2024年10月22日火曜日

10月28日は大地震の特異日?

 
読売新聞』の記事です。
 
「なぜか、10月28日は大地震の特異日のようです」とのことです:
 
記事中に例として挙げられている  4つの大地震のうち、濃尾地震(1891年)と宝永地震(1707年)はグレゴリオ暦(現在使われている太陽暦)で 10月28日に起きていますが、慶長三陸地震は旧暦(太陰太陽暦)で慶長16年10月28日(1611年12月2日)、相模・武蔵地震はユリウス暦で 10月28日(878年9月29日)の発生ですから、統一されていません。過去の大地震や被害地震のリストを調べても、10月28日が特異日というほど地震が多いという傾向は見られません。
 
このブログの過去の記事も参照してください:
 
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小惑星 2024 TK22 が月と地球に接近・通過

 
小惑星〝2024 TK22〟が 10月15日に月と地球の近くを通過していたことが、NASA/JPL による 10月21日付のデータベース更新で明らかになりました。
 
2024 TK22
(2024年10月21日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月15日 11:25
 (地球)10月15日 18:02
接近日時 誤差
(月)± < 1 分
(地球)± < 1 分
接近距離 (月)0.59 LD
(地球)0.37 LD
推定直径
3 ~ 6 m
対地球相対速度
10.7 km/s ≅ 3万8000 km/h
初観測から地球接近まで1 日
次の地球接近2025年3月11日
公転周期624 日 ≅ 1.71 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2024年10月21日月曜日

南極の巨大な「扉」の謎

 
東オングル島にある日本の昭和基地に近いクイーン・モード・ランド(Queen Maud Land)で見つかった巨大な扉のような氷の地形(地図)。グーグル・マップで見つかったその「扉」については様々な憶測が飛び交っています:

ニューカッスル大学の氷河学講師、ベサン・デイビス(Bethan Davies)教授は、Google Earth Pro で座標を調べた結果、「座礁してその場で溶けている氷山だ」としています。


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イースター島のジルコンがプレート・テクトニクスに疑問符

 
イースター島の火山性ジルコンを研究している地質学者が、予想外に古い 1億6500万年前のサンプルを発見。この発見は、長年信じられてきた「ベルト・コンベア」理論に疑問を投げかけるもので、マントルは考えられていたよりも静止しており、古代の物質を保存している可能性があることを示している:

記事の概略は以下のとおりです ——

ジルコンの年代測定とは: マグマが冷えると、含まれているジルコンは結晶化する。ジルコンには少量のウランが含まれており、放射性崩壊によって徐々に鉛に変化する。その変化の速さがわかっているので、残っているウランと鉛の比率から、それらのジルコンがどのくらい前に形成されたかを測定できる。

イースター島は、いくつかの死火山から成り立っている。最も古い溶岩堆積物は、火山自体よりもそれほど古くない海洋プレートの上に約 250万年前に形成された。

地質学者たちはイースター島で数百個のジルコンを採集した。驚くべきことに、250万年前のものだけでなく、さらに古い 1億6500万年前のものも発見された。どうしてこのようなことが起こり得るのだろうか?

化学分析により、ジルコンの組成はすべてのケースでほぼ同じであることが判明した。したがって、それらはすべて、今日の火山と同じ組成のマグマから生じたと考えられる。

しかし、それらの火山が 1億6500万年も活動していたはずはない。なぜなら、それらの下にあるプレートはそれほど古くないから。そうなると、ジルコンは今日の火山が形成されるずっと前に、プレート下のマントル内にある火山活動の源で発生したということになる。

イースター島の火山は、ハワイ諸島と同様の「ホットスポット火山」である。これらは、地球の深部のマントルからゆっくりと上昇するマントル・プルームから形成される。

マントル・プルームがプレートの底に近づくと、プルームの岩と周囲のマントルの岩が溶けて火山を形成する。プレートがマントル・プルームの上を移動する間、マントル・プルームは非常に長い間その場所に留まる。プレートが少し移動するたびに、マントル・プルームは新しい火山を生み出す。

地質学者たちは、イースター島の下のマントル・プルームが 1億6500 万年もの間活動していたという証拠を発見したのだろうか?
 
現在のイースター島の場所の 1億6500万年前の復元図からは、当時の地形が 1億1000万年前に南極半島の下に沈み込んでしまったことが判明した。そして、イースター島の下のマントル・プルームが、少なくとも当時から活動していた可能性があることを示している。古い時期のジルコンは古い時期のマグマの残滓で、火山噴火にともなって、より若いマグマとともに地球の深部から地表に運ばれたと考えられる。
 
古典的なベルト・コンベア理論は、マントル・プルームは定位置に留まり、周囲のすべてのものが動き続けるという観察事実とすでに矛盾をきたしていた。
 
矛盾を避けるため、プルームが非常に速く上昇するため、プレートとともに移動するマントルの影響を受けない、という説明がある。新しいプルームの物質がプレートの下に絶えず供給され、新しい火山を形成しているのだという。
 
しかし、その場合、古いプルームの断片は、古いジルコンとともに、マントルの流れによってイースター島の位置から運び去られ、現在地表にあるはずがない。プルームを取り囲むマントルが基本的にプルーム自体と同じくらい静止している場合にのみ、それらの古代の鉱物が保存された可能性があるという結論になる。
 
イースター島での古代の鉱物の発見は、地球のマントルがこれまで想定されていたよりも根本的に異なる動作をし、はるかにゆっくりと移動していることを示唆している。

——
 

小惑星 2024 UF が地球と月に接近・通過

 
10月19日から 20日にかけて、高速の小惑星〝2024 UF〟が地球と月の近くを通過したことが、NASA/JPL による 10月20日付のデータベース更新で明らかになりました。
 
2024 UF (2024年10月20日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月19日 22:34
 (月)10月20日 02:24
接近日時 誤差
(地球)± 2 分
(月)± 1 分
接近距離 (地球)0.85 LD
(月)1.28 LD
推定直径
14 ~ 31 m
対地球相対速度
21.4 km/s ≅ 7万7000 km/h
初観測から地球接近まで−1 日
次の地球接近
公転周期1515 日 ≅ 4.15 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2024年10月19日土曜日

機械学習を用いた地震予測の精度向上

 
Nature』に掲載されている地震予測に関する論文(報告)です。著者はいずれも米国のジョージア・サザン大学の研究者です。高度な機械学習とニューラル・ネットワーク技術を駆使して地震予測の精度を向上させる取り組みについて述べています。こういう情報に触れると、少なくとも人工知能や地震予測の分野では、日本は欧米や中国に比べて遅れているとつくづく感じます:
 
以下は "Introduction" からの抜粋・テキトー訳です ——

以前の我々の研究では、ロサンゼルスに対して予測パターン・マトリックスを開発し、6つのカテゴリの 1つで最大マグニチュードの地震を予測する際に 69.14%の精度を達成した。この最​​初の成功により、重要な疑問が生じた。このレベルの予測精度は、他の地震活動が活発な地域でも再現できるだろうか?、さらに向上できるだろうか?この疑問を追究するために、我々は研究を世界的に最も地震が発生しやすい地域の 1つである北アナトリア断層に近い都市、イスタンブールにまで拡大し、91.65% の精度を達成した。これらの有望な結果を基に、我々はさらに手法を改良し、サンディエゴで 98.53% の精度を達成した。

サンディエゴとイスタンブールでの成功に勇気づけられ、我々は再びロサンゼルスを対象とし、以前達成した 69.14% の精度を上回ることができるか否かを確かめた。その結果は肯定的なものだった。我々はロサンゼルスの地震を 97.97% の精度で予測することに成功した。結果は、機械学習技術を使用して地震予測の精度を大幅に向上させる可能性を示しており、より効果的な災害への備えと対応戦略に貢献するものである。

本研究では、過去 12 年間に記録されたすべての地震を含む包括的なデータセットを利用して、さまざまな機械学習およびニューラル・ネットワーク技術を適用し、ロサンゼルスの地震を予測した。高度な特徴量エンジニアリングを通じて、以前の研究で得た重要な予測入力変数を組み込んだ特徴マトリックスを構築した。以前の研究では、深部地震パターンの特定、さまざまな予測モデルのテスト、地震周波数特性の調査など、地震予測の精度を高めるためのさまざまな戦略が提案されている。これらの基礎的な研究を基に、16 種類の機械学習およびニューラル・ネットワーク・アルゴリズムを開発して評価し、30 日間の期間内に発生する可能性のある地震の最大規模を予測するための最も効果的なモデルを決定した。

我々の得た知見は重要である。ランダム・フォレスト・モデルが最高のパフォーマンスを発揮し、97.97% の精度を達成した。この高い精度は、以前の取り組みに比べて大幅に改善されており、機械学習技術が地震予測機能を高める可能性を裏付けている。

我々の研究は、1990年から2024年までの地震予測に関する多様な研究に基づいている。

我々の研究は、地震予測に関するさまざまな研究の結果を統合することにより、ロサンゼルス地域に特化した予測モデリング手法を高度化することを目標としている。機械学習アルゴリズム、特徴抽出方法、高度なニューラル・ネットワーク・アーキテクチャを統合することで、地震予測の精度と即応性を向上させ、災害への備えと対応戦略を強化することを目指している。

——
 

十和田(火山)で火山性地震急増

 
10月17日、気象庁の常時観測火山・十和田(地図)で火山性地震が急増(22回)しました。
 
気象庁「十和田の火山観測データ」より(クリックで拡大)

十和田で火山性地震の回数が 20回を超えたのは 2023年7月6日以来です:
気象庁が 10月8日に発表した「十和田の火山活動解説資料(令和6年9月)」(PDF形式)には、「深さ 5km 前後で発生している地震は、今期間は少ない状態で経過しました。また、より浅い場所を震源とする火山性地震は観測されませんでした」、「2023年前半から十和田湖を挟む東西の基線において、基線長のわずかな伸びの変化が認められています」と書かれています。
 
十和田の最後の噴火は平安時代(西暦 915年)のことで、マグマ噴火、マグマ水蒸気噴火、泥流発生があり、火山爆発指数(VEI)は 5(非常に大規模)であったとされています。
 
 
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2024年10月18日金曜日

Wakulla Swamp Volcano: フロリダの湿原の奥にあるという伝説の活火山 (その6)

 
 
(その煙の巨大な塊は)おそらく、タラハシー(地図)の南、スマトラ(地図)とカラベル(地図)の間にある場所から発生したと思われる。この場所はテイツ・ヘル(Tate's Hell、地図)と呼ばれている。200平方マイルの荒野で、現在でも地図が作成されていない部分がある。

しばしば、フロリダの「忘れられた海岸」と呼ばれる場所にあるこの森は、1870年代に、家畜を襲ったピューマを追って 20万エーカーの森で道に迷った地元の開拓者、セベ・テイト(Cebe Tate)にちなんで、この変わった名前が付けられた。

地元の伝承によると、数日後、この 45歳の男はカラベル近くの空き地から出てきて、「私の名前はセベ・テイト。地獄から戻って来た!」とつぶやき、倒れて死んだという。

今日まで、森は呪われているという噂が絶えない。しかし、真実は伝説というよりはありふれたもので、今日ではほとんどの人が、煙は長く燃え続けた大きな火災が原因であるという説明を受け入れている。

それでも、1880 年に『タラハシー・パトリオット』紙に掲載された記事は疑問を投げかける。その記事では、最長老の地元住民が、半世紀の大部分の時期において、黒い煙を目撃していたと書かれている。

また、ワクラ郡(Wakulla County)では、大きなゴロゴロという音がよく聞こえていたと書かれている。その音は強烈で、フランク・ディングル(Frank Dingle)の一家は、ぐっすり眠っていたのに「目が覚めて家の外へ走り出た」ほどだった。

住民は、噴出は「炎のような舌を上空に高く噴き上げ、通り過ぎる雲に反射する大きな火」のようだと述べている。

また、「火山」活動は 1886年の地震で終わってしまったのではなく、単に休眠状態になっただけであり、4 年後には目撃が再開されたという主張もある。
 
——
 
(続く)
 

2024年10月17日木曜日

今夜、スーパームーン、今年最大の満月

 
今夜 20時26分、満月となります。2024年では地球から最も近い位置の満月です。月が近地点を通過後 10時間35分で満月となるため、スーパームーンに該当します:

「マグニチュード 8.2 以上の巨大地震 12 例のうち 9 例が大潮での出来事だったそうです。逆に、潮汐力と小さな規模の地震との間には明らかな相関は見られなかったといいます」、「月の満ち欠けと地震の関係性は、あくまで“可能性”の示唆であることはしっかりと把握しておきたい点です」:
 
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近畿圏中心領域大型地震 (続報-305)

 
八ヶ岳南麓天文台(地図)の串田氏が「No.1778 長期継続大型地震前兆」について 10月16日17:00 付けで「続報 No.372」(PDF形式)を出しています。
 
前回の更新情報(9月14日15:00 付け)では次のように推定されていました ——
 
11月1日±3日に地震発生の可能性。前兆変動終息推定時期は 10月13日±3日。この時期に前兆変動が終息するかを確認する必要あり。
 
今回の更新情報では以下のように推定されています ——
 
直前変動(10月3.4日)等が観測され、11月1日±2日に地震発生の可能性が考えやすい。11月1日±2日発生の可能性が正しい場合は、現在継続中の変動は 10月26.5日±1日まで継続する見込み → 最終決定は 10月27日まで困難。
 

推定日11月1日 ±2日に発生の可能性
最終前兆変動終息を観測後に発生日修正予定
推定時間帯 09:00 ±2時間 または 18:00 ±3時間
推定震央領域

続報 No.372」所載の図3参照(太線領域内=大枠推定域; 斜線領域=可能性が考えやすい推定領域; 震源域が火山近傍である可能性高い)
推定規模 主震が単発の場合:M8.0 ± 0.3;
複合地震の場合:M7.4 ± 0.3 + M7.3 ±0.3 など
推定地震種 震源が浅い陸域地殻内地震
その他 火山噴火型前兆変動が観測されたため、地震に伴い震源近傍で火山噴火の可能性も否定困難。しかし、前兆変動の出現形態は噴火型ではなく地震前兆型であり過去の噴火例と異なるので、噴火型は単に火山近傍大型地震を示している可能性が高く、噴火しない可能性の方が若干考えやすい。(2016年発生の熊本地震は火山近傍地震型極大であったが、今回は噴火型で極大を観測している。)
 
 
このブログ記事のタイトルが「近畿圏・・・」となっているのは、当初の推定震央領域が近畿圏とされていたためです。その後、推定領域は徐々に東にずれ、現在は長野県や群馬県を中心とした地域とされています。推定領域が変化するにしたがってタイトルを変えると、過去の記事の検索が不便になると考え、当初のタイトルのままとしています。
 
 
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