2011年8月16日火曜日

NASAがエレーニン彗星についてお答えします (その2)


NASA Answers Your Questions About Comet Elenin〟(NASAがエレーニン彗星についての質問にお答えします)のテキトー訳の続きです:

エレーニン彗星のせいで3日間の暗闇が訪れるという話を聞きました。エレーニン彗星は太陽の光を3日間にわたって遮るのですか?
「地球から見た場合、エレーニン彗星が太陽面を横切ることはありません」とヨーマンズ。

仮にエレーニン彗星が太陽を横切ることがあったとしても、地球が3日間も暗闇に包まれることはありえません。エレーニン彗星のサイズは3~5kmであるのに対して、太陽の直径はおおよそ139万2082kmもあるのですから、とデービッド・モリソンは指摘しています。

そのように小さな天体が太陽のように非常に大きな天体を遮ることが可能でしょうか?
(月が太陽を覆い隠す)日食について考えてみましょう。日食は太陽と地球の間に月が入ったときに起こります。月の直径は約4000kmですが、地球から約40万km ― 直径のおおよそ100倍 ― 離れているため、見かけ上の大きさは太陽と同じになります。一方、直径が3~5kmしかないエレーニン彗星の見かけ上の大きさが、太陽と同じ程度になって太陽を覆い隠すには、地球から400km以内に近づく必要があります。400kmは国際宇宙ステーションの軌道の高度と同じです。先に述べたように、エレーニン彗星は3500万kmまでしか近づかないので、この彗星によって太陽が覆い隠されることはありません。

エレーニン彗星は褐色矮星であるという説があると聞きました。褐色矮星の質量はホンダ彗星の軌道を大きく変えるに十分なのでしょうか? このことによって、エレーニン彗星の質量を決定することができますか?
この彗星について〝褐色矮星説〟は存在しないとモリソンは語っています。「彗星と褐色矮星はまったく異なるものです。」
「天文学者がある天体の質量を測定するときには、その天体が他の天体におよぼす重力の効果を用いるという点は、あなたの指摘のとおりです。しかし、彗星は小さすぎるため、他の天体へ測定可能なほどの重力的影響をおよぼさないのです。」

太陽系外縁部に黒色矮星や褐色矮星が存在したとしても、私たちは見ることができない(存在を知ることができない)のではありませんか?
「いいえ、それは正しくありません」とモリソン。「太陽系外縁部に褐色矮星が存在したとしたら、私たちはそれを見たり、赤外線エネルギーを検出したり、それが他の天体におよぼす摂動(重力的影響)を測定したりすることができます。太陽系に褐色矮星は存在しません。もし、存在しているとしたら、私たちはそれをすでに見つけているはずです。さらに付け加えるならば、黒色矮星などという天体は存在しません。」

エレーニン彗星は肉眼で見えるようになりますか? 私はへール・ボップ彗星を見逃したので、エレーニン彗星が近づいてきたときには空に何かが見えるかどうか知りたいのです?
エレーニン彗星が肉眼でも見えるようになるかどうか、(現時点でははっきりしたことは)わかりません。モリソンは次のように述べています。「これまでの経過から考えると、エレーニン彗星が最もよく見えるはずの10月初旬でも、(街の明かりや月のない)非常に暗い夜空と双眼鏡が必要になるでしょう。残念ながら、エレーニン彗星は、過去数十年間で最も明るくなったへール・ボップ彗星の代わりにはなりえません。」

ヨーマンズは次のように語っています。「エレーニン彗星がすばらしい天体ショーを提供することはないでしょう。この彗星が地球に害をもたらすことがないのと同様に確かです」、「しかし、驚異の念を抱かせる点もあるのです」、「この勇敢で小さな旅人は、太陽系の惑星領域のはるか彼方からやってきて、比較的若い彗星を研究する機会を天文学者たちに提供することでしょう。短い滞在ののち、この旅人はふたたび太陽系の外側に向かって去って行き、私たち人類が再び彼のことを見聞きするのは数千年先のことになります。」

(続く)