以下は日経BP社が運営する働く女性のためのサイト『日経ウーマンオンライン』に掲載されている記事です。女性が仕事を変える、引っ越す、結婚する、妊娠するなどのケースが多いと思っていたら大震災が起きた、これは女性が本能的に危機を予感していたからだという主旨です:
上記記事によれば、断捨離、マラソンブーム、山ガールブーム、イケアの家具ブームなども、女性が危機の到来を予感していたがゆえの流行だったのだそうです。そして、「女子のみなさんは正しい。あとは自分の中から聞こえてくる本能の声を無視しないで、きちんと聞くだけ」と結論づけています。
お話としてはおもしろいですが、私に言わせれば、これは「こじつけ」でしかありません。都合の良い事例だけを集めれば、どんな結論でも導き出せます。執筆者は確証バイアスや認知バイアスに囚われているのではないでしょうか。
記事のような粗雑な推論からデマや迷信というものは広がっていくものだと思います。本当に女性が本能によって危機の到来を察知できるのであれば、今回の震災で亡くなられた女性の数はもっと少なかったかも知れません。バイアスを排してきちんとした統計を取れば、記事のような結論は出てこないと思います。
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