『ユニバース・トゥデイ』(Universe Today)誌所載FAQからの抜粋・テキトー訳の続きです:
エレーニン彗星のことが報道されないのはなぜですか?: 2010年中に発見されたほかの16個の彗星や、2011年になってから発見された5個の彗星が報道されなかったのと同じ理由です。報道で取り上げられるのは、見た目が見事で肉眼で容易に見ることができる彗星か、探査機が訪れる彗星だけです。〝2009 P1〟と名付けられた彗星は、エレーニン彗星より明るくはならないにしても、同じ程度には明るくなる彗星ですが、やはりニュースになることはありません。アマチュアや本職の天文学者たちはエレーニン彗星やほかの天体を熱心に観測し続けていますが、報道各社は私たちのそうした活動に関心を示そうとはしません。
どうしてNASAのウェブ・サイトにはエレーニン彗星の情報がないのですか?: なぜなら、NASAは天文に関わるすべてのことがらの判定者ではないからです。あなたは、〝C/2009 P1〟や〝C/2011 C1〟という彗星や、2010年と2011年に発見された暗い彗星の情報も見つけることはできないでしょう。探査機が訪れたことのある彗星や、ほかの面で関心のある彗星の情報をNASAが保有していることは確かですが、それはCometographyやAerithのサイトが保有しているほど網羅的なものではありません。
(『Univers Today』の編集者の注記: NASAとジェット推進研究所(JPL)の〝Near Earth Object Office〟は、2011年5月にエレーニン彗星についての記事を公開し、同彗星が安全に地球の近くを通り過ぎていくことを確認しています。)
2010年8月、私は太陽のそばにエレーニン彗星を見ました / 今日現在もエレーニン彗星を見ることができます: 2010年8月の時点では、非常に強力な望遠鏡を使わなければエレーニン彗星を見ることは不可能でした。あなたは金星を見たのです。もし、今もあなたが朝の太陽のそばに明るい天体が見えるのだとしたら、それも金星なのです。
エレーニン彗星の画像はどこにありますか?: ここやここにあります。また、NGC 3376という名前の星雲の近くに見えている〝C/2010 X1〟(エレーニン彗星)のすばらしい画像がここにあります。
日本でも、エレーニン彗星についてのトンデモ説を批判的に扱っているブログがあります。その中で私がおすすめしたいのは以下です。エレーニン彗星にまつわるデタラメ情報を笑い飛ばしています:
上記ブログ記事の最後の一節に、私はまったく同感です:
でもなあ、「エレーニン彗星」で検索すると、ずいぶん信じちゃってる人、多いんだよなあ。
天文に興味のない一般人は、そもそも彗星というのがどんな天体なのかすら知らないから、こんなデタラメな話を本気にしちゃうのだろうか。あるいは「NASA」とか「ホワイトハウス」とかいう固有名詞が出てくるだけで信憑性があると思っちゃうのか。
何にしても、もうちょっと頭を使ってほしいもんである。
(完)
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