2016年12月31日土曜日

神ってる (続報)


12月2日付「神ってる」の続報です。村井俊治・東大名誉教授(JESEA)のMEGA地震予測について、横浜地球物理学研究所のツイートから。その後の震度5弱以上の震央が描き加えられています。11月22日の福島県沖M7.4だけが予測範囲内に入っています。でも、ここは東北地方太平洋沖地震以降に地震が多発している領域ですから、1つぐらいは当たって当然というところでしょうか:

私が気になっているのはピンク色で予測範囲が示されている「北信越地方・岐阜県」です。八ヶ岳南麓天文台の串田氏が予測している「近畿圏中心領域大型地震」の領域と重なっているからです。


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大丈夫なのか、岡山県 (続報)


12月23日に「大丈夫なのか、岡山県」という記事を書いたところ、呼応するかのように珍しく岡山県で有感地震が連発しました。12月27日に岡山県北部でM2.8、続いて31日に岡山県南部でM2.5。どちらも震源の深さは10km、最大震度1。

岡山県北部では今年1月と10月にM3.9とM3.8が発生していますが、その前の有感地震は2013年1月で3年間の空白があります:

岡山県南部で地震が発生したのは2013年3月以来で、3年9ヵ月ぶりとなります:

南海地震が近づくと震源域に近い内陸部で地震が増加すると言われています。今年10月に発生した鳥取県中部地震もその一環かも知れません。

岡山の地震に先立つ12月26日には、高知県中部でもM3.7、最大震度3の地震が発生しています。高知県中部を震源とする有感地震は約1年4ヵ月ぶりです:

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1月に接近するキロメートル級小惑星


推定直径が1km以上の小惑星で、2017年1月中に地球に接近すると予報されているものは4つあります。かなり遠いところを通過するので、地球に影響をおよぼすことはありません:

小惑星 推定直径
(km)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 SD0.48~1.11月4日 20:3944.71
2002 LS320.61~1.41月25日 03:5053.88
7341
(1991 VK)
1.2~2.71月25日 21:5125.18
106589
(2000 WN107)
1.7~3.81月26日 09:3562.33
(1LD=地球から月までの平均距離) 

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小藤文次郎と断層地震説


小藤文次郎(ことうぶんじろう)といわれてピンと来る人はそれほど多くないと思いますが、明治時代に地震が断層運動によるものであるとする断層地震説を唱えるなど、日本の地質学や地震学に大きな足跡を残した学者です。以下は『世界大百科事典』(平凡社)からの引用です:
1879年東京大学地質学科の最初の卒業生となる。(中略) ドイツ留学中から、引き続き日本の岩石、とくに変成岩を研究して、西欧に紹介した。また、日本および東亜の地帯構造を論じた。三波川、御荷鉾(みかぶ)など変成岩帯を識別・命名。玄武岩も小藤の訳語。火山と地震についても研究し、地質構造線との関連を説き、1891年の濃尾地震の際に根尾谷断層を報告して断層地震説を例証し、世界の注目を集めた。

Wikipedia の「小藤文次郎」の項には次のような記述があります:
1891年の濃尾地震の際には、発生から約2週間後に現地入りして調査を行い、後にその結果から断層地震説を発表した。調査の際に撮影された根尾谷断層の写真は、1893年に小藤が発表した論文に掲載され、活断層の様子を生々しく記録した写真として世界に広まった。

私たちが教科書などで見かける根尾谷断層写真は小藤氏の論文からとられたものだったのですね。

さまざまな説が淘汰されて小藤氏の唱えた断層地震説が定説となる過程は、Wikipedia の「断層地震説」の項に以下の様に書かれています:
かつて日本の地震学においては、陥没地震・隆起地震・岩漿貫入など、何らかの地殻の変形が地震となり、その結果として崖崩れなどと同様に断層が作られるという説があったが、断層地震説はそれらに対立する学説である。その後の研究で、地震波の押し波と引き波の分布や地殻変動の調査などから、断層の動きと地震波との関連を示す実証例が認められ、またメカニズムを説明した弾性反発説も実証されたことから、断層地震説が定着した。

「玄武岩」(basalt rock)という言葉を生みだしたのが小藤氏というのは初めて知りました。欧米以外で母国語で高度な研究を行える国は少ないといいます。明治期の先達が生みだした様々な訳語がなければ、我々は日本語で学んだり研究したりすることができなかったことでしょう。ときどきは思い起こして感謝するべきですね。


2017年は閏年?


『天文年鑑』(誠文堂新光社)の巻頭記事「展望」は毎年掲載され、その年に予報されている主な天文現象を概観するとともに前年の天文関係の話題を振り返る内容なのですが、2017年版の「展望」は冒頭でいきなり「西暦2017年(平成29年)は閏年で、年の干支は・・・」と書かれています。長年『天文年鑑』を購入していますが、こんなことは初めてです。おそらく閏年だった去年の「展望」の内容をコピーして再利用する際に直し忘れたのでしょうが、こんなミスがあると他にもあるのではと疑心暗鬼になり、年鑑全体への信頼が揺らいでしまいます。

誠文堂新光社のサイトにはすでに「お詫びと訂正」が掲載されています:

えびの高原硫黄山で火山性地震急増、火山性微動、山体膨張、噴火警戒レベル引き上げ (続報-2)


12月16日付「えびの高原硫黄山で火山性地震急増、火山性微動、山体膨張、噴火警戒レベル引き上げ (続報)」の続報です。

えびの高原硫黄山(地図)は12月12日に震源の浅い火山性地震が急増したために噴火警戒レベルが「2」(火口周辺規制)に引き上げられましたが、その後は、火山性地震が少ない状態が続いています。12日に70回を記録した後は、15日に5回、17日に2回、23日・25日・26日に1回ずつ、30日は15時までに3回となっています。火山性微動は12日に2回記録された以降は発生していません。

噴煙の高さは12月15日までは稜線上30m前後で推移していましたが、16日以降は高く昇ることが多くなり、16日・18日・28日には100m、24日には200mまで上がっています。

詳しくは以下を参照してください:

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カモの大群出現 ― 千葉県習志野市


12月27日、千葉県習志野市秋津の谷津干潟自然観察センター(地図)前の浜に、カモ類を中心とした約1500羽の大群が現れました。「南寄りの風が強いとき、施設を風よけにするため集まってくると考えられるが、『12月末にこれだけ集まるのは非常に珍しい』」(同センター):

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2016年12月30日金曜日

丁酉の年に起きたこと


2017年の干支は丁酉(ひのととり)。過去の丁酉の年にはどのような出来事があったのか、年表などから抜き出してみました。「のと」(火の弟)だけあって、大火や火山噴火などが目立ちます。一方、固有名のあるような大地震は意外に少なく、丁酉の年を避けているような印象があります。

幕末以降、これまでに丁酉の年は3回あったのですが、そのいずれでも日米関係に大きな影響を与える事件が起きています。来年発足するトランプ政権と日本はうまくやっていけるのでしょうか (以下は参考文献: 『読める年表・日本史』、自由国民社) ――
  • 1837年(天保8年) モリソン号事件 ― 日本人漂流民7名を乗せた非武装のアメリカ船モリソン号が浦賀に入港。浦賀奉行が無二念打払令にもとづいて砲撃を加えた。その後、モリソン号は薩摩湾に入るも薩摩藩がこれを砲撃。

  • 1897年(明治30年) ハワイで日系移民上陸拒否 ― ハワイへの移民は明治初年から続いていたが、この年、2月、3月、4月に到着した日本人移民およそ1200人が上陸を拒否され強制送還が相次いだ。日本とハワイの関係が極度に悪化。事件の背景にはアメリカ・ハワイ合併問題があり、大隈外務大臣が「ハワイ合併は太平洋の現状を変動させ、日本の権益を危うくする」とアメリカに抗議。

  • 1957年(昭和32年) ジラード事件 ― 1月、群馬県相馬ヶ原の米軍演習場で砲弾破片を拾っていた女性がW・S・ジラード特務二等兵に射殺される。前橋地裁は「傷害致死」で懲役3年、執行猶予4年の判決。12月にジラード夫妻は帰国。

  • 1957年(昭和32年) 米国国防総省が在日地上部隊の撤退を発表。

西暦 できごと
397 百済の阿花王が礼を失したため倭国軍が攻める。阿花王、王子を人質として送り和を請う。
457
517
577 百済に大別王らを遣わす。
637 蝦夷反乱、上毛野形名を将軍として討伐に向かうが敗退。
697 持統天皇譲位、文武天皇即位。
757 養老律令を施行。橘奈良麻呂の乱。
817 常陸国新治郡の不動倉を焼失。
877 陽成天皇即位。京都飢饉。渤海使の国書を受け取らず、出雲から放還。
大地震
937 平将門、上京して弁明、罪を許される。平将門、常陸国で平良兼を破る。関東諸国に平将門追捕の官符を下す。
富士山噴火
997 藤原伊周、隆家兄弟の罪科を赦し召還。南蛮人、壱岐・対馬に来襲。
大地震
1057 源頼義、安倍頼時を討つ。安倍貞任、源頼義を破る。頼義の子・義家(八幡太郎)、父を助けて奮戦。
1117 大風で新内裏殿舎、勧学院、法興院などが倒壊。
京で地震
1177 京都大火、大極殿焼失。鹿ヶ谷事件(平家打倒の陰謀発覚)
11月26日 大和国で M6.0~6.5、東大寺の巨鐘と大仏螺髪が落ちる。京都でも地震が強かった。
加賀白山噴火
1237 2月、大地震。3月、大地震。6月、大地震、元暦以後最大という。8月、大地震
1297 永仁の徳政令。元、日本に使節を送り和好を求める。
1357
1417
1477 大内政弘、畠山義就、土岐成頼ら領国へ帰還、応仁の乱が終息。
11月、天地大震
1537 今川義元、武田信虎の娘を妻とし、北条氏と絶交。
1597 慶長の役(豊臣秀吉、朝鮮に再出兵)。
3月、岩木山が崩れ、土石が降ること昼夜を弁えず
1657 明暦の大火(江戸大火、振袖火事)。
10月、浅間山大噴火
島原温泉岳噴火し、深江村、中木満村氾濫で家屋流出。死者30余人。
1717 江戸大火。奈良興福寺焼失。大岡忠相、町奉行となる。
京都や江戸で何度も地震
5月13日 宮城県沖で M 7.5、仙台城の石垣崩れる。花巻で破損家屋多く、地割れや泥の噴出があった。津軽・角館・盛岡・江戸で有感。
1月、霧島山噴火、134戸が倒壊し、死傷31人。
8月、霧島山噴火で近郷の田畑数十里が埋没。
8月、浅間山噴火
1777 長崎大風。徳之島でたびたび大風、食糧が不足する。
2月、京都で地震相次ぐ
7月、三原山噴火。積灰4、5尺。
9月、安房・相模・伊豆で海が溢れ、民家破損多数、溺死者多数。
1837 大塩平八郎の乱。モリソン号事件(アメリカ船モリソン号が浦賀に入港、浦賀奉行が砲撃)。
東日本で大飢饉(天保の大飢饉)。
1897 日系移民、ハワイ上陸を拒否される。以後、上陸拒否事件続発。
全国で赤痢患者9万人、死者2万数千人に達する。
2月20日 宮城県沖 M 7.4、岩手・山形・宮城・福島で小規模の被害。石巻で住家全倒1、一関で家屋大破60など。
8月5日 宮城県沖 M 7.7、津波により三陸沿岸に小被害。津波の高さは盛町で3m、釜石で1.2m。
草津白根山爆発、硫黄採掘所全壊、噴石と泥土が発生。
1957 ジラード事件(米兵が米軍射爆場で日本人農婦を射殺)。米国国防総省、在日米国地上部隊の撤退を発表。茨城県東海村の原子炉が臨界。ソ連、世界最初の人工衛星(スプートニク1号)打ち上げ成功。
11月11日 新島・神津島近海 M6.0、新島・式根島で石造家屋に被害(全壊2)、6日ごろから前震あり。
2017
参考文献: 日本歴史年表(東京学芸大学日本史研究室、東京堂出版)、天変地異年表、理科年表(丸善株式会社)


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2016年12月29日木曜日

正断層地震


12月28日午後9時38分に茨城県北部、深さ11kmで発生した M6.3、最大震度6弱の地震(震央地図)の発震機構は、東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型とのこと:

正断層型というと私たちは地表近くで断層が生じるこの図のようなイメージを抱きがちです。しかし、実際に地震が発生しているのは地下10km前後の地下深くで、前後・左右・上下から大きな圧力がかかっています。そのような場所で正断層の原因となる引っ張る力がなぜ働くのでしょうか。また、地表近くとはちがって、周囲から大きな圧力で押さえつけられているので簡単に段差が生じるとも思えません。この点について、『活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること』(遠田晋次著、講談社ブルーバックス B-1995、2016年12月20日)では次のように説明しています:
「正断層は引張場で生じる」と簡単に説明しましたが、地中で岩盤が本当に引っ張られている状況はきわめてまれです。海中での水圧と同じく、地中でも深いほど岩石の荷重による圧力が増します。これを鉛直荷重圧(応力)とか封圧といいます。大地震の震源となる地下10キロメートルでは、約250メガパスカル(大気圧の2500倍)もの圧力がかかっています。

一方で、後述するプレート運動によって、日本列島には水平方向からの力が加わっています。引張場というのは、この鉛直方向からの加重圧が、水平方向からの圧力よりも大きな場合のことです。この場合に正断層が動きます。

結局、色々な方向からの力のベクトルを合成すると、引っ張る力が出てくるということのようです。


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アカナマダ捕獲 ― 新潟県胎内市


12月29日付『新潟日報』によると、25日に新潟県胎内市荒井浜(地図)の海岸で深海魚・アカナマダが見つかったとのことです。体長1.2m、重さ4.4Kg。「県内での水揚げは珍しい」:

12月18日には兵庫県でアカナマダが釣り上げられています:

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リュウグウノツカイ2匹捕獲 ― 石川県能登町


12月28日に石川県水産総合センターが発表したところによると、深海魚リュウグウノツカイが11月18日に同町鵜川(地図)沖、12月20日に同町小浦(地図)沖で定置網に入ったとのことです。体長は前者が約4m、後者が約3m:

上記記事によると、石川県内で海岸に打ち上げられたり捕獲されたりしたリュウグウノツカイは、2009年末~2010年初めに10匹、2015年11月に1匹で、「今回の二匹の漁獲は、最も多かった〇九~一〇年と同じペース」。


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2016年12月26日月曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-138)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が12月25日16:00付で更新情報を出しています ―― 25日現在、CH17の前兆継続中のため12月29日± の可能性否定、1月5日に前兆終息の場合は1月14日± に地震発生の可能性あり:

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期 前兆終息を確認後に推定
現状で可能性があるのは1月14日±2日
推定時刻 午前9時±1時間 (または午後6時±3時間)
推定震央領域 岐阜県、福井県、石川県南部、滋賀県北部
更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の地震、震源の深さ30km以浅


▼ 現状
  • CH17(八ヶ岳)だけに糸状特異が継続。

  • CH20(八ヶ岳)、CH21(八ヶ岳)、K10(高知観測点)は静穏状態。

  • 新規前兆や新規極大の出現はない。

▼ 考察
  • 現在は第22ステージと認識、最終極大は12月10.2日。

  • 新規前兆や新規極大の出現がないことから、現在の第22ステージが最終ステージで、第22ステージが指し示す日が対応地震発生日である可能性がある。

  • 前回の更新情報では、今後新たな極大が出現しないことを前提として以下の2つの可能性を提示したが、12月25日現在でCH17の糸状特異が継続しているため「2」の可能性は否定。

    1. CH20の初現11月10日を初現、12月2.5日を極大 → 1月13日± (前兆終息は1月4日±)

    2. CH17の糸状特異が出現し始めた11月30.2日を初現、12月10.2日を極大 → 12月29日± (前兆終息は12月24日±)

  • 残るのは上記「1」の1月13日± だが、CH17(八ヶ岳)の特異状態の出現状況(初現11月21.0日、極大12月10.2日)に経験則 [初現~地震発生]:[極大~地震発生]=20:13 を適用して得られる1月14日± の方が考えやすい。

  • 1月14日± に対応地震発生の場合は、1月5日± に前兆終息となる見込み。

  • 地震前兆検知公開実験」の参加者には既報だが、A1(秋田観測点)とCH26(八ヶ岳)に火山帯近傍領域の大型地震前兆が観測されており、こちらも1月14日± を示している → この前兆がNo.1778前兆と同じ地震活動によるものであれば、No.1778前兆に対応する地震の震源が火山帯近傍であることを示していることになる。


串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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2016年12月25日日曜日

西暦992年、夜空が怪しく輝いた (その2)


12月25日付「西暦992年、夜空が怪しく輝いた (その1)」の続きです。

西暦992年は日本では平安時代で一条天皇の治世です。数年後には藤原道長が左大臣に就任し、摂関政治が最盛期を迎えることになります。私が調べた限りではオーロラかそれに類するような記録はないようです。また、大地震などの天変地異の記録もありません。

エセルレッド無策王(エセルレッド2世)については、『世界大百科事典』(平凡社)に次のように記載されています:
ウェセックス王家のイングランド王。在位978-1016年。エドガー王の子。異母兄エドワード殉教王が謀殺されたため即位(謀殺は彼の指図といわれる)。決断力を欠いたため〈怠慢王the Unready〉〈不決断王the Redeless〉とも呼ばれる。しばしばバイキングの大規模な侵入を受け,そのつど巨額の宥和金(デーンゲルド)を支払って平和を購い,その重税により国民を苦しめた。1013年デンマーク王スベン1世が侵入した時には,国土・人民をすてて妃の出身地ノルマンディーに亡命。翌14年帰国したがまもなく没。その後国土はスベンの子クヌット2世に征服された。

人類が経験した最強の太陽嵐とされる1859年9月のキャリントン・イベントについては Wikipedia に次のような記述があります:
1859年9月1日から2日にかけて記録上最大の磁気嵐が発生した。カリブ海沿岸等世界中でオーロラが観測され、ロッキー山脈では明るさのために鉱山夫が朝と勘違いして起きて朝食の支度を始めてしまうほどであった。アメリカ北東部でたまたま起きた人はオーロラの明りで新聞を読むことができた。

ヨーロッパ及び北アメリカ全土の電報システムは停止した。電信用の鉄塔は火花を発し、電報用紙は自然発火した。電源が遮断されているのに送信や受信が可能であった電報システムもあった。

太陽活動との関連は不明ですが、日本では1854年ごろから被害地震が増え、1854年には1年に5回、1855年と1858年には各6回の被害地震が発生しています。その中には安政東海地震や安政南海地震、安政江戸地震が含まれています。1859年には3件の被害地震が発生していますが、キャリントン・イベントの1ヵ月後に石見国で発生した M6.0~6.5 と推定される地震は、「島根県那賀郡で強く、周布村でも潰家や地割れがあった。広島城内でも被害があった」(『理科年表』)と記録されています。


(完)


西暦992年、夜空が怪しく輝いた (その1)


AAAS(アメリカ科学振興協会)発行の科学誌『Science』所載の記事です:

以下、テキトー訳です:
イングランドのエセルレッド無策王(Æthelred the Unready)がバイキングの侵略者たちに宥和金を支払って和平を請い、アンダルシアのムスリム支配者・アルマンゾール(Almanzor)がスペイン北部のキリスト教徒をさんざんに撃ち破った西暦992年。その年の暗い冬の夜、北の空がこの世のものとは思えない輝きで明るくなった。

サクソニー(現在のドイツ)の年代記編者は「太陽のような光が北から照らした」と記述した。アイルランド北部アルスター地方の編者は「天が血のような赤色に染まった」と書き残した。

彼らが目撃したものは、最新の研究によれば、太陽で発生した極めて強力な太陽フレア(スーパーフレア)の高エネルギー粒子が地球を「爆撃」したために、通常よりもはるかに南まで到達した北極光すなわちオーロラであった。

数年前、研究者たちは、世界中でこの時期の木材の年輪に放射性同位元素・炭素14のレベルの急上昇が見られることに気づいた。これは、宇宙線が上層大気に衝突して大気の通常の成分である窒素14を炭素14に変換することによって生じたと考えられる。

しかし、どのような種類の宇宙線がこのような現象を引きおこし、それはどこからやって来たのだろうか。

いくつかの研究によれば、西暦774~775年と993~994年の炭素14の急激な増加の少し前に異常なオーロラが見えたという記録が残っており、問題の宇宙線は太陽からやって来たことが示唆されている。科学者たちは後者の時期の古文書を渉漁して、サクソニー、北アイルランド、朝鮮半島で992年10月から993年1月の間に8件のオーロラ目撃記録を見いだした。彼らの研究報告は『Solar Physics』誌に受理されている。

どのくらい南までオーロラが見えたのかを計算した結果、992年から993年にかけての太陽嵐は、1957年に詳細な太陽観測が始まって以降に記録されたいかなる太陽嵐よりも強力であったが、おそらく1859年の有名なキャリントン・イベントほどではなかった、と研究チームは推定している。キャリントン・イベントでは世界中の電信網が不通になっている。

西暦990年代の太陽嵐はすばらしい光のショーと大差ないものを見せてくれただけだったが、もしそれが現代に起きたとしたら、おそらく、テクノロジーに依存したわれわれの社会は壊滅的な打撃を受けることになるだろう。

続く


2016年12月23日金曜日

大丈夫なのか、岡山県


熊本県は企業誘致のために「熊本地域では過去120年間、M7以上の地震は発生していない」地震の安全地帯と宣伝していて、今年4月の熊本地震(M7.3、最大震度7)に遭いましたが、同じような宣伝をしている岡山県は大丈夫なのでしょうか。

「(岡山県は)1923~2015年に震度4以上地震を観測した回数が16回で、都道府県別で全国3番目に少ない(最少は佐賀県の8回。最多は東京都の555回)」、「震度1以上を観測した地震は、平成23~27年の過去5年間で93回程度です。震度3は6回、震度4は2回で、ほとんどが震度2以下となっております」:

岡山大学の隈元准教授は「県内には活断層が目立たないが、活断層がないところでも熊本地震(M7.3)程度の地震は起きるということが分かってきた」と語っています。

主題とは離れますが、上記記事には昭和南海地震について岡山測候所の報告が記載されています ―― 「地震のおこる前大体南東方向に大砲の音のごとき地鳴りを聞き間もなく割合に緩やかな南北の水平動がおこり次第にその強度を増し約5分間に亘り激動す。地鳴りは約1分間程度にて終わる。」

アカナマダ捕獲 ― 兵庫県豊岡市


12月18日、兵庫県豊岡市津居山(地図)沖で深海魚のアカナマダが釣り上げられました。体長約1.2m。「日本の海で発見された例はほとんどない。非常に珍しい」(但馬自然史研究所)。2001年に同県新温泉町(地図)で1匹が定置網にかかったことがあるとのこと:

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2016年12月22日木曜日

無黄身な卵


「9年間主婦やってきてこんなの初めてです」「何の疑問も抱かずにガツガツ食べた私の食い意地とは」:

凶兆? 聖ヤヌアリウスの血、液化せず


イタリア南部の都市・ナポリの礼拝堂には、西暦305年にローマ帝国のディオクレティアヌス帝の迫害によって殉教した聖ヤヌアリウスの乾燥した血液が、ガラスの容器に密封され聖遺物として保管されています。この血液は年3回の儀式やローマ法王が訪れたときなどに液体の状態に戻るとされており、液体に戻らないときには戦争、飢饉、疫病の蔓延、大災害、大惨事が起きると伝承されています。

12月16日におこなわれた儀式では、この血液が固まったままで液体の状態に戻らなかったとのことです。

1389年以来の記録が残っているとのことですが、最近では1939年と1980年に液体に戻りませんでした。前者の時には第2次世界大戦が勃発し、後者ではナポリの東約85kmを震央(地図)とするイルピニア地震(Mw6.9)が発生して、死者約2500人、負傷者少なくとも7700人という惨事になっています:

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2016年12月21日水曜日

カンピ・フレグレイに覚醒の兆候 ― イタリア


イタリアの都市ナポリ近郊にあるカルデラ〝カンピ・フレグレイ〟(地図)に覚醒の兆候があるという研究論文が発表されました。同火山周辺は人口密集地域であるため、噴火すれば50万人が危険にさらされるとのこと。「カンピ・フレグレイは2005年以降、科学者らが『隆起』と呼ぶ現象を起こしている。そして最近、この地盤変動のペースが上昇し、地殻下層の地震活動が増加している」:

カンピ・フレグレイの火山活動の兆候については、下の関連記事にもあるように、これまでにも何度か指摘されたことがあります。同火山の東10kmには古代ローマの都市ポンペイを火砕流で埋没させたヴェスヴィオ山があります。


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気象庁が常時観測火山の観測データ公開


気象庁が24時間体制で監視している50の火山(常時観測火山)の観測データを、今日から同庁のウェブサイトで見ることができるようになりました。毎日更新されるとのこと:

小惑星 2016 YJ が地球に接近


12月22日午後7時22分(日本時間)、小惑星〝2016 YJ〟が地球に 1.22LD まで接近します(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は12月18日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は10~22m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速9.4km(時速約3万4000km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 YJ10~22 12月22日 19:22 1.22


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2016年12月20日火曜日

「予言」的中


12月19日、トルコ駐在のロシア大使が殺害されたとのニュースには二重の意味でびっくりしました。二重というのは、一国の大使が殺害されたこと自体に加えて、知り合いの「予言」が的中したからです。

その知り合いは私と同じく天文ファンなのですが、今月初めに話をしたときに冗談交じりですが次のように言っていたのです ―― 12月19日に一国を代表するような人物かそれに準ずるような人物が暗殺されるかも知れない。理由は、12月19日にしし座の一等星レグルス(「獅子の心臓」)に月が 1°01′ まで近づくから、というものでした。「一国を代表する」というのは国家元首クラスで、次期米国大統領のトランプ氏のことかなと思っていたのですが、大使も自国を代表して他国に駐在しているので当たらずといえども遠からずです。

来年1月15日には再び月がレグルスに近づきます。接近距離はさらに縮まって 0°50′。大統領就任式が間近に迫る時期ですので、どうなることやら。

月がレグルスに近づく現象はわりと頻繁に起きています。なぜならレグルスは白道(天球上の月の通り道)の近くに位置しているから。ですから私の友人の「的中」は偶然のできごとと考えるべきなのは言うまでもありません。


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特急列車が動物と次々衝突 ― 山梨県大月市


12月19日夜、JR中央線の特急あずさが山梨県大月市内(地図)で、シカやイノシシ計3頭と次々に衝突しました。「ひとつの列車が次々動物とぶつかったというのは聞いたことがない」(JR東日本八王子支社):

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2016年12月17日土曜日

酉年の不吉なジンクス?


来年は酉年ですが、「酉年は57年を除き、毎回マグニチュード7規模の地震が起きている」とのこと:

1900年以前や酉年以外も調べれば、酉年だけが特異というわけではないことがわかると思うのですが、どうでしょうか。時間があれば調べてみたいと思います。


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2016年12月16日金曜日

なぜ、こんなに「大地震」が頻発するのか?


「あまりにも刺激が強いと感じたので、当日配布した資料にはこの図は載せませんでした」、「『活断層線が自宅を通っていなければ安心』、逆に『活断層の分布なんて関係ない。日本全国どこでも震度7が起きる』などという誤解もまだまだ根強くあります」:

えびの高原硫黄山で火山性地震急増、火山性微動、山体膨張、噴火警戒レベル引き上げ (続報)


12月13日付「えびの高原硫黄山で火山性地震急増、火山性微動、山体膨張、噴火警戒レベル引き上げ」の続報です。

気象庁が12月16日に発表した「平成28年 No.51 週間火山概況 (12月9日~12月15日)」によると、その後の推移は以下のとおりです:
  • 12日午後に気象庁機動調査班が実施した現地調査では、硫黄山周辺の状況に特段の変化は認められなかった。

  • 13日以降、火山性地震は15日に5回観測され、火山性微動は観測されていない。

  • 硫黄山南西観測点の傾斜計でみられた山体の膨張を示す傾斜変動は収縮に転じていたが、15日20時ごろの火山性地震の発生に伴い一時的に山体の膨張を示す傾斜変動が観測された。

  • 遠望観測では硫黄山で時々噴気が観測されており、最高で稜線上30mまで上がった。

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最後のスーパームーン


12月14日は3連続スーパームーンの最後を飾る満月でした。以下の記事は、フランスの通信社 AFP のカメラマンが世界各地で撮影したスーパームーンの写真を集めたものです。私のお気に入りはこれです:

前回のスーパームーンがあった11月14日に M7.8 の大地震に襲われたニュージーランドでは、M7.8の地震の予測を的中させた人物が今回も地震が起こると Facebookに書き込んだこともあって、ガソリンスタンドに給油を求める車の列ができるなどの騒動になりました:

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近畿圏中心領域大型地震 (続報-137)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が12月15日17:00付で更新情報を出しています ―― 12月15日現在も前兆が継続中、12月17日± の可能性否定:

以下は今回の更新情報のまとめです ―― 地震発生の推定時期は前兆終息を確認次第、続報予定。推定時刻、推定領域、推定規模は変更なし。

推定時期 前兆終息を確認次第、続報予定
推定時刻 午前9時±1時間 (または午後6時±3時間)
推定震央領域 岐阜県、福井県、石川県南部、滋賀県北部
前回の更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の地震、震源の深さ30km以浅


▼ 現状
  • CH17(八ヶ岳)、CH21(八ヶ岳)、K10(高知観測点)の特異前兆が終息せず継続中。

  • 現在、第22ステージ。12月10.2日に2つ目の極大を観測。

▼ 考察
  • 「地震前兆検知公開実験」の参加者に配信した更新情報(ウェブでは非公開)では、CH21に微弱な前兆が継続出現するようになった12月6.4日を初現、上記12月10.2日を極大と認識して12月15.5日± に前兆終息と計算していたが、現在も前兆が継続中 → 初現認識は誤り。

  • 前兆の出現状況を見直し、再検討。今後新たな極大が出現しないことを前提として、2つの可能性:

    1. CH20の初現11月10日を初現、12月2.5日を極大 → 1月13日± (前兆終息は1月4日±)

    2. CH17の糸状特異が出現し始めた11月30.2日を初現、12月10.2日を極大 → 12月29日± (前兆終息は12月24日±)

  • 「(これまで)第22ステージが示す時期の中で最も早い場合を考慮して、前兆関係を考察していました。初現認識が誤っていたことを深くお詫び申し上げます。」


串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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2016年12月13日火曜日

小笠原超深発地震は太平洋プレートのスラブが下部マントルへ突き抜ける前兆


2015年5月30日に小笠原諸島西方沖で発生したM7.9(当初発表はM8.1)の地震は、震源の深さが680kmという超深発地震で、太平洋プレートに沿って地震波が伝播する異常震域現象によって日本の広い範囲で有感となりました(東京都小笠原村と神奈川県で最大震度5強)。

JAMSTECのプレスリリースより

国立研究開発法人海洋研究開発機(JAMSTEC)が12月8日に発表したプレスリリースによると、この地震は深さ660km付近の上部マントル-下部マントル境界に滞留している太平洋プレートのスラブが下部マントルへ突き抜ける「号砲」と考えられ、「今後、小笠原付近では、沈み込むスラブから小笠原超深発地震を結ぶほぼ垂直な深発地震面が発達していくことが予想され」、「震源が深い深発地震が起きるエリアが広がる可能性がある」とのことです:

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球形の雲 ― 神奈川県藤沢市


12月4日午後3時ごろ、神奈川県藤沢市湘南台(地図)で、低空を漂う球形の雲が撮影されました。撮影者の女性の発言をツイッター上から拾うと「車から空を見たらまん丸な雲の球体がありました しばらく見入ってしまい慌てて撮りました 見た時はもっとまん丸の球体だったので、もっと早く撮ればよかったと後悔しています」、「何分か前はもっとまん丸な球体で、しばらくすると雲が一瞬に煙のように消えた」:

3枚の写真を1つの画面に収めた写真の右下に "PIC・COLLAGE" と書かれているのは、3枚をつなぎ合わせるために使ったツールによるもので、雲の写真自体に加工を施しているわけではないとのことです。

1番目の英文記事には、別の角度から見ると必ずしも球形ではなかったという写真が掲載されていますが、撮影日時が違っており、同じ雲ではありません。日本語のツイートを理解できなかった記者が誤解したものと思われます。

ツイートの時系列内にある別の雲の写真はちょっと不気味です。撮影場所や日付は不明ですが:

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えびの高原硫黄山で火山性地震急増、火山性微動、山体膨張、噴火警戒レベル引き上げ


12月12日11時過ぎから、えびの高原の硫黄山(地図)周辺で震源の浅い火山性地震が急増し、火山性微動や山体の膨張を示す傾斜変動も観測されたため、噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」へ引き上げられました:

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2016年12月12日月曜日

放射能雨


一ヶ月ほど前の記事で『風と雲のことば辞典』から引用しましたが、その姉妹編『雨のことば辞典』(講談社学術文庫)を先日入手しました。エスキモー(呼称問題)には雪や氷に関する語彙が豊富、マフィアのふるさとシチリア島には「殺す」を意味する言葉が数十通りもある、というような話(真偽不明)を聞いたことがありますが、日本には雨にかかわる言葉がたくさんあることを実感できる辞典です。

この辞典で初めて知った言葉をいくつか紹介します。言葉から受ける印象を完全に裏切るような意味を持っているものがあります ―― 霊雨、洗車雨、発火雨、あぶら雨、我がまま雨、私雨、婆威し、雨一番、宇宙由来の雨、雨風食堂、などなど。たとえば、「洗車雨」は自動車が普及してからの言葉かと思ったら、実は起源はずっと古いようで、私たちになじみ深い年中行事に関係しています。

「放射能雨」の説明には以下の様な記述があります:
  • 1902年、イギリスの物理学者ウィルスンが、降ったばかりの雨水には放射能があることを発見。「雨水の放射能は約三十分間に半減し、数時間で殆ど消滅する」

  • 1905年、ドイツの物理学者ヤウフマンの測定結果 「雨水は皆な多少は放射性をもっているが、雷雨の雨水は放射性が強い」、「シトシトと降り続いた雨水は、放射能が甚だ微弱」、「降り始めの雨水は放射能が強いが、降り止む頃の雨水は放射能が至って微弱」、「雨が降り止んでから暫くしてまた降り出した雨水は、放射能がまた強い」

シカゴ大学のフットボール競技場の観客席下に極秘裏に建設された原子炉が歴史上初めての臨界に達したのが1942年12月、人類最初の原子爆弾がニューメキシコ州の砂漠で炸裂したのが1945年7月でした。したがって、上記の雨水中の放射能は自然由来ということになります。

天然の放射能や放射線については以下も参考にして下さい:

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2016年12月11日日曜日

小惑星 2016 XW20 が地球に接近


12月13日午前9時18分(日本時間)、小惑星〝2016 XW20〟が地球に 1.79LD まで接近します(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は12月8日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は13~29m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速8.4km(時速約3万km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 XW2013~29 12月13日 09:18 1.79


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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太陽風で地震予知


アメリカ最大級のソーシャルニュースサイト兼掲示板である Reddit のメンバーが、11月22日に福島県沖で発生したM7.4(最大震度5弱)の地震を、太陽風の変化によって予知していたそうです。予知情報が投稿されたのは11月16日で、内容は、地震発生の可能性が高いのはアラスカ、日本、カリフォルニア、規模はM7.0+、48時間程度のうちに避難を計画した方が良い、地震発生の確率は80%:

上掲の記事によると、そのメンバーは "GlobalHell" という投稿者名で、2010年から太陽の研究を始め、ある一貫性のあるパターンに気づいたとのこと。それは太陽風の速度が秒速750kmに達した後(急激に弱まると)M7.0の地震が起こるというもの。

"GlobalHell" 氏の説明によると ―― 太陽風が急激に弱まると太陽からのエネルギーが地球の内部に引きこもる("hibernates inside the planet")。そのエネルギーは、太陽風の速度が安定するとついには地球表面に浮かび上がる。太陽風の急激な減少はたいていの場合M7.0以上の大大地震活動("huge, huge quake activity")の指標となる。

Reddit のユーザーによると、"GlobalHell" 氏はプロの太陽観測者ではないようだが、これまでにもいくつかの巨大地震の予測を的中させてきたとのことです。

"TheEarthquakeGuy" という投稿者名の Reddit のメンバーが日本の地震を予知していたという記事もあります。2014年5月5日に伊豆大島近海で発生した M6.0、深さ156km、東京で最大震度5弱 の地震を10時間前に予測していたそうです:

当時、5月3日から岐阜県飛騨地方から長野県中部にかけて地震活動が活発化し、最大震度3の地震などが発生していたのですが、"TheEarthquakeGuy" 氏は次のように投稿しています ―― もしこれがより大きな地震の予兆であるのならば、M6.0+ぐらいの地震が発生するかも知れない。日本でもう一度(東北地方太平洋沖地震のような)M9.0 の地震が起きるとは思わないが、現在、太平洋プレートは大きく動いている。この動きは非常に深く100km+なので、この点だけは本当によいニュースだ。状況の推移を見守る。安全を祈る!


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2016年12月10日土曜日

イルカの群れが座礁 ― 長崎県五島市 (続報-2)


長崎新聞』の記事です。同じ場所で過去にイルカの大量座礁が発生していました。「(ハナゴンドウは)五島近海でよく見られるが、海水浴場に迷い込むのは非常に珍しい」、「(今回の発見場所の)白良ケ浜では1990年11月、砂浜に乗り上げた約600頭のイルカを捕獲して食用にしたため、動物愛護団体などから抗議を受けた」:

大量座礁の起きた1990年以降、周辺で大きな地震は発生していません。しいて挙げれば福岡県西方沖地震がありますが2005年のことです。


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アバチャン捕獲 ― 石川県志賀町


12月9日、石川県志賀町(地図)沖でクサウオ科に属する深海魚・アバチャンが2匹捕獲されました。体長25cmで「水深二〇〇メートル以上の深海で生息」。「三十年ほど前に一年間ほどアバチャンの幼魚を展示したことはあったが (中略) それ以来、生きた状態では見たことがなかった」(のとじま水族館):

底引き網で捕獲されたとのことですので、本来の棲息域から出てきたわけではなく、宏観異常とは言えないかも知れません。


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地震の前には眠気が強まる?


12月7日午前5時すぎ(現地時間)にインドネシア・スマトラ島北端部で発生したM6.5(震源の深さ8.2km、震央地図)では100人を超える死者がでています。

地震当日、現地のあるイスラム教の寄宿学校では、学生や教員らの多くが寝坊してしまい、定刻に朝の礼拝のためにモスクに行くことができませんでした。「不思議なことに、皆が寝坊してしまったんだ」。モスクは地震で倒壊(写真)。いつもの時刻にモスクに行っていたら多くの犠牲者がでたはずです:

眠気ではありませんが、和歌山県では12月7日と8日に以下のような出来事がありました。特急列車が通過してしまったのは湯浅駅(地図)と藤並駅(地図)。2名の運転士はいずれも「考え事をしていた」と話しているとのこと。ボーとして注意が散漫になっていたということでしょうか。各駅停車で大阪方面から南下すると、藤並駅の次が湯浅駅です。この付近に何か原因があるのでしょうか。浅い地震の多発地域であることは確かですが:


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イルカの群れが座礁 ― 長崎県五島市 (続報)


昨晩リンクを張ったFNN系テレビ長崎の記事は簡略すぎてイルカの種類やその後どうなったのかがわかりませんでしたが、以下の『西日本新聞』の記事にはもう少し詳しい情報が記載されています。場所は五島市三井楽町の白良ケ浜(地図)、打ち上げられたのは体長3m前後のハナゴンドウとみられるイルカ5頭。「生きた状態で砂浜に打ち上がるのは珍しい」とのこと。重機を使って近くの潮だまりに移し見守っているが「夕方までに回復の兆しは見えず、10日朝も状況を確認する」:

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2016年12月9日金曜日

イルカの群れが座礁 ― 長崎県五島市


12月9日朝、長崎県五島市(地図)の砂浜に5頭のイルカが打ち上げられているのが見つかり、重機を使った救助作業がおこなわれました:

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2016年12月7日水曜日

フォッグ・ドーム ― イギリス


12月2日朝、英国ウェールズ地方北部の Tremeirchion(地図)という村で、犬の散歩をしていた女性教師が、霧が半球状に盛り上がる現象を目撃・撮影しました。気象予報士は、地上近くにある何らかの熱源、たとえば農業施設や気温より相対的に高い水温のプールなど、によって生じた可能性が高い、と説明しています:

目撃した女性教師によると、霧のドームは気づいてから10分ほどで平たくなり始め、周囲に広がって濃い雲のようになったとのことです。

2016年12月6日火曜日

霧島山・御鉢で火山性微動 (続報)


その後、火山性微動、火山性地震の発生なし。地殻変動も観測されず。12月6日、気象庁機動調査班が現地調査、御鉢火口や火口周辺に特段の変化なし:

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霧島山・御鉢で火山性微動


12月5日午後6時ごろ、霧島連山の御鉢(地図)で火山性微動が発生しました。振幅がやや大きく継続時間は約30秒。御鉢で火山性微動が発生したのは2016年5月25日以来:

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2016年12月5日月曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-136)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が12月5日15:30付で更新情報を出しています ―― 前兆が継続中、地震発生は早い場合でも12月16日± :

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期 前兆が完全終息したのちに計算
(前兆の現状からは、最も早い場合でも12月16日±)
推定時刻 午前9時±1時間 (または午後6時±3時間)
推定震央領域 岐阜県、福井県、石川県南部、滋賀県北部
更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の地震、震源の深さ30km以浅


▼ 過去の経緯
  • 前兆が2008年7月から8年5ヵ月にわたって継続。過去最長は2008年宮城県内陸地震の3年3ヵ月。通常の前兆継続は数日程度、長い場合でも数ヶ月。

  • 今回のように20を越えるステージ変化があるのは異例で初めて。過去には数回のステージ変化をした例がある。どのような状態になったら最終段階なのか前例からはわからない。

  • 最終段階ではすべての前兆が終息することが予測される。これまでの22ステージでは前兆の完全終息はなく、前兆が弱く継続したまま次のステージに移行してきた。

▼ 考察
  • 第21ステージから算出された12月2日± に対して12月1日~2日に極大が出現 → 第22ステージに入ったと認識。

  • 極大は12月1.5日と2.5日の可能性。

  • 前回の更新情報では、CH17(八ヶ岳)糸状特異の出始めた時期を初現と考え、12月5日午前に前兆終息、12月6日± に対応地震発生と算出したが、12月5日午後の段階でも前兆が継続しており、数日内に終息するとは考え難い状況 → 初現認識が間違っていた。

  • 初現はCH21(八ヶ岳)の前兆出現状況から11月24.7日が考えやすい。

  • 初現11月24.7日、極大12月1.5日または12月2.5日として経験則 [初現~地震発生]:[極大~地震発生]=20:13 を適用すると、12月14日±(前兆終息は12月11日±)、または12月16日±(前兆終息は12月13日±)を得る。

  • 第22ステージは第21ステージと比べて前兆が出現する観測装置の数が少なくなっているが、現ステージが最終段階であるかは不明。


串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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