2016年8月31日水曜日

カトラ山で最大級の地震 ― アイスランド


アイスランド南部にあり、同国で最大級かつ最も危険な火山の1つとされているカトラ山地図)が不穏な動きを示しています。

8月29日午前1時30分(現地時間)ごろからカトラ・カルデラ内で群発地震が始まり、その後、M4.5とM4.6の地震が発生しました。この規模の地震がカトラ山で発生するのは39年ぶりです。カトラ山の噴火間隔は平均約50年。最後の噴火からすでに98年が経過しています:

その後、地震活動は静穏化していますが、付近の河川で二酸化硫黄と硫化水素の濃度が上昇しており、住民は河川に近づかないように警告されています。今後、氷河が融解するなどして河川の水量が急激に増える危険性も指摘されています:

アイスランド中央部にあり、2014年夏から2015年春にかけて噴火を続けていたバゥルザルブンガ(バルダルブンガ、Bárðarbunga)・カルデラ(地図)でも、8月30日からM3.8を筆頭に地震が続発しました:

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9月に接近するキロメートル級小惑星


推定直径が1km以上の小惑星で、9月中に地球に接近すると予報されているものは1つです。かなり遠いところを通過するので、地球に影響をおよぼすことはありません:

小惑星 推定直径
(km)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
250458 (2004 BO41) 0.7~1.6 9月7日 15:49 38.90
(1LD=地球から月までの平均距離)

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東海地震説から40年、予知信仰の崩壊


1976年8月に東海地震説がスクープ報道されてから40年。以下は、8月28日から30日まで、『中日新聞』に連載された記事です。

「国家プロジェクトとして研究できることに学会は色めき立っていた。政治家も便乗した。予知の科学的証明を待たずに78年、予知を前提とする『大規模地震対策特別措置法(大震法)』が成立」、「しかし、いまだに地震を予知する科学的根拠は見つかっていない」:

「予知の科学的根拠が明確に示されないまま、国は東海地震を特別扱いしてきた」:

最後にゲラー教授登場(写真に写るときにはもう少し背景を整理した方が良いのでは)。「(地震発生の)周期説が科学的に証明されたことは一度もない。南海トラフ巨大地震もまた、周期説に基づくシナリオの一つだ」、「(前兆現象の)観測事例は大量にあるが、どれも発生後にさかのぼって集めたデータで、地震との因果関係が認められたケースはない」、「一部の学者が国の予算を引き出す『打ち出の小づち』として『地震予知』という名目を使った。大地震もしばらく起きず、予知ができないことがばれなかった」、「うそだった。大震法を廃止して、けじめをつけるべきだ」:

その大震法にもとづく地震防災対策強化地域判定会が8月29日に開かれました。いつもの「東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません」という文言に続いて、「7月25日から8月5日にかけて、三重県から愛知県西部のプレート境界付近を震源とする深部低周波地震(微動)を観測しています」、「7月26日から8月7日にかけて、三重県、愛知県及び静岡県の複数のひずみ観測点でわずかな地殻変動を観測しました」とのこと:

大震法を廃止したとたんに東海地震が発生するような気がしてなりません。

2016年8月30日火曜日

避難勧告、避難指示、警戒区域


知っておいた方が良いかも。避難勧告と避難指示には罰則なし。ただし、「正当な理由なく警戒区域から避難しないと罰則があります」:

雷や地響きのような音 ― 北海道札幌市


8月29日、北海道札幌市内で雷や地響きのような音が断続的に聞こえました。25kmほど離れた恵庭市にある陸上自衛隊の演習場(地図)で戦車の射撃訓練がおこなわれており、それが原因となった可能性があると自衛隊は認めていますが、「特別な弾薬などを使ったわけではなく、通常の訓練。仮に訓練が騒音の原因だとすれば、札幌まで響くのは珍しい」としています。当時は恵庭市から札幌市に向かって南東の風が吹いていたとのことです:

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近畿圏中心領域大型地震 (続報-110)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が8月29日17:30付で更新情報を出しています。前兆は依然として継続中、9月4日前後に地震発生あるいは新規極大出現の可能性:

更新情報のまとめです ――
  • これまでの推定

    • 7月26日=初現、8月9.0日=極大として、8月28日±に前兆終息、9月3日±に対応地震発生の可能性
    • 火山帯近傍地震前兆からも9月3日±が推定日(群発経験則)

  • 現状 ― 第17ステージと認識

    • 8月29日夕刻現在、残存している前兆は八ヶ岳のCH20とCH21の特異状態のみ。CH20は微弱。
    • 8月9日極大に対する前兆は終息したもよう → 9月4日±を示す。
    • 火山性前兆には9月2日、3日±を示す関係が複数みられる。

  • 高知観測点の状況 ― 小極大出現

    • 8月25日午後~26日午後にK10に顕著な特異状態が出現。ただし、機器障害のため欠測があり、初現は不明。
    • 8月26日~27日にはK1に顕著な特異状態が出現。
    • 8月29日夕刻現在、K1とK10はともに正常状態。

  • CH20とCH21が完全終息していない理由 ― 2つの可能性

    1. 8月26日に小極大が出現した影響。この場合、9月2日に前兆終息、9月4日に地震発生の可能性。
    2. 9月4日±は地震発生日ではなく、新たな極大または前兆の出現日である可能性。

  • 推定

    • 9月2日夜までに八ヶ岳CH20とCH21の前兆が終息した場合 → 9月4日または5日に地震発生。
    • 9月3日段階で八ヶ岳CH20とCH21の前兆が継続している場合 → 9月4日±の地震発生は否定、新規極大または新規前兆が出現。

    • 9月4日または5日に地震発生の場合、火山性前兆の群発経験則と調和的であるので、噴火に至らず群発的に大型地震が発生とする方が考えやすい。
    • 9月4日±に対応地震発生がなく、前兆が継続している場合は、再考の上、続報。

推定時期 9月4日または9月5日
ただし、新規前兆出現の場合は、地震発生はさらに先になる。
推定時刻 午前9時±1時間(または午後6時±3時間)
推定震央領域 更新情報の地図参照
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の浅い地震


串田氏の地震予測についてお知りになりたい方は、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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2016年8月29日月曜日

大西洋中央海嶺で M7.1


このブログの過去記事 2011年8月12日付「アセンション島で地震連続」へのアクセスが急増したので気づきました。

8月29日午後1時30分ごろ(日本時間)、大西洋中央部アセンション島(地図)北方の海域で M7.1(気象庁はM7.4と発表)、深さ約10km の地震が発生しました(震央地図)。アフリカ大陸と南米大陸の間に伸びるロマンシュ断裂帯(概略地図)で、右横ずれトランスフォーム断層が動いたことに起因する地震です:

震央はアセンション島の北北西約950kmです。目標の少ない大西洋の真ん中ですので、震央の位置を示すのに、こんなに遠くの島を引き合いに出さざるを得ないようです。

以下は USGS の〝Tectonic Summary〟からの抜粋です:
  • この地震の震源付近では、ヌビア(アフリカ)プレートと南米プレートの間が、1年におおよそ 29mm の速さで開いている。

  • ロマンシュ・トランスフォーム断層では、中規模や大規模な地震が珍しくない。今回の地震の震央から250kmの範囲内では、過去1世紀間に M6.5からM6.8 の地震が6件発生している。今回の地震と同一の断層沿いで発生したとみられる。

  • そのうちの最大であるM6.8の地震は、今回の地震発生の43年と1日前、すなわち1973年8月28日に、今回の震央から南西に約30kmの地点で発生した。

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巨大なキノコ雲 ― ロシア


8月28日、シベリア西部ケメロボ州地図)で核爆発のキノコ雲と見まがう巨大な積乱雲かなとこ雲)が目撃・撮影されました:
  1. Giant mushroom-shaped cloud scares locals in Siberia (写真、動画あり)
  2. Spooky mushroom cloud has locals fearing a nuclear bomb (写真、動画あり)

記事(1)の末尾の写真は、7月18日に米国アリゾナ州フェニックスで撮影されたダウンバーストです。核爆発のキノコ雲にそっくりです。以下は見かけが似ている雨柱の写真です:

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人を殺して地震を断つ


1970年から1973年にかけて、カリフォルニア州サンタクルーズ市(地図)とその周辺では、3つの大量殺人事件が相次いで発生していました。そのうちの1つは、人を殺せば地震の発生を防ぐことができるという犯人の特異な妄想が際立っていました:

以下は上記記事の主要部分をテキトー訳したものです:
サンフランシスコ市の住民は、かつて同市が大地震によって壊滅的被害を被ったことを知っているし、同じようなことが今後ふたたび起こりうることも承知している。しかし、いつ次の大地震〝Big One〟が起きるのかは謎のままである。

1972年の終わりごろ、ルーベン・グリーンスパン(当時67歳)は、アリゾナ砂漠にあった昔の予言者のような彼の隠棲場所から出てきて、「サンフランシスコは1973年1月4日午前9時にサンアンドレアス断層沿いで発生する大地震によって崩壊する」と予言した。グリーンスパンはグリニッチビレッジ出身の数学者で、1930年代以降、地震を予知することに何回か成功したという実績を持っていた。その予知方法は、月、太陽、星の地球に対する相対的な位置と潮汐のデータを照らし合わせるというものであった。

カリフォルニア大学バークレー校地震観測所の所長、ブルース・A・ボールトはグリーンスパンの予言を「たわごと」と呼び、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニスト、ハーブ・カーンはこの不吉な予言者を、ざらにいる「ペテン師、いかさま師、嘘つき」の一人と非難した。カーンはサンフランシスコ市民が同市のことをフリスコと呼ぶのを止めさせることには成功したが、1972年が終わりに近づくにつれて市民がパニックに陥るのを止めることはできなかった。(大手保険会社の)ステート・ファームは地震保険の売り上げが増加したと報告し、サンフランシスコ湾岸地域の住民の中には、念のために市外への避難を計画する者もいた。

サンタクルーズ市近くのカリフォルニア州フェルトンに住んでいたハーバート・マリン(当時25歳)は、近づいてくる災害を防ぐ計画を持っていた。その計画の中には多くの人々を殺害することが含まれていた。

マリンは後日、次のように説明している ―― 「世界の歴史が始まって以来、われわれ人類は人を殺すことによって、地殻が激変するような大地震からわれわれの諸大陸を護ってきた」、「言い換えれば、小さな自然災害は大きな自然災害を予防するのだ」。

1972年10月13日、サンタクルーズ山脈中の人里離れた道路で、マリンはローレンス・ホワイト(当時55歳)を野球のバットで撲殺した。その11日後、マリンはヒッチハイキング中だったカブリリョ大学の学生、メアリー・ギルフォイルを自分の車に乗せた。マリンは彼女の胸と背中を刃物で突き刺し、遺体を山の中に遺棄した。数ヶ月後に遺体が発見されたときには腐敗が進んでおり、検死官は殺人か否かを判別できなかった。

1972年11月2日、マリンは、ロスガトス市内の教会の懺悔室から出てきたアンリ・トメイ神父を刺殺した。トメイは第二次世界大戦中、フランス・レジスタンスとともにナチスと戦った経歴の持ち主で、マリンのこれまでの犠牲者よりも手強かった。胸を刺された後も、トメイはナイフを取りあげようとして格闘し、その最中にマリンの耳のあたりを蹴っていた。マリンはナイフを取り戻すと、神父を死ぬまで刺し続けた。トメイが殺害されたのは万聖節(ハロウィーンの翌日)の当日であったため、報道機関は悪魔崇拝のカルト教団の仕業ではないかと憶測した。

マリンが生まれたのは1947年4月18日で、1906年のサンフランシスコ地震から41周年の記念日に当たっていた。アルバート・アインシュタインは1955年のこの日になくなっている。後にマリンは、この日に生まれたことがベトナムで戦死する運命から彼を超自然的に護ったと信じるようになる。マリンの幼少期のしつけは比較的普通のものであったが、高等学校卒業後のあるときから「声」が聞こえるようになったという。20歳代の半ばまでには、「声」は彼に「殺せ」と告げるようになっていた。

最初の殺人を犯す前、マリンはカリフォルニアとハワイの精神病院で入退院を繰り返していた。精神科医は彼を重度の妄想型統合失調症であると診断した。日増しに高まる彼の不穏な行動を無視できなくなった両親は彼を収容してくれる施設を捜したが、当時のドナルド・レーガン州知事の度を超した予算削減指向によってカリフォルニア州の精神医療システムはすでに疲弊しきっていた。マリンは自由に出歩くことができ、投薬治療を受けることもなかった。1972年12月には、まったく何の問題もなく22口径の拳銃を手に入れることさえできた。

大地震が起きると予言されていた1月4日になり、さらにその日が過ぎても、サンフランシスコが崩壊して海に沈むことはなかった。予言をしていたルーベン・グリーンスパンは、自分の計算が間違っていたと語った。マリンは自分の殺人活動が効果を現している(地震を防いでいる)と確信し、殺人を続けた。

1973年1月25日、マリンは5人を殺害した。もっとも若い犠牲者は4歳のデーモン・フランシスだった。マリンは後に、犠牲者たちはテレパシーを通じて殺していいよと彼に告げていた、と主張した。

1973年2月6日、ヘンリー・カウエル・レッドウッズ州立公園内の臨時のキャンプ場で、マリンは偶然出会った若者4人を射殺した。マリンは犠牲者の所持品の中にライフル銃かあるのを見つけ、後に必要になるかも知れないと考えてその銃を自分のステーション・ワゴンに積み込んだ。

1週間後、マリンは両親の家にたくさんの薪を届けることになった。その時、父親の「声」が聞こえた。「薪を届ける前に、私のために誰かを殺してくれないか。」 マリンはその求めに応じて、キャンプ場の犠牲者から奪ったライフル銃で72歳のフレッド・ペレスを射殺した。ペレスを殺害した後、マリンは彼の青色のシボレー・ステーション・ワゴンにもどり、薪を届けるために両親の家に向かって冷静に車をスタートさせた。警察が彼を逮捕したのはその数分後のことだった。

マリンは13人の殺害を自供し、終身刑の判決を受けました。

2016年8月28日日曜日

ラクイラ地震とプレートテクトニクス (改訂版)


この記事は2009年4月21日付の同名記事を改訂したものです。今年8月24日にイタリア中部で M6.2 の地震が発生して以降、当該記事へのアクセスが増えていましたが、記事中のリンク先がサイトの引っ越しやコンテンツの削除などによってほとんどがリンク切れの状態になっていました。それらの不具合を解消し、文章を若干手直ししたのがこの改訂版です。

(2009年)4月 6日にイタリアで発生した M6.3 のラクイラ地震については、日本でもいろいろ報道されています。しかし、この地震がどのようなテクトニクスによって発生したのか、明確に説明した報道はなかったように思います。たとえば、朝日新聞が 4月 7日朝刊に掲載した記事では、次のように書かれています:
北西-南東方向に延びる断層面を境に、地面が両側に引っ張られる正断層型とみられる。

イタリア半島は、すぐ南の地中海で、アフリカプレート(岩板)が北上してユーラシアプレートに衝突し、内陸部にひずみが蓄積されている。

さらに、この一帯では、より細分化された「マイクロプレート」と呼ばれる塊がひしめき合っている。このため、さまざまなタイプの地震が起きることが知られている。
アフリカプレートとユーラシアプレートが衝突し、互いに押し合っている地域で、内陸部にひずみが蓄積されているという点までは良いのですが、そのような場所で「地面が両側に引っ張られる正断層型」の地震が起きたのはなぜでしょうか。記事では、「『マイクロプレート』と呼ばれる塊がひしめき合っている」からだと説明していますが、これですんなり納得できる読者はどの程度いるのでしょうか。記事を書いた記者本人も、この地震の発震機構についてよくわかっていないのではないでしょうか。

少し詳しいプレートテクトニクスの教科書などで地中海地域のテクトニクスを調べると、ユーラシアプレートとアフリカプレートの間の非常に込み入った境界を示す図や、この地震の発震機構につながる説明があるのですが、ネット上でわかりやすい説明はなかなか見つかりません。そんな中で、エジンバラ大学の地質学者が自身のブログに簡潔な説明を載せていますので紹介します(所属大学は執筆当時のものです):
上記ブログ記事の内容を説明する前に、イタリア周辺の基本的な地名について書いておきます。長靴の形をしているイタリア半島ですが、その付け根を取り囲むように屹立しているのがアルプス山脈、イタリア半島の中央部を北西から南東に向かって貫いているのがアペニン山脈です。今回の地震はこのアペニン山脈で発生しました。長靴(イタリア半島)のつま先で蹴飛ばされている小石のように見えるのがシチリア島、長靴の脛(すね)に向かい合っている2つの大きな島は、南側がイタリア領のサルデーニア島、北側がフランス領のコルシカ島です。これら 3つの島とイタリア半島に取り囲まれている海がティレニア海、長靴の底に面しているのがイオニア海、そして、長靴のふくらはぎ側に面しているのがアドリア海です。

上記ブログ記事には 3つの図が掲載されています。これらを上から順番に図1、図2、図3と呼ぶことにします。

図1 は、1981年から2002年の間に発生した地震の分布図です。記事によれば、ほとんどがアペニン山脈沿いで発生する震源の浅い小規模地震で、マグニチュードは最大でも 5、しかし過去 100年間では マグニチュード 6以上の地震が 9件発生しているとのことです。米国地質調査所(USGS)版の分布図は以下にあります:
図2 は、今回の地震の発震機構を示す震源球を簡略化して描いたものです。実際の発震機構を描いた図は以下にあります。計算に使う観測データや計算方法によって微妙な差がありますが、本質的な差はありません:
いずれの図を使うにせよ、これらの図からわかることは、今回の地震が正断層型であり、断層の走向はおおよそ北西-南東の方向、断層を動かした力はそれと直交する北東-南西方向の張力ということです。この張力はアペニン山脈と直交する方向に働いています。

発震機構を示す図の見方については、以下の気象庁のページにわかりやすい説明があります:
いよいよ本題の図3 の説明になります。記事から引用・意訳します:
なぜアペニン山脈で伸張応力による拡張が起きているのだろうか。地中海西部のテクトニックな歴史は、実のところ非常に込み入っている。アフリカとヨーロッパのプレートが動くことによって、その間にあった大きな海洋の最後の部分は、沈み込みによってほとんど破壊されてしまった。現在この地域にある海洋地殻は、最近 4000万年程度の間に背弧海盆の拡大によって新たに形成されたものである。現在の両プレート間の衝突境界(衝上断層と海溝)は、図3に赤い線で示されているように、イタリア半島の東岸と南東岸からシチリア島を経て、北アフリカまで延びている。この衝突境界は、赤い矢印で示してあるように、ヨーロッパから離れるように南方向と東方向に移動している。この移動によって上盤側(ヨーロッパ側、つまりイタリア半島)の地殻は引き伸ばすような力を受けている。

地理的に広い範囲で見れば、2つのプレートは衝突している。しかし、局地的なレベルでは、ティレニア海という背弧海盆が南西方向に拡大しており、この拡大がイタリアのテクトニクスの主要な原動力となっている。このため、アペニン山脈を形成した衝上断層は、現在では伸張応力に駆動される正断層として再活性化されている。残念なことだが、この衝上断層から正断層への転換によって地震の被害が軽減されることはない。
図3と同じようなプレート境界線は、日本で出版されたプレートテクトニクスの書籍でも見かけますので、大方の支持を得ている定説とみなして差しつかえないと思います。もちろん、研究者によって多少の差異はあります(たとえば、境界線がシチリア島の北岸を通るのか、南岸を通るのか、あるいはシチリア島を横断しているのか、など)。

背弧海盆とは、日本海やオホーツク海のように島弧と大陸の間にある(海溝側から見て島弧の背後にある)海のことです。背弧海盆は海洋性の地殻をもっています。また、多くの背弧海盆は、海嶺の両側で見られるような地磁気の縞模様をもっているので、拡大しているか、かつて拡大した時期があったと考えられています。

長くなりましたので、背弧海盆はなぜ拡大するのか、海溝のそばでなぜ正断層ができるのか、海溝はなぜ後退するのか、地中海東部と西部のテクトニクスの違い、などについては別途書こうと思っています。また、地中海地域のテクトニクスを造山帯の崩壊過程ととらえる考え方もできれば紹介したいと思っています。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency


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小惑星 2016 QA2 が地球に接近


8月28日午前10時26分(日本時間)、小惑星〝2016 QA2〟が地球に 0.23LD まで接近します(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は8月28日に発見されたもので、アテン群に属し、直径は比較的大きく、23~52mと推定されています。

最接近時の地球との相対速度は平均的で、秒速10.3km(時速約3万7000km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 QA223~52 8月28日 10:26 0.23

発見から地球接近までの時間が短い小惑星の例です。もしこの小惑星が地球に衝突する可能性があったとしたら、衝突地点の住民を避難させる時間的余裕はあまりないでしょう。落下地点が海である場合、海岸近くに落下すれば小規模な津波の可能性があります。2013年にロシアのチェリャビンスクに落下して大規模な人的被害をもたらした小惑星の直径は約17mと推定されています(Wikipedia)。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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シャークネード? ― オーストラリア


8月26日、南オーストラリア州 One Tree Hill(地図)で、道路脇の水たまりに生きたサメがいるのが見つかりました。すわ「シャークネード」(YouTube)かと騒がれましたが、警察は、当日の朝捕獲され投棄されたか、ペットとして飼われていたものが大きくなりすぎて飼えなくなったために遺棄された可能性があるとして、シャークネード説を否定しています:

問題のサメはネコザメ科(Port Jackson shark)の一種とみられています。動物愛護団体によって救出され水槽に移されましたが、その後、死んだということです。

映画「シャークネード」はB級以下の作品ですが、続編、続々編が作られたところを見ると、興行的には成功したのかも知れません。

2016年8月27日土曜日

続発する三陸沖地震と首都圏直下地震


これも防災の日(9月1日)を前にしての不安煽り記事です。耳慣れない「赤城山南麓の地震」という M8 クラスの大地震も出てきます:

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早く大地震が来てほしい


完成してから長い年月が経過したマンション。いつかは取り壊さなければなりませんが、その費用は区分所有者の負担になります。「大地震が来てマンションが壊れれば、公費で解体してもらえて、清算してやり直せる」、「耐震改修にお金をかけて最後の解体費用まで自分たちで工面しろと言われるよりよほど将来の見通しができる」、「阪神淡路、東日本、熊本の大地震で、耐震性が不足していてマンションは壊れても、人の命が失われたという事例はないじゃないか」:

どこもかしこも巨大地震のリスク


防災の日にちなんだ「正統派」の不安煽り記事です。長いです。「熊本地震のエネルギーは、いまだ完全に燃え尽きていません。これが意味するところは、日本最大の断層である中央構造線の西端地域で発生した先の地震が、“東に伝播している可能性がある“ということです」、「熊本地震を招いた布田川・日奈久断層は、30年のスパンでの地震発生確率がわずか3%程度だったのに対し、糸魚川・静岡構造線の場合は、その10倍の30%と予測されています」:

記事に登場している武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏には、『地震は妖怪 騙された学者たち』(講談社+α新書)という著書があります。その中に「地底を歩くカタツムリ妖怪」という節があって、1年に 20~40km の速度で伝わっていく移動性地殻変動という現象が紹介されています:
関東地方で、地面のわずかな傾きが変化していた。その変化が、東から西へ、ゆっくりと移動していくのが発見されたのである。地面の傾きが移動するということは、地面の膨らみが、西へ動いていったことを意味していた。

(中略)

その後、岩手県から秋田県にかけても、ゆっくりと地殻変動が西北に動いていったのが発見された。こちらは地面の傾きではなく、ごく小さい地面の伸び縮みの観測からわかった。

地面が数十万分の一縮んだほどのわずかな地殻変動が、太平洋岸から日本海岸へと、横切ったのである。

(中略)

この移動を時間を遡ってたどっていくと、陸から海に出て、さらに太平洋プレートが日本海溝へ沈み込むときに起きる大地震の震源域に至る。

そして、この移動した「なにか」は、大地震が起きたときに、ちょうどその震源に、その時間にいたことが分かったのである。

この移動性地殻変動が、熊本から別府-島原地溝帯と中央構造線に沿って今も東進しているかも知れません。


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2016年8月25日木曜日

カブトガニ大量死 ― 福岡県北九州市


福岡県北九州市の曽根干潟(地図)でカブトガニが大量死しています。6月ごろから急増し例年の8倍近くの約500匹。過去20年間の調査で最も多いとのこと。「猛暑による海水温の上昇に加えて、台風が来ずに海水が混ざらなかったことで、海水に含まれる酸素が少なくなったことが原因ではないか」:

毎日新聞の記事には「2004年に約300匹が死んだことがあったが、その時も原因はわからず、それ以来の大量死」とあります。関係ないとは思いますが、2003年~2004年と2015年12月~現在まで、豊後水道周辺ではスロースリップに起因すると推定される地殻変動が発生しています。また、かなり距離が離れていますが、2005年3月には福岡県西方沖地震(M7.0、深さ約10km、最大震度6弱)が発生しました。

人工知能で地震予知


米国ロスアラモス国立研究所のアピールです:

以下、テキトー訳です:
地震予知はなぜ難しいのでしょうか?

ポール・ジョンソンはロスアラモス国立研究所の地球物理学者で、現在、地震予知を目標にして実験と機械学習によるデータ分析をおこなっています。ジョンソンはロスアラモス国立研究所のフェローであり、米国音響協会のフェロー、米国地球物理学連合のフェローでもあります。

研究所の施設において、ジョンソンの研究チームは機械学習分野における新たな進展 ――  新たなデータにもとづいて自らを拡張・改良するコンピューター・プログラム ―― を適用することによって、地震を予知することができています。機械学習によって、研究チームは地震がいつ起きるかを告げる音響 ―― 扉のきしむような音によく似ている ―― を識別することができます。

実験は実際の断層を厳密に再現しているので、同じ手法によって最終的には地震がいつ起きるか(地震の規模ではない)を予知できるようになる可能性があります。この予知手法は、非破壊検査、あらゆる種類の脆性破壊、雪崩、構造物の健全性の監視、機械部品の不具合などなどを含むすべての障害シナリオへの広範囲な応用が可能です。

機械学習は人工知能の一分野です。最も詳細で厳密な地球内部構造のモデルを構築したことによって、昨年、ゴードン・ベル賞を受賞したIBMの研究者が、Watson(IBM社の人工知能システム)を使って火山噴火や地震予知にも挑戦してみたいと話していました:

超絶的な記憶力と思考スピードを持つ人工知能によって、地球内部の動きやその他の地象、気象、天象などありとあらゆる情報(宏観異常を含む?)を分析して、噴火予知や地震予知が可能になればすばらしいのですが、逆に人工知能が「地震予知は原理的に不可能です。無駄なことをさせないで」(ゲラー教授風)とご託宣を下すこともありうるかも、です。

イタリア中部の地震とプレートテクトニクス


USGSの "M6.2 - 10km SE of Norcia, Italy" にある "Tectonic Summary" をテキトー訳してみました:
イタリアのノルチャ(地図)の南東で2016年8月24日に発生した M6.2 の地震は、中部アペニン山脈内の北西-南東方向に走る浅い正断層が引きおこしたものである。

アペニン山脈は、イタリア南部のタラント湾から北部のポー盆地の南縁に至る山岳地帯である。地質学的には、アペニン山脈の大部分はプレートの沈み込みの結果生じた付加体(accretionary wedge)である。

この地域はテクトニクスの面でも地質学の面でも複雑である。アドリア・マイクロプレートが、ユーラシアとアペニン山脈の下に東から西に向かって沈み込んでいる。ユーラシアとヌビア(アフリカ)プレートの間の大陸衝突が、アルプス山脈地帯をさらに北に向かって隆起させ、ティレニア海盆を西に向かって拡大させている。

これらのゆっくりとした動きが、イタリアと地中海中央部を取りまく広範な地域で、あらゆる種類の地質構造のタイプを生じさせている。

2016年8月24日の正断層による地震はプレート内地震であって、現在アペニン山脈一帯を支配している東西方向の伸張応力によって発生したものである。この伸張応力は、主として、ユーラシアとヌビア(アフリカ)プレート間の圧縮を上まわる速度でティレニア海盆が拡大していることによって生じている。

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2016年8月24日水曜日

イタリア中部で M6 級地震


日本時間8月24日午前10時36分ごろ(現地時間午前3時36分ごろ)、イタリア中部で M6 級の地震がありました(震央地図)。EMSC(European-Mediterranean Seismological Centre)は M6.1、深さ4km、USGSはM6.2、深さ10kmとしています。正断層が動いたもようです:

まだ報道は少ないです。イタリア当局は震源を Perugia 近郊としています:

金星と木星が超接近


8月28日午前6時47分(日本時間)、金星と木星が 0°04′ まで接近します。満月の視直径がおおよそ 30′ (腕を伸ばして持った5円玉の穴の大きさ程度)ですから、かなりの大接近です。

前日の27日の日没前後、ほぼ真西の地平線近くに2つの惑星は輝いているはずです。金星はマイナス3.9等級、木星はマイナス1.7等級の明るさです。

日没時に金星と木星が接近して見えるということは、地球-太陽-金星-木星がほぼ一直線上に並んでいることを意味しています。月と太陽を除けば、金星と木星は地球に最も大きな重力的影響をおよぼし得る天体です。

8月27日午後1時58分には金星と水星が 5°16′ まで近づきます。水星は太陽からあまり離れないので、見るチャンスは多くありません。地動説を唱えたコペルニクスも生涯水星を見たことがなかったといわれています。27日の夕方、真西から少し南によった位置に見えているはずですが、日没時の地平線からの高度は 10°を下回っています。明るさはプラス1等級前後です。


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2016年8月23日火曜日

蔵王山で火山性微動・火山性地震・傾斜変動 (続報)


蔵王山(地図)では昨日(8月22日)、火山性微動や火山性地震が発生し、傾斜変動が観測されました。本日(23日)、気象庁が実施した現地調査によると、噴気や地熱などに変化は見られず、「火山活動に特段の変化はみられませんでした」とのことです:

新たな火山性微動は発生していません。火山性地震は昨日は3回発生しましたが、本日は16時までに1回観測されているとのことです。


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いずれ地震予知ができるようになると思いますか?


アメリカの科学誌『Scientific American』が、「人類の未来についての20の大質問」と題する記事を掲載しています。20の質問に対してそれぞれの分野の第一線の科学者が答えています:

20番目の質問は地震予知に関するもので、カリフォルニア大学バークレイ校・バークレイ地震研究所所長の Richard M. Allen 氏が答えています。

以下はそのテキトー訳です:
20. いずれは自然災害を予知できるようになると思いますか。たとえば、地震の発生を数日前あるいは数時間前に警告するという風に。

「いくつかの自然災害は他のものに比べて予測することが容易です。ハリケーンは数日かけて近づいてきます。火山は噴火に至るまでにしばしば数日ないし数時間の準備期間があります。竜巻は数分で襲来します。地震はおそらく最大の難題でしょう。地震発生の物理的過程についての知見は、私たちが地震発生の数日前にそれを予測することはできないということを示唆しています。私たちができることは、被害が発生するような揺れがやって来る前にそれを予測し、数秒から数分まえに警告を発することです。住んでいる街から脱出するには不十分ですが、安全な場所に退避するには十分な時間です。」

記事の日付は〝September 1, 2016〟になっていますが、少なくとも8月17日にはネット上で閲覧できるようになっていました。

蔵王山で火山性微動・火山性地震・傾斜変動


8月22日午後、蔵王山(地図)で継続時間約20分の火山性微動が発生しました。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動も観測されました。また、火山性地震が微動発生中に2回、微動後に1回発生しています:

蔵王山で火山性微動が観測されたのは3月6日以来、5ヶ月半ぶりです。

「火山活動はやや高まった状態から以前の状況に戻りつつあります」というのが気象庁の見解です。

台風9号の接近と火山性微動の発生(16時24分)には何か関係があるのでしょうか。気象庁の発表によると、台風9号の中心は16時に茨城県筑西市(地図)付近、17時に栃木県真岡市(地図)付近にあって、中心気圧は 980hPa でした。蔵王山からはおおよそ 190~200km 離れていました。


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地震不安 ― 去年の今ごろは


9月1日は防災の日。1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなんでこの日に定められました。

毎年、防災の日が近づくと週刊誌やネット上で大地震に対する不安を煽るような記事や情報が流されるのですが、今年は今のところ比較的少ないようです。熊本地震以降の地震関連報道でタネが尽きたか、オリンピックやアイドル(おじさん)・グループの解散で記事スペースに余裕がなくなったのか。

去年の今ごろ、どんな情報が流れていたのか、私のデータベースから抽出してみました:

2016年8月22日月曜日

低気圧になると地震が起きる?


関東地方に台風9号が接近しています。私の部屋にある気圧計は、午前8時から11時までの3時間で約6hPa気圧が下がったことを示しています。

気圧と地震の関係について、横浜地球物理学研究所のツイートから:





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火星が「火星の敵」に接近


8月24日、火星が「火星の敵」に 1°48′ まで近づきます。「火星の敵」とは、夏の南天で威容を誇るさそり座の1等星アンタレスのことです。以下は『星の神話傳説集成』(野尻抱影、恒星社、1975)からの引用です:
さそり座のアルファは、光度一・二等、距離百二十光年で、直径は太陽の二百六十倍であるという。
普通、アンタレースの名で有名である。これはギリシャ語のアンチ・アレース(火星の敵)がつまったもので、この星の色が、きみの悪いほど赤く、火星によく似ているからである。

古来、火星とアンタレスが近づくのは不吉の前兆とされていますが、それについては以下を参照してください:

土星もさそり座の近くで輝いていて、8月24日には上から順番に土星、火星、アンタレスが一直線上に並びます。土星は黄色味を帯びた光を放つ落ち着いた雰囲気のある星です:

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2016年8月21日日曜日

ローマ市至近の火山が新たな噴火フェーズに ― イタリア


イタリアの首都ローマ市から南東に約20~25kmのところにある Colli Albani Volcanic District (CAVD、アルバン丘陵火山地域、地図)が新たな噴火フェーズに入ったとする論文が発表されました:

東京都心から箱根山までは約85kmです。20~25kmというと、船橋市までが約20km、府中市までが約25km。そんな近くにある火山が噴火したら、東京はどうなることでしょうか。

論文要旨によるとCAVDはかなり規則正しく噴火する火山で、最近10万年間は約3万1000年間隔で噴火。最後の噴火からすでに3万6000年が経過。1993~2010年の干渉合成開口レーダー(InSAR)の観測データによると山体が膨張しており、山頂は年率2mmで隆起。これらのことから、CAVDは新たな火山活動のフェーズに入っている可能性が高い、と結論づけています。

以下は別の火山学者のブログ記事に記載されている論文本文の内容や補足情報です:
  • Colli Albani のカルデラの大きさは 10×12km。

  • カルデラが形成されたのは Colli Albani が最も活動的だった時期で、60万8000年前~35万1000年前。

  • その後は活動が穏やかになり、30万9000年前~24万1000年前の間は溶岩流出をともなうストロンボリ式噴火を繰り返した。

  • さらにその後は Colli Albani 地域の火山活動は小規模な爆発的噴火が主になり、小さな噴石丘(コーン)やマールが形成された。

  • 60万8000年前以降、Colli Albani の噴火間隔は最短 2万9000年±2000年、最長5万7000年±4000年で、平均 4万1000年±2000年。

  • 過去10万年間に限ると噴火の間隔は約3万1000年に縮まり、最後の噴火から3万6000年が経過している。

  • 過去約50年間のローマ市周辺の干渉合成開口レーダーや測量のデータによると、Colli Albani で過去に噴火が起きた部分は約50cm隆起している。

  • 1993年以降、Colli Albani の西部は1年に2.6mm隆起している。

  • Colli Albani 地域では1990年~1991年に小規模な群発地震が発生している。

  • 地球物理学的な調査では、Colli Albani 地域の地下5~10kmに部分溶融したマグマが存在していることが示唆されている。

上記火山学者のブログ記事では、距離があるので関係は薄いだろうとしながらも、3年前にローマ市の南西にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港(フィウミチーノ空港地図)で、噴気孔ができ火山性ガスが噴き出した事件を紹介しています(下記関連記事を参照してください)。


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2016年8月20日土曜日

大西洋の沈み込み帯でM7.4


南米大陸と南極大陸の間を突き破って大西洋側に「貫入」しているように
見えるスコシア海; スコシア海の東端部が南スコシア海溝
Credit: US Geological Survey (クリックで拡大)

8月19日16時32分ごろ(日本時間)、南極大陸近くの南大西洋サウス・ジョージア諸島近海でM7.4、深さ約10kmの地震が発生しました(震央地図)。震央は、大西洋がスコシア海の下に沈み込んでいる南スコシア海溝がトランスフォーム断層に移行している辺りです。

この付近の特異なプレート構造については以下を参照してください:

震源に近いサウス・ジョージア島は、1960年代までイギリスの捕鯨基地として栄えました。現在は同国の極地研究所が置かれています。

サウス・ジョージア島はフォークランド戦争のきっかけとなった島です。1982年、アルゼンチンが海軍の輸送艦を派遣してイギリスに無断で「民間人」数十名を上陸させ、国旗を掲揚するなどします。イギリスが海兵隊などを派遣すると、アルゼンチンは自国民の保護を名目に海軍艦艇や海兵隊を派遣し同島に陣地を構築、さらにフォークランド諸島にも侵攻します。尖閣諸島でも似たようなシナリオが展開するかも知れません。詳しくは以下を参照してください:

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2016年8月19日金曜日

グレート・バリア・リーフで M5.8 ― オーストラリア


日本時間8月18日午後1時30分(現地時間午後2時30分)、オーストラリア北東部クイーンズランド州沖(震央地図)でM5.8、深さ0kmの地震が発生しました(Geoscience Australia発表、USGSはM5.7、深さ7.8kmとしています)。クイーンズランド州で発生した地震としては1918年に発生したM6.0に次ぐ史上2番目の規模とのことです。M3クラスの余震が続いています:

大勢の人が建物から路上や公園に避難したり、商店の棚から若干の品物が落ちるなどの被害があったものの、負傷者等は出なかった模様です:

オーストラリアでは先月初めに南西部でM5.5の地震が発生しています:

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2016年8月18日木曜日

オオタキコギセル大量発生 ― 新潟県柏崎市


新潟県柏崎市の市立博物館(地図)の敷地で、陸に棲息する貝「オオタキコギセル」が大量に見つかっています。「オオタキコギセルはカタツムリと同じ陸貝の一種」、「14年には2352匹、15年は7676匹を採取し、今年もすでに4400匹以上を捕獲」、「大量発生した理由は不明」、「普段は集団で確認されることがほとんどない」:

スズメ大量死 ― 福島県いわき市


8月17日、福島県いわき市のJRいわき駅前(地図)で、スズメ約250羽が死んでいるのが見つかりました。「台風が通過していたため強風で地面にぶつかった可能性」が指摘されています:

8月17日には台風7号が福島県沖を北上しています。午前6時にはいわき市の東南東約60kmに中心があって中心気圧は980hPa、西側220km以内では風速15m以上の強風が吹いていました。


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三重県賢島で異常変動?


GPSのデータに基づいた地震予測をおこなっているJESEA(地震科学探査機構、顧問:村井俊治・東大名誉教授)の『週刊MEGA地震予測』(8月17日発行)から:
三重県の賢島(地図)に設置しておりますプライベート電子観測点にて異常変動が観測されました。
現在、実証実験中ではありますが、本年2月に設置以来初めてのことですので、お知らせいたします。
ご留意ください。

南関東周辺は依然としてレベル5(震度5以上の地震の可能性が極めて高く緊急性がある)が維持されています。

一方、村井名誉教授の天敵・横浜地球物理学研究所は ――


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ペルセウス座流星群を見下ろす


8月10日にパキスタン上空を通過中の国際宇宙ステーションから撮影された流星の動画です。6秒目に画面下から上に向かって、16秒目に左から右方向に流星が流れます。2つの内の1つがペルセウス座流星群に属していると考えられています。冒頭の画面右上に現れる大きな閃光は雷だそうです:

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西之島の噴火警戒レベル引き下げ


8月17日15時、西之島(地図)の噴火警戒レベルが「入山危険」から「火口周辺危険」へ引き下げられました。これまでは火口から1.5kmだった警戒範囲(島全体と周辺の海)が500m(島内の3割程度)に縮小されました。でも、上陸するのはまだ危険なようです ―― 「これまでの噴火で流れ出た溶岩は、表面が冷え固まっていても、表面に生じた割れ目の一部が高温になっているほか、地形的に崩れやすくなっている可能性が考えられますので、火口から概ね500mを超える範囲でも注意が必要です」。

最後に噴火が観測されたのは昨年11月17日。「11月下旬以降は、溶岩の流出もほぼ停止しているものとみられ、島の面積の拡大も停止しています」、「12月以降は地表面温度の低下が確認され、2016年6月5日に実施した火山ガス(二酸化硫黄)の観測でも放出量の低下が認められています。7月19日に海上保安庁が実施した観測でも、火口からの噴気の放出は確認されませんでした」:

今年5月ごろからは、人工衛星からの観測で、火口周辺が沈降する地殻変動が確認されているとのことです。


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2016年8月17日水曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-109)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が8月17日15:00付で更新情報を出しています。前兆は依然として継続中です:

更新情報のまとめです ――
  • これまでの推定

    • 8月中旬に前兆終息、9月3日±に対応地震発生の可能性

  • 状況の推移 ― 前兆継続、新たな極大出現

    • 7月26日午後から、CH02(八ヶ岳観測点)に特異状態出現
    • 7月30日から、CH34(八ヶ岳観測点)に特異状態出現
    • 8月8日~9日、K1(高知観測点)にBF(基線のうねり変動)が大きく出現

  • 8月9.0日を新たな極大と認識

    • K1と同期して、CH02とCH34も8月8日~9日の変動が大きい

    • 7月26日を初現、8月9.0日を極大とすると9月3日±に発生の可能性。前回更新情報の推定と一致。前兆終息は8月28日±の可能性。

  • 火山帯近傍地震前兆と火山性前兆の状況

    • 火山性前兆のすべてのタイプ(N型、S型、櫛歯型)が出現。N型が顕著に複数日連続出現の場合は噴火の可能性、S型は火山帯近傍での極めて浅い地震の前兆、櫛歯型は地殻地震(プレート境界ではない地震?)特有の前兆。S型は変動面積比から地震規模を推定可能。

    • 櫛歯型前兆が同期して出現した観測点(秋田、八ヶ岳、高知)の組み合わせの割合を熊本地震のケースと比較。熊本地震は南西領域の組み合わせが優位、今回は全体的に秋田観測点に優位に出現している → 中部日本領域の可能性が考えやすい。

    • 現在の推定領域が正しい場合、該当する火山は白山(地図)の可能性。

    • 火山帯近傍地震前兆からの推定日(群発経験則から9月3日±)に発生の場合は、主地震の他に群発的地震活動の可能性もある(熊本地震に類似)。

    • N型前兆の出現状況からは、噴火に至る可能性も完全否定は困難(断定も困難)。

推定時期 前兆終息を確認後に計算予定。
推定時刻 午前9時±1時間(または午後6時±3時間)
推定震央領域 更新情報の地図参照
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の浅い地震


気象庁の白山についての最新資料「白山の火山活動解説資料(平成28年7月)」(PDF形式)によれば、白山は「火山活動に特段の変化はなく、静穏に経過しており、噴火の兆候は認められません」とのことです。ただし、白山について気象庁は、噴気などの表面現象と地震や火山性微動の発生状況だけを観測し、GPSによる地殻変動の常時観測はしていないようで、上記資料にもデータの記載がありません。

串田氏の地震予測についてお知りになりたい方は、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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