10月1日に火星に最接近するアイソン彗星(C/2012 S1)。この彗星の挙動について、ロスコスモス(ロシア連邦宇宙局=Roscosmos)が作成し、クレムリン(ロシア政府)内部に配布された報告書には、次のように書かれているとのことです ―― アイソン彗星は火星に近づくにつれて複数回の軌道修正をおこない、火星の「不自然な衛星」フォボスに並行しようとしているように見える:
- Experts Puzzled After Great Comet Makes Mars Orbital “Adjustments” (大彗星が火星軌道への修正をおこなったことに専門家は困惑)
- ISON’s ‘Unexplained Orbital Adjustments’ Puzzle Experts (Video) (アイソン彗星の説明がつかない軌道修正が専門家を当惑させている)
上記記事によると、ロスコスモスの報告書は 《 アイソン彗星は「泥混じりの汚れた雪の玉」などではなく、実際は知的に制御された恒星間飛行物体で不明の使命を帯びてフォボスに向かっている可能性がある 》 とまで述べているとのことです。
記事はさらに、フォボス空洞説(フォボス人工物体説、すでに否定されている)や最近のESA(欧州宇宙機関)の発表(フォボス内部には大きな空洞がある)を援用して、アイソン彗星がフォボスに向かう理由付けをしようとしています。
しかし、アイソン彗星の進路が事前に想定されていた軌道からずれているという事実はありません。全くの作り話です。もし、そのようなことがあればNASAも黙ってはいないでしょう。仮に隠蔽しようとしても不可能です。世界中の研究者やアマチュア天文観測者がアイソン彗星を追跡しているのです。事実を隠し通せるはずがありません。
どうやら、この話の出所は〝Internet Hoax Queen〟(インターネット上のでっち上げ女王)と呼ばれる女性(実は男性?)のようです。
世間の耳目を集める彗星が出現すると、必ずと言ってよいほど、この種の「作り話」を流布しようとする人が出てきます。エレーニン彗星(エレニン彗星)のときにも以下のような話がありました:
- Comet Elenin 'under intelligent control' (エレーニン彗星は知的に制御されている)
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