曜日

NASA: イエローストーンに水を注入して破局的噴火を抑止 (その1)


英国 BBC のウェブサイトに8月17日付で掲載された、NASAの科学者へのインタビュー記事です。他のメディアも追随しています:

以下は BBC の記事を抜粋・テキトー訳したものです。インタビューを受けているのは、カリフォルニア工科大学にあるNASAのジェット推進研究所の Brian Wilcox 氏です:
「私はNASAの惑星防衛に関する諮問委員会のメンバーでした。同委員会は、小惑星や彗星から地球を守る方法を調査しています」、「その調査の過程で、スーパーボルケーノの脅威の方が、小惑星や彗星の脅威よりも格段に大きいという結論に達したのです」

地球上には20のスーパーボルケーノが知られており、平均して10万年に1回の頻度で大噴火を起こしている。それらの噴火がもたらす最大の脅威の一つに飢餓がある。長期におよぶ「火山の冬」によって、人類の文明は現在の人口を養うに足る食料を調達できなくなる。2012年の国連の推定では、世界の食糧備蓄は74日間で尽きるとされている。

NASAの科学者たちがこの問題に突き当たったとき、彼らが見いだした最も理に叶った解決方法は、単純にスーパーボルケーノを冷却することだった。イエローストーンのようなサイズの火山は基本的に巨大な熱発生器であり、工業用発電所6基分に相当する。現在のイエローストーンは、亀裂などを通してマグマ溜まりに染みこんだ水によって、地下から上昇してくる熱の60~70%を大気中に放出している。残りの熱はマグマの内部に蓄積され、次々に多くの揮発性ガスや周囲の岩盤を溶かし込むことを可能にしている。このようにして蓄積された熱が閾値に達すると、爆発的な噴火が不可避となる。

しかし、より多くの熱をマグマ溜まりから取り出すことができたならば、スーパーボルケーノが噴火することはなくなるだろう。マグマ溜まりからの熱の放散を今よりも35%増加させることができたならば、イエローストーンはもはや脅威ではなくなるとNASAでは試算している。唯一の疑問は、それをどうやって達成するかである。

続く


鳥の大群で試合中断 ― 宮城県仙台市


8月30日夜、宮城県仙台市のKoboパーク宮城(地図)でおこなわれていたプロ野球の試合が、鳥の大群が飛来し飛び回ったために中断しました:

記事には鳥の種類が記載されていませんが、写真からは海鳥の群れではないかと思われます。

上掲2番目の記事には鳥やヘビによって試合が中断した事例が紹介されています。それらの事例の後に被害地震が起きていないか調べてみましたが、顕著な地震の発生はありませんでした。


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小惑星 2017 QM33 が月と地球に接近・通過


8月24日朝から昼過ぎにかけて、アポロ型小惑星〝2017 QM33〟が月と地球に接近・通過しました。

この小惑星は接近後の8月28日に発見されたもので、直径は 8~17m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 QM338~17  (月)8月24日 06:58
(地球)8月24日 12:27
1.52
1.56
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速17.7km(時速約6万4000km)と計算されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年8月30日水曜日

黒潮大蛇行の可能性


気象庁が8月30日に発表 ―― 「現在、黒潮は、紀伊半島から東海沖で大きく離岸して流れています。今後、さらに南下し、離岸した状態が継続する見込みで、大蛇行となる可能性があります」、「潮位上昇させ、沿岸の低地で浸水などの被害が生じる可能性」:

PDF形式の資料には過去の大蛇行のリストとグラフがあります。

2017年8月29日火曜日

インド北東部で大地震のうわさ


インド北東部の ナーガランド州(Nagaland、地図)で、8月29日か30日に M8.5 の大地震が発生するとのうわさが SNS などを通じて広まり、当局が打ち消しに躍起になっているとのことです。同州の都市ディマプール(Dimapur、地図)では住民が避難キャンプを設営し始めた、などの尾ひれも付いているようです:

ナーガランド州周辺を地図で見ると、いくつもの山脈が大きく彎曲していて、インド亜大陸の北上にともなうユーラシア・プレートの変形が実感できます。


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稍深発地震の発生メカニズムを解明 ― 愛媛大学


愛媛大学のプレスリリースから。「稍深発地震は変形エネルギーが局所集中することによって起きるプレート岩石の溶融が原因であることを明らかにしました」:

概要です:
  • 稍深発地震は深さ50~300 km のプレート内部で発生。

  • 一般的な断層のすべり現象では説明ができない。

  • 微量の水(地球深部水)によって誘発された断層すべりが原因であろうとする仮説が支持されてきた。

  • 地球深部水が存在しないと考えられる場所でも稍深発地震が起きている事実を説明できない問題点があった。

  • プレートの岩石の一部分に変形のエネルギーが局所的に集中することで、部分的に岩石が溶融し、その結果岩石の強度が低下して断層ができ、地震の発生に至ることが、実験の結果明らかになった。

    プレート岩石に脆弱層(微細鉱物粒子からなる)が存在 → 脆弱層に変形エネルギーが集中 → 局所的かつ瞬間的に 1840℃に達する高温が発生 → 岩石が溶融 → プレート岩石の強度は大幅に低下 → 断層形成 → 稍深発地震発生。

実験の概要や装置の画像が上掲のPDF文書にあります。

2017年8月28日月曜日

磐梯山で火山性地震増加 ― 福島県


8月27日朝、磐梯山(地図)で火山性地震が増加。6時から8時にかけての2時間で62回、27日全体では71回を記録しました。1日の地震回数が50を超えたのは2016年6月10日以来。火山活動に変化はないとのことです:

下の関連記事のリストを見ると、磐梯山で地震が増加するのは夏のころが多いようです。


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2017年8月27日日曜日

雲読みの達人が大地震と津波を予測


インドのニュースサイト所載の8月26日付記事です:

以下は記事の抜粋・要旨です:
  • バラナシ(ワーラーナシー、ベナレス、地図)の著名な「雲読み」(cloud reader)である Shakeel Ahmad 氏が、いくつかの国で大地震や中規模地震と大津波が起きると予測している。それらの国々には、南北アメリカ(の国々)、トルコ、日本、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドが含まれる。これは(インド時間で)月曜日の夜に起こった日食の余波である、と彼は語っている。

  • Shakeel Ahmad 氏は、雲の形成やパターンを観察することによって地震を予測してきたが、月曜日に、陸上と海上の地震を意味すると判明している雲のパターンを観測したと語る。

  • 「最初の警告信号である地震予測雲を再び観察しました。 南東(真北から時計まわりに)140°から北東45°の方向で雲が凝縮したので、電離層の擾乱に気付きました。 それらの雲は、バラナシから見て方位磁石で、北東45°から北西310°、南東150°から南西240°、南東140°から北東45°の方向に向かって動き出しました。」

  • Ahmad 氏はこの観測事実に基づいて大地震、中規模地震、津波を予測したのだ、と言う。

  • 59歳の Ahmad 氏は過去約15年にわたって雲の形、大きさ、動きを研究し、その知見を使って地震や震度を予測してきた。

  • ネパールとインド北部を襲った地震の3日前に、ISDR(国際防災戦略)とUSGS(米国地質調査所)に地震予測の e-メールを送ったが何の反応もなかった、と彼は主張している。

  • 「2001年のグジャラート地震や2005年のカシミール地震、世界のその他の地域で発生したいくつもの地震を私は予測してきました。私はいつも、ISDR や USGS のみならず、インドの重要な省庁や報道機関にも私の予測を e-メールで送っているのですが、どこも本気にしてくれないのです。私の予測が現実となった後でさえ、わたしの予測を振り返ってくれないのです。」

【注】バラナシは、インド北部ウッタル・プラデシュ州南部の都市で、ガンジス川に面しヒンズー教の大聖地。


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日本列島形成に新説「日本海溝移動説」


まだ明確な証拠があるわけではないようです。「日本海溝は西方に、つまり日本列島の方に年間1cm程度のペースでゆっくり動いている」、「日本海溝を押しているのは太平洋プレートではなく、その南にあるフィリピン海プレートだ」、「300万年前、フィリピン海プレートの移動方向が変わり、関東地方の地下深部で、沈み込んだ同プレートが陸側プレートの底部を西方に押すようになった」:

提唱者は産業技術総合研究所地質調査総合センター研究主幹の高橋雅紀氏。同氏は、7月15日放送された「ブラタモリ」(NHK総合)に出演して、秩父盆地の地質について説明していました:

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小惑星 2017 QQ17 が地球に接近・通過


8月26日午後、アポロ型小惑星〝2017 QQ17〟が地球と月に接近・通過しました。

この小惑星は8月23日に発見されたもので、直径は 6~13m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 QQ176~13 (地球)8月26日 13:23
 (月)8月26日 15:58
1.02
0.94
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は速く、秒速21.2km(時速約7万6000km)と計算されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年8月23日水曜日

日食は断層を刺激したり地震を起こしたりする?


8月21日に、北米大陸を北西から南東に横切る帯状の地域で皆既日食が見られました。USGS(米国地質調査所)は、ウェブサイトの〝Earthquake Hazards Program〟の冒頭に、〝Will the solar eclipse in North America affect faults or cause earthquakes?〟(北米の日食は断層を刺激したり地震を起こしたりする?)と題した記事を掲載しています。きっと問い合わせが多かったのでしょう。USGSの冒頭の答えは〝No〟なのですが、リンク先の Q&A では ・・・

以下は、上記の記事からリンクが張られている Q&A のページです:

「天体の位置が地震に影響することはない」という木で鼻を括ったような回答を予期していたのですが、違いました。

要旨は以下のとおりです:
  • 月や太陽、他の惑星は重力場への摂動(微小な変動)という形で地球に影響をおよぼす。その影響は天体の質量に比例し、地球からの距離の3乗に逆比例する。

  • 過去になされた多くの研究では、大きな地震のカタログに載っている地震の発生頻度と半日周期の潮汐との間に有意な相関関係は見いだされなかった。

  • しかし、最近のいくつかの研究では、地球と月の相対的な位置関係によって引きおこされる潮汐と、ある種の地震の間に相関関係が見いだされている。

  • たとえば、ある研究では、満月や新月の時のように大地や海洋に対する潮汐の影響が高まる時には、大陸の縁に近い場所や海中の沈み込み帯にある浅い衝上断層で地震が起きやすくなる、と結論づけている。

  • 月食と日食は満月や新月の特別な場合であるが、満月や新月と異なった特別な潮汐上の効果を引きおこすわけではない。

  • 大地の潮汐(地表が数センチメートル上下する)や、特に海洋の潮汐(海面が1メートルかそれ以上上下する)は、大陸の縁や沈み込み帯の近くにある浅い傾斜断層の動きを抑制している圧力を強めたり弱めたりする。圧力が弱まれば、断層の「留め金」がはずれて断層が滑りやすくなる。(断層が滑る)確率は3倍程度まで高くなる。

  • しかし、任意の場所と年における通常時の確率は一般に非常に低い。それが満潮時に3倍になったからといっても、それは依然として非常に低い確率であることに変わりがない。

  • マンモス・レーク(地図)のような火山地域では、半日周期の潮汐と余震の発生頻度の間に小さいながらも有意な相関関係が報告されている。

  • 朝や夕方に地震が起きやすいということはない。

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小惑星 2017 QF3 が地球に接近


8月24日朝、アポロ型小惑星〝2017 QF3〟が地球に接近します。

この小惑星は8月17日に発見されたもので、直径は7~15m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 QF37~15 8月24日 07:54
±00:01
1.44
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速12.7km(時速約4万6000km)と予報されています。

この小惑星は地球接近後、同日15:20に月に1.10LDまで近づきます。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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御嶽山の噴火警戒レベル 引き下げ


7月11日付「御嶽山の噴火警戒レベル 引き下げず」の続報です。

7月上旬におこなわれた御嶽山(地図)の現地調査から1ヵ月半が経過して、やっと噴火警戒レベルが引き下げられました。現地調査以降も御嶽山に特段の変化は起きていません。なぜこの時期に引き下げなのでしょうか。今まで気象庁に引き下げをためらわせていた理由は何なのでしょうか(登山者に対する地元の安全対策が進むのを待っていた?):

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2017年8月21日月曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-173)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 8月20日16:30 付けで更新情報を出しています ―― 9月8日± に地震発生の可能性あり:

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期前兆が完全終息したことを確認後に計算し確定する。
現段階で考えられる可能性は 9月8日±1日
(8月末に前兆が静穏化することが条件、9月初旬段階で前兆が継続している場合には、地震発生はさらに先になる。)
推定時刻 午前9時±1時間 または 午後6時±3時間
推定震央領域(今までより若干東側に広がっています 岐阜県愛知県長野県西部静岡県西部、福井県、滋賀県、富山県西部、石川県南部、京都府北部など
更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
ある程度、火山に近い領域の可能性がある。
推定規模 M7.8 ± 0.5
推定地震種 震源の深さ30km以浅の陸域地震
 

▼ 現状
  • CH02(八ヶ岳) 糸状特異が継続中
  • CH17(八ヶ岳) 糸状特異が継続中
  • CH20(八ヶ岳) 8月11日から特異が出現、8月20日午前8時ごろに静穏化
  • CH21(八ヶ岳) 弱い特異が継続中、静穏化傾向
  • CH26(八ヶ岳) 弱い特異が継続中、極めて微弱
  • CH29(八ヶ岳) 特異前兆が継続出現していたが、8月11日深夜に終息
  • A4(秋田観測点) 特異が継続中、徐々に静穏基線に近づく傾向

▼ 考察
  • 2008年7月初旬から9年1ヵ月以上にわたって前兆が継続。現在は第24ステージ。8月10日が最終極大。

  • 前回の更新情報では9月22日± に地震発生となる可能性が考えやすいとしていたが、第24ステージの前兆動向から9月8日± の可能性の方が高いと判断(この点については、「地震前兆検知公開実験」の参加者には8月13日配信の観測情報で既報)。

  • 8月10日が最終極大で、今後新たな極大が出現せず、9月8日± が対応地震の発生時期であるとすると、前兆終息時期として8月末日が算出される。

  • 10月24日± の可能性もありうるが、前兆の静穏化傾向から判断して地震発生までそれほど長い期間は考えにくい状況。

  • N型火山前兆(7月11日極大、複数日出現)に対応する活動として、焼岳の地震活動と噴気のみでは小さすぎる。L型火山前兆の初現からN型火山前兆に至る関係に通常の地震前兆経験則を適用すると9月9日± が算出される(火山前兆に通常の地震前兆経験則を適用した前例はないので、あくまでも参考情報)。

  • 最近までの特異前兆の出現状況と、主なPBF前兆(基線の連続的かつ周期的なうねり変動)出現影響局を総合して推定領域を見直した結果、今までよりも若干東側(長野県側)に推定領域が広がった。

  • 8月末に前兆が終息するか、観測を続けて続報する。

串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:

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小惑星 2017 QN2 が地球に接近・通過


8月21日朝、アポロ型小惑星〝2017 QN2〟が地球に接近・通過しました。

この小惑星は8月18日に発見されたもので、直径は 6~13m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 QN26~13 8月21日 06:54
±00:01
0.56
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は、秒速15.3km(時速約5万5000km)と計算されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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小惑星 2017 QP1 が地球に接近・通過


8月15日朝、アポロ型小惑星〝2017 QP1〟が地球に接近・通過しました。

この小惑星は地球に最接近した後の8月16日に発見されたもので、直径はかなり大きく 37~83m と推定されています。この大きさの小惑星が最接近前に発見されず、事後に発表されるのはめずらしいと思います(夏休みで観測態勢が手薄になっていた?)。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 QP137~83 8月15日 06:23
±00:06
0.16
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は非常に速く、秒速24.0km(時速約8万6000km)と計算されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年8月20日日曜日

九寨溝地震を前日に予知していたインド人地震学者


8月8日に中国・四川省九寨溝で起きたM6.5の地震(震源の深さ9.0km、USGS資料)は、死者25人、行方不明6人、負傷者525人、観光客を含む被災者約17万人、家屋の被害約7万軒と伝えられています。この地震の発生を前日に予知していた地震学者がいた、とインドのニュースサイトが伝えています:

話題の主は、インド・プネ(地図)にある中央水力発電研究所の地震研究部門の元責任者で、現在は米国フロリダ州オーランドに本部がある国際地震・火山噴火予知センターの顧問地震学者である Arun Bapat 氏。以下に記事の主要部分を抜粋・テキトー訳します:
「私は毎日、インド気象局(IMD)のウェブサイトにアクセスし、さまざまな地質学、気象学、電離層、地震に関するデータを調べています。」

「8月7日の深夜、人工衛星が撮影した赤外線画像で中国から日本にかけて高温の領域があることに気付きました。5時間前の画像にはなかったものです。」

Bapat氏にはこれが中規模ないし大規模な地震の前兆であることが(これまでの経験から)わかった。同氏はただちに彼のグループに属する地震学者たちにメールで「18時間から24時間後までに地震が発生する」との警告を送った。

Bapat 氏はこれまでにも多くの地震を予知しています。予知の成功事例は記事に書かれていますのでそれを見ていただくとして、同氏が予知のよりどころとして監視している情報は以下のようなものです:
  • 人工衛星からの赤外線画像
  • 電離層の全電子数(TEC)
  • 長波放射(outgoing long wave radiation)
  • 地震電磁気効果(seismo-electromagnetic effect)

地震電磁気効果について Bapat氏は次のように述べています:
中規模や大規模な地震の発生前には、地下の震源付近の温度が上昇します。温度の上昇にともなって、その場所の地磁気が弱まっていきます。地磁気が弱まると電磁波の伝播や通信機器の受信状態に影響がでます。この影響は電話やテレビ受信機によって誰にでも観測できます。

地中の温度の上昇にともなって地磁気が弱まる現象は、火山の噴火予知にも利用されています。以下を参照してください:

異形の雲〝神の手〟 ― ブラジル


現地時間8月17日夕方、ブラジル東部の都市 Teixeira de Freitas(地図)で、奇妙な形をした雲が多くの住民によって目撃・撮影されました。8月21日(日本時間22日未明)に北米で見られる皆既日食と結びつけて、この世の終わりの始まりだと考える向きもあるようです:

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2017年8月19日土曜日

大西洋中央海嶺で M6.6


日本時間8月18日正午直前(11時59分)、アフリカ沖赤道直下の大西洋中央海嶺で M6.6、深さ10km の地震が発生しました(当初の報道では M6.7、深さ19km)。震央はアセンション島(地図)の北約670kmで、中央海嶺と中央海嶺と繋ぐトランスフォーム断層で発生した横ずれ運動にともなう地震です(震央地図モーメント・テンソル):

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大形の小惑星 Florence が地球接近 (続報)


8月11日付「大形の小惑星 Florence が地球接近」の続報です。

NASAのサイトが小惑星 Florence についての新しい記事を掲載しています。前回紹介した記事と大差ない内容ですが、Florence が地球のそばを通過していく様子を描いたGIF動画と、月の軌道も一緒に描いて Florence がどの程度地球に接近するかを示した画像が添えられています:

前回の記事と異なる点は以下のとおりです:
  • Florence の直径について、前回の記事では約4.3kmとしていましたが、今回はスピッツァー宇宙望遠鏡と NEOWISE(広域赤外線探査衛星)を使った計測の結果として 4.4km としています。

  • 8月末から9月初頭にかけて、地球から見た Florence の移動経路が示されて示されています: みなみのうお座 → やぎ座 → みずがめ座 → いるか座。

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2017年8月16日水曜日

グリーンランド炎上


ESA(欧州宇宙機関)の Sentinel(歩哨、見張り)衛星が8月8日に撮影したグリーンランドの大規模な原野火災です:

以下は画像に付けられた説明の要旨です:
  • 7月末から、グリーンランドが大規模な原野火災に襲われている。

  • グリーンランド西部で発生しているこの火災は、ピートランド火災(peatland fire)とみられる。

  • グリーンランドはほぼ完全に厚い氷床に覆われているが、海岸沿いには炭素成分に富むピートランド(泥炭地)が分布している。

  • 永久凍土層が(温暖化によって)溶け、ピート(泥炭)が(露出して)着火しやすくなっているために火災が発生したと懸念されている。

  • ピート(泥炭)は燃料としても使われるほど燃えやすいため、今回の火災はしばらく鎮火しないとみられている。

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2017年8月14日月曜日

小型飛行機墜落と Hi-net 連続波形


8月14日昼過ぎ、奈良県山添村助命(ぜみょう、地図)付近の山中に小型飛行機が墜落し、2人が死亡しました。この事故についてNHKは、「午後0時15分ごろ、ブーンというエンジンのような音がして、直後にドスンという音が聞こえました。いままでに経験したことのないような揺れを感じました」という近隣住民の証言を伝えています:

山添村には Hi-net の観測点があります。近隣住民が揺れを感じたと話していることから、Hi-net の連続波形を調べてみたところ、0時16分48秒付近に小さな揺れが記録されていました。墜落したのはこの時刻だと思われます:

2017年8月13日日曜日

イエローストーンの地殻変動


米国地質調査所(USGS)の火山部門が、過去約2年間のイエローストーンの地殻変動を示す図(拡大図)を8月8日付でフェースブックで公開しています:

以下は図に添えられた文章の要旨です:
  • InSAR(Interferometric Synthetic Aperture Radar、干渉合成開口レーダー)画像に現れている色の付いたリングは、レーダー衛星に対する地面の高度の変化を示している。

  • 画像は、2015年6月と2017年7月のレーダー衛星のデータを比較することによって作成。

  • 射撃の標的のように見える隆起(7cm)の中心はノリス間欠泉盆地(Norris Geyser Basin)にある。

  • イエローストーン・カルデラの内部には3cmの沈降領域が広がっている。

  • 現在進行中の「2017年夏の群発地震」はノリス隆起から西へ20~30kmの場所で起きている。

  • 隆起と沈降の原因は、地表から5~15kmの深さで起きているマグマの増減や、それに関連するガスや水の増減である、と解釈される。

  • 隆起や沈降のサイクルは通常見られる現象で、群発地震とも関係しているとみられる。すなわち、群発地震は隆起によって生じた圧力を解放し、それによって、隆起していた地域は沈降する期間に戻る。

  • 2年間の地殻変動の速度はイエローストーンGPSネットワークのデータを使用した。

  • インターフェログラム(interferogram、干渉合成開口レーダー画像)の作成には、欧州宇宙機関(European Space Agency)のセンティネル 1a(Sentinel 1a)衛星のデータを使用した。

  • 図中で、道路は黄色、断層は黒の細線で示されている。

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2017年8月11日金曜日

焼岳で空振をともなう地震6回 (続報-2)


本日(8月11日)実施された焼岳(地図)の現地調査の結果が発表されています。「昨日(10日)噴気が確認された火口及びその周辺で、噴気は確認されませんでした。また、火口及びその周辺では、明瞭な地熱域、地形の変化や噴出物も確認されませんでした」、「これまで明瞭な噴気活動のなかった場所で噴気が観測されたことから、引き続き火山活動の推移を注視しています」:

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リュウグウノツカイ2匹漂着 ― フィリピン・レイテ島


8月9日、フィリピンのレイテ島南部 Saint Bernard(地図)の海岸に2匹のリュウグウノツカイが漂着しているのが見つかりました。体長4.4m、重さ50kgの個体と、体長3.7m、重さ20kgの個体です:

以下は記事の要旨です:
  • リュウグウノツカイは通常、水深1000m付近で見つかる。水深200mよりも浅いところで見つかるのは稀である。

  • 2011年の東北地震と津波の前には、およそ20匹の深海魚の漂着が見つかっている。

  • 魚類が地震活動に敏感であるという考えを支持する直接的な科学的証拠はないが、科学それ自身が地震を予知する手段を持っていないことを思い起こすべきである。

  • 深海魚の生息する場所が海底の断層に近いという事実は、古くからの日本の伝説に合理的根拠を示唆する。

  • 英国ケンブリッジにある Anglia Ruskin University の動物学講師 Rachel Grant 氏は、深海魚と地震の関係について検証する研究を始めている。

    • 「理論的にはありうることです。なぜなら、地震が起こる前には岩石中に圧力が蓄積され(build-up of pressure in the rocks)、それによって静電荷が発生、帯電したイオンが水中に放出されるからです。」

    • 「水中に放出されたイオンによって毒性のある化合物である過酸化水素が形成されます。また、帯電したイオンは有機物を酸化するので、魚を死に至らしめたり、深海の生息場所から逃れて海面まで浮上させることにもなります。」

    • もう一つの可能性として Grant 氏が指摘するのは、地震の前に大量の一酸化炭素ガスが放出され、リュウグウノツカイに影響を与えている可能性だ。

  • Grant 氏は、過去2年半の間に起きた数百件のリュウグウノツカイの目撃についてデータベースを構築した。これによって、リュウグウノツカイの目撃と、目撃場所から半径500マイル(約800km)の範囲内で米国地質調査所(USGS)によって報告されている地震との間に関係があるかを検証することができる。

    • 「リュウグウノツカイの目撃後に必ず地震が発生しているわけではないことは明らかです。そうではなく、地震の前にリュウグウノツカイを目撃する確率が上昇しているかどうかを確かめようとしているのです。」

    • 「(リュウグウノツカイの目撃は)地震活動が原因であるかもしれないし、地震とは関係のない要因、たとえば軍の潜水艦などによる水中活動によって生じたインフラサウンド(可聴下音、人間の耳には聞こえない約20Hz以下の周波数の音)や海水の汚染などが原因であるかもしれません。」

記事中では、リュウグウノツカイ(英語名  oarfish)が日本語ではどう呼ばれているか説明しています ―― "The Messenger from the Sea God’s Palace"。英語名の方は、船を漕ぐオール(oar)に体形が似ていることに由来しています。


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大形の小惑星 Florence が地球接近


NASAの地球近傍天体研究センター(CNEOS)の発表です。推定直径4.0~9.0kmの小惑星〝3122 Florence〟が、9月1日に地球に700万kmまで接近します:

小惑星 推定直径
km
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
3122 Florence
(1981 ET3)
4.0~9.0 9月1日 21:06
±00:01
18.38
(1LD=地球から月までの平均距離) 

以下は上記発表の要旨です:
  • 小惑星 Florence が8月末に地球に近づき、9月1日に地球のそばを通過する。

  • 最接近時の地球との距離は700万km、地球から月までの距離の約18倍。

  • 多くの小惑星がこの距離よりも地球に近いところを通過するが、それら全ては小さな小惑星である。

  • 1世紀以上前に最初の地球近傍小惑星が見つかって以来、 この距離まで近づく小惑星としては Florence が最大である。

  • Florence の直径はおおよそ4.3kmと推定されている(CNEOS のデータベースには 4.0~9.0km と記載)。

  • 明るさの変化の観測から、2時間20分ほどの周期で自転しているとみられる。

  • 8月末から9月初めにかけて、9等級の光度に達すると予測されており、小口径の望遠鏡でも容易に観測できるとみられる。

  • 小惑星 Florence は1981年に発見され、近代看護の基礎を築いた Florence Nightingale(1820-1910)に敬意を表して名づけられた。

  • Florence の追跡観測は40年近くにわたって続けられており、その軌道は精確に知られている。軌道計算によれば、今後多くの世紀にわたって Florence が地球に衝突するリスクはない。

Florence はアモール群に属する小惑星です。同群で有名な小惑星としては〝433 Eros〟があります。探査機が周回・着陸した最初の小惑星です。


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2017年8月10日木曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-172)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 8月10日16:30 付けで更新情報を出しています ―― これまで観測されていた火山活動前兆と、8月9日から10日にかけて焼岳で発生した空振をともなう地震や噴気との関連について述べています:

▼ 火山前兆と焼岳の火山活動について
  • 7月、全観測点(八ヶ岳、秋田、高知)にN型火山前兆が同期して出現(N型火山前兆の波形については更新情報の右上の図を参照してください)。7月11日は顕著、7月12日と13日は微小、7月14日は再び顕著。(7月12日に「地震前兆検知公開実験」参加者限定の観測情報で配信)

    • N型火山前兆が複数日にわたって顕著に出現した場合は、微小噴火、水蒸気噴火も含めて火山活動が噴火に至る過去例がある。

    • 7月に観測されたN型火山前兆は、過去の噴火に至ったN型火山前兆と比べると変動値が弱いが、複数日にわたって出現していることから噴火に至る可能性も否定できないことを配信。

  • 顕著なN型火山前兆のほかに、火山活動と相関のある弱いL型前兆が6月9日から断続的に出現。

    • L型、N型を総合して、6月9日初現・7月11日極大として火山関連活動によく見られる経験則 [初現~極大]:[極大~活動開始]=1:1 を適用すると 8月12日±4日が算出される。

  • 本日(8月10日)気象庁から、8月10日の午前00時少し前(8月9日23時50分)から午前2時ごろにかけ、推定領域内火山である長野県と岐阜県境界の焼岳で、空振をともなう地震が6回観測され、山頂から西側約400mの山腹から噴気が約100m程まで上がる状態が観測された、との発表があった。

  • センターチューニング法によるFM電波の観測では、火山前兆についてはある程度の広がりを持った領域を推定することが可能だが、火山を個別に識別できるわけではない。

  • 7月に観測された火山前兆は、推定火山領域がNo.1778前兆の推定領域内であることから、(1)No.1778前兆に対応する地震が火山近傍で発生する可能性や、(2)地震活動に関連して火山活動が活発化する、などの可能性を検討した。しかし、(3)たまたまNo.1778前兆の第24ステージ中に火山前兆が出現しただけの可能性もあり、No.1778前兆に対応する地震に関連した火山前兆であるとは断定できない。

  • 観測された火山前兆からはもう少し大きな火山活動の可能性も考えられるが、火山前兆については地震前兆のような経験則が未だ明確ではないので、なんとも言えない。

  • 今回の空振をともなう地震と噴気だけが火山前兆に対応する活動である可能性もあるが、8月16日± または 8月23日± に噴火活動に至る可能性も完全には否定できない。8月7日にL型前兆が出現していることから、本格的な火山活動はまだ先である可能性も否定困難。8月26日ごろまでにさらに活発な活動がない場合には、今回の活動が火山前兆に対応する活動と認識できる。

  • 火山前兆が焼岳火山活動の活発化に対応しているものであるならば、No.1778前兆に対応する地震の推定領域について、御嶽山・乗鞍岳・焼岳領域周辺が考えやすいという可能性は低くなる。その一方で、No.1778前兆には火山近傍を示す前兆も含まれているので、御嶽山・乗鞍岳・焼岳領域と白山領域での可能性はまだ否定できない。

  • 8月7日の弱いL型前兆以降、火山前兆は出現していない。

▼ No.1778前兆の現状
  • 前回の更新情報で述べた可能性のうち、9月22日± に地震発生となる可能性が考えやすい状況で推移中。

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焼岳で空振をともなう地震6回 (続報)


監視カメラが捉えた噴気の画像が掲載されています。「普段では噴気がみられない、山頂西側 400 メートル付近の山腹において白色の噴気を観測しました」:

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焼岳で空振をともなう地震6回


長野県と岐阜県にまたがる北アルプスの焼岳地図)で、8月9日23時50分ごろから10日2時ごろにかけて、空振を伴う地震を6回観測。同時間帯に山頂の西側約400m付近の山腹から噴気が約100mまで上がっているのが確認されました:

この時期、観光客で賑わう上高地は、焼岳火山群の噴火によって梓川がせき止められて形成された堆積平野です。

焼岳の最後の噴火は1962年から63年にかけて発生した中規模水蒸気噴火で、泥流が発生しています。また、1995年には焼岳山頂の南東約3kmの道路工事現場で水蒸気爆発が発生し、火山ガスを含む水蒸気と泥流が噴出して4人が死亡しています。

八ヶ岳南麓天文台の串田氏は、「近畿圏中心領域大型地震」の予測の中で、火山噴火の前兆も観測されていることから、震源は御嶽山・乗鞍岳・焼岳領域に近い可能性があると指摘しています:

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2017年8月9日水曜日

えびの高原硫黄山で植物が枯死・変色


気象庁が8月8日に発表した「霧島山の火山活動解説資料(平成29年7月)」(PDF形式)によると、えびの高原硫黄山(地図)火口の北東側で植物の枯死や草木が変色していることが7月27日の現地調査によって確認されました。地熱によるものではなく、硫黄山から流下した火山ガスによる影響と考えられています。

また、噴気の高さはこれまで概ね稜線上 100m以下で経過していものが、7月中旬以降は稜線上 300m以上に上がるようになっているとのこと。

4月25日に始まった硫黄山付近が隆起する傾斜変動は継続中で、地下の局所的な膨張によって生じていると考えられています。


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九重山の噴気に変化


気象庁が8月8日に発表した「九重山の火山活動解説資料(平成29年7月)」(PDF形式)によると、九重山(地図)の噴気中に含まれる二酸化炭素(CO2)と硫化水素(H2S)の濃度が7月11日ごろから増加しているとのことです:

九重山 火山ガス観測装置による観測(16年10月~17年8月1日)
気象庁「九重山の火山活動解説資料(平成29年7月)」より

上記解説資料には次のように書かれています:
この火山ガス観測装置のデータが、地下の火山活動の活発化あるいは沈静化と関連しているかどうかは不明ですが、火山ガス濃度の増加が継続して観測されていることから、地下浅部の火山ガスの状況に変化があった可能性があります。

(中略)

現地調査では熱異常域に変化が無く、二酸化硫黄の放出量も検出限界以下であり、火山性地震の急増もみられていません。これらのことから、火山ガスの濃度の増加は、火山活動の急激な活発化を示しているものではないと考えられますが、B型地震が時折発生することからわずかに火山活動が高まっている可能性があり、今後の火山活動の推移に留意が必要です。

九重山は、熊本地震以降注目を集めている中央構造線上(もしくはその延長上)にある火山ですので、その動向が気がかりです。1995年と96年には火山灰を噴出する噴火を起こしています。


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2017年8月8日火曜日

小惑星 2012 TC4 が地球衝突コースに (続報-5)


小惑星 2012 TC4 の接近予報が8月6日付で更新されています。接近時刻の誤差が1分未満になり、接近距離の誤差範囲も狭まっています:

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2012 TC412~27

10月12日 14:42
±00:01
 0.129 (mimimum)
 0.130 (nominal)
 0.131 (maximum)
(1LD=地球から月までの平均距離) 

接近距離の 0.129LD、0.130LD、0.131LDは、それぞれ約4万9800km、5万100km、5万500kmに相当します。これらの距離は地球の中心から測ったものですから、地表からの距離は地球の半径約6400kmを差し引く必要があります。ちなみに、気象衛星「ひまわり」などの静止衛星の軌道は地表から約3万6000kmのところにあります。

2012 TC4 が地球に最も近づくときの地球との相対速度は秒速7.65km(時速約2万7500km、マッハ22.5)と予報されています。

比較のためにこれまでの予報も記載しておきます:

前回
小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2012 TC412~27

10月12日 16:30
±02:03
 0.0343 (mimimum)
 0.232 (nominal)
 0.639 (maximum)

前々回
小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2012 TC412~27

10月12日 15:07
±02:51
 0.0343 (mimimum)
 0.153 (nominal)
 0.717 (maximum)

前々々回
小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2012 TC412~27

10月12日 12:29
±05:34
 0.034 (mimimum)
 0.037 (nominal)
 1.13   (maximum)
(1LD=地球から月までの平均距離) 


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2017年8月7日月曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-171)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 8月6日16:30 付けで更新情報を出しています ―― 前兆終息せず、地震発生は8月下旬以降:

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期前兆が完全終息したことを確認後に計算し確定する予定。下記「考察」の5つの可能性を参照してください。
推定時刻 午前9時±1時間 または 午後6時±3時間
推定震央領域 岐阜県、愛知県、福井県、石川県南部、滋賀県北部、京都府北部など 更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
火山近傍の可能性が示唆されるため、地図上に御嶽山・乗鞍岳・焼岳領域と白山領域を斜線で表示。前者の領域(地図中のA)の方が可能性が高い。
前兆影響局誤認の場合は福島付近の可能性があるが、不整合な前兆があるため上記が考えやすい。
推定規模 M7.8 ± 0.5
7月11日から14日にかけて出現した噴火前兆が関連している場合には、地震活動にともなって火山噴火の可能性もあり。
推定地震種 震源の深さ30km以浅の陸域地震
 

▼ 現状
  • CH02(八ヶ岳) 前兆継続中
  • CH17(八ヶ岳) 前兆継続中
  • CH21(八ヶ岳) 前兆継続中
  • CH26(八ヶ岳) 前兆継続中
  • CH29(八ヶ岳) (記載なし)
  • A4(秋田観測点) 前兆継続中

▼ 考察
  • 2008年7月初旬から9年1ヵ月以上にわたって前兆が継続。

  • 現在は第24ステージ。最終極大は7月26.1日と認識。

  • 前回の更新情報では「8月5日± に前兆終息、8月8日± に地震発生」の可能性を指摘したが、8月6日午後の時点で上記5観測装置に前兆が継続出現している。

  • 8月9日±3日に地震発生とした場合、8月7.9日が計算上の前兆終息時期でまだ可能性は残っている。8月8日午前に前兆が継続していた場合は、8月9日± の可能性は完全否定される。

  • 第24ステージの前兆出現状況を見直すと、8月24日± と9月22日± の可能性が算出される。

  • 以上を総合すると、現時点では以下の5つの可能性がある:

    1. 8月8日に前兆終息 → 8月12日± に地震発生

    2. 8月9日± に極大出現

    3. 7月26.1日が最終極大で8月16日± に前兆終息 → 8月24日± に地震発生

    4. 7月26.1日が最終極大で9月7日± に前兆終息 → 9月22日± に地震発生

    5. 新たな極大が出現(時期未定)

  • 8月20日ごろまでに前兆が終息しない場合は、地震発生は9月以降となる。

  • 前兆終息や前兆に大きな変化が現れた場合は続報で報告。今後の前兆の出現状況によっては現在の認識を修正する可能性あり。

串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:

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今夜、部分月食があります


今夜は満月。午前2時22分ごろから、月が地球の影に入る部分月食が始まります。月の左下が少し(最大食分0.251)欠けます。詳しくは国立天文台の以下のページで:

部分月食に先立って、午前1時ごろからは月が地球の半影に入る半影月食が始まります。月がうっすらと暗くなったり赤みを帯びたりするのですが、気づく人は少ないでしょう。

今回の部分月食の最大食分は0.251ですが、この「食分」はよく誤解されます。地球から見た月の面積の25.1%が欠ける(地球の影に入る)のではありません。面積比ではなく、月の欠ける深さを表すもので、月の視直径(見かけの直径)の25.1%まで地球の影が入りこむことを意味しています(説明図)。下の記事の執筆者も誤解しているようで、〝about 25% of the lunar disk will be in shadow〟と書いています:

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2017年8月6日日曜日

スコットランドで30年ぶりの「大地震」 ― イギリス


スコットランド西部で8月4日午後3時43分ごろ(日本時間同日午後11時43分ごろ)、M3.8(深さ11km、震央地図)の地震が発生しました。同地域では1986年9月に発生したM4.1以来の大きな地震とのことです:

揺れを感じた住民の一人は、〝Never felt anything like that, like the ground beneath us was exploding. Terrifying! (こんな揺れは初めてだ、足下の地下で爆発が起きたようだった、恐ろしい!)〟とツイートしています。

以下はBGS(英国地質調査所)の情報です。約2分後と約2時間50分後に余震が記録されています:

BGSによると、スコットランドで記録された最大の地震は 1880年に西部で発生したM5.2とのことです。


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箱根山の火山活動に変化


箱根山(地図)では、今年5月ごろから噴出する火山ガスの組成に変化が現れています。

火山ガス中の「二酸化炭素の硫化水素に対する比率」が上昇。これはマグマから発生するガスの量が増えていることを意味し、地下のマグマが上昇し、火山活動が活発になっている可能性を示唆するとのこと。ただし、「地震などは伴っておらず、活動活動変化の度合いは小さい」とみられています:

現地調査を毎月おこなっている東海大学・大場武教授の研究室のホームページ:

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2017年8月5日土曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-170)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 7月29日16:00 付けで更新情報を出しています ―― 前兆終息せず、8月8日± に地震発生の可能性:

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期前兆が完全終息したことを確認後に計算し確定する予定。現状で最も早期の可能性は8月8日±2日
推定時刻 午前9時±1時間 または 午後6時±3時間
推定震央領域 岐阜県、愛知県、福井県、石川県南部、滋賀県北部、京都府北部など 更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
火山近傍の可能性が示唆されるため、地図上に御嶽山・乗鞍岳・焼岳領域と白山領域を斜線で表示。前者の領域(地図中のA)の方が可能性が高い。
前兆影響局誤認の場合は福島付近の可能性があるが、不整合な前兆があるため上記が考えやすい。
推定規模 M7.8 ± 0.5
7月11日から14日にかけて出現した噴火前兆が関連している場合には、地震活動にともなって火山噴火の可能性もあり。
推定地震種 震源の深さ30km以浅の陸域地震
 

▼ 現状
  • CH02(八ヶ岳) (記載なし)

  • CH17(八ヶ岳) (記載なし)

  • CH21(八ヶ岳) 7月26.7日に静穏化するも、7月29日未明から特異前兆が再出現、現在も継続中(更新情報冒頭のグラフ参照)。

  • CH26(八ヶ岳) (記載なし)

  • CH29(八ヶ岳) (記載なし)

▼ 考察
  • 現在は第24ステージ。

  • 前回の更新情報では、7月27日±、8月1日±、8月7日± の時期に地震発生の可能性があるとし、対応する前兆終息時期を示したが、現時点で前兆が終息していないため、7月27日± と8月1日± の可能性は否定。

  • 7月29日未明から再出現しているCH21の特異前兆について、直前特異(静穏化後に前兆が短時間再出現する現象)の可能性を検討したが、これまでに出現したどの極大とも調和しない → CH21は完全静穏化しておらず、まだ前兆期間中であると判断。

  • 第24ステージの前兆出現状況を見直した結果、8月8日± が示唆される。

  • 8月8日± に地震発生の場合は、8月5日± に前兆が静穏化する見込み。

  • 過去に8月中に大型地震が発生したケースは少ない → 8月7日時点で前兆が継続している場合には、地震発生は9月以降になる可能性も否定できない。

串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:

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