2012年4月4日水曜日

低気圧と渦の向き


昨日(4月3日)の爆弾低気圧による暴風に関連して。低気圧のまわりの空気は、コリオリの力によって北半球では反時計回り、南半球では時計回りに回転するようになる、と学校で習いましたが、以下の動画をそれを実証しているのでしょうか:

上記の動画では、シンクの水は赤道の真上では渦を巻かずに流れ出し、赤道の南側数メートルの地点では時計回り、北側数メートルでは反時計回りに回転しながら流れ出しています。でもこれはトリックです。

赤道から数メートル離れただけでこの動画にあるように顕著な差が現れるわけはありません。また、このような小規模でゆっくりとした流れでは、コリオリの力による効果は観察可能なほどには大きくありません。

もっと大きな要因があります。それは、実験を見せている男性がシンクに水を流し込む位置です。赤道の南側ではシンクの左半分、北側では右半分です。これによって、時計回りや反時計回りの水流がシンクの中に発生しています。その状態で排水口の栓を抜けば、その回転方向を保ったまま水が流れ出すというわけです。

最初に赤道上で実験するときには、GPSを使った前口上などで時間を稼いで、シンクの中の水が安定するのを待ってから排水口の栓を抜いたと考えられます。

なお、上記の動画は、映り込んでいる看板の地名(Chincha Suyo、地図)から、南米のエクアドルで撮影されたようです。エクアドルは、スペイン語で赤道を意味しています。


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