まず、以下の写真をご覧ください。土星の衛星・タイタンの大気中に現れた矢印形の白い雲です:
- Titan's Arrow-Shaped Storm (タイタンの矢印形の嵐)
写真の上が北です。矢印は東を指していますが、東西に伸びる中心軸の雲の長さは1200km、北西と南西に伸びる部分の長さは1500kmです。この矢印形の雲は嵐にともなうもので、雲の下では雨が降っていると考えられています。その証拠に、雲が通り過ぎた後のタイタンの表面は色調が暗くなり、〝濡れた〟状態になっていることが後続の写真で確認されているとのこと。太陽系の中で雨が降ることが確認されている天体は、このタイタンと地球だけです。ただし、タイタンに降っているのは液体メタンかエタンの雨です。
この矢印形の雲が撮影されたのは昨年9月27日ですが、このほど、このような形状の雲がいかにして発生するのかをコンピューター・シミュレーションによって解き明かした論文が、8月14日付の『Nature Geoscience』誌に掲載されました。以下はそのことを伝える記事です:
- What Caused a Giant Arrow-Shaped Cloud On Saturn's Moon Titan? (土星の衛星・タイタンの巨大な矢印形の雲はいかにして発生するのか?)
- Mystery of Saturn Moon's Bizarre Giant Cloud Solved (土星の衛星の奇妙で巨大な雲の謎が解けた)
どのようにして矢印形の雲が発生するのか、上記記事を読んでも今ひとつはっきりしません。一言でいえば、タイタンの赤道上で発生した複数の波が共鳴することによってこのような形状の雲ができる、ということらしいのですが、具体的な記述がないために得心がいきません。
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