アフリカ大陸の最高峰・キリマンジャロ山(地図)が活火山であることはあまり知られていないようですが、このほど、タンザニア政府が同山の噴火の可能性について調査を行う意向であることを同国の国会で表明しました:
キリマンジャロ山について『世界大百科事典』(平凡社)には以下のように書かれています:
キリマンジャロ[山] Mount Kilimanjaro タンザニア北部、ケニアとの国境に接する火山で、アルカリ岩系玄武岩を主体とする。アフリカ大陸の最高峰。キリマは〈山〉、ンジャロは〈輝く〉の意だと伝えられる。西から東へシラ山(4002m)、キボ山(5895m)、マウェンジ山(5270m)が並ぶ。最も古いシラ山は開析が進んで元の火山の形をとどめていないが、今でも噴気活動が認められるキボ山の山頂には、幾重にもなったカルデラがみごとである。キボ山にのみ氷河があり、南西斜面で標高4570mに達している。氷河期には南~東斜面で標高3660mにまで達していたといわれる。1848年、ドイツ人 J.レープマンらが雪におおわれたこの山のことを報告してヨーロッパで話題になった。初登頂は1899年にドイツ人ハンス・マイヤーらによってなされた。(以下略)
キリマンジャロの山体を構成する3つの山のうち、シラ山とマウェンジ山はすでに火山活動が終わっている(つまり昔の用語では死火山)と考えられています。一方、最も標高の高いキボ山は現在でも噴煙を上げたり火山灰を噴出したりすることがあり、ときには山頂部が赤く光るのが目撃されることがあるようです。上掲の記事によれば、キボ山が最後に噴火したのは200年前とのこと。
調査を行うのは、キリマンジャロ山が近い時期に噴火しそうだからということではなく、最近世界各地で火山の噴火が相次いでいることと、同山の噴火の可能性についてこれまで十分な調査が行われてこなかった、というのが理由であると上掲の記事は伝えています。
キボ山は氷冠や氷河に覆われていますが、最近の研究ではこの氷冠や氷河が2025年までには消滅してしまうと報告されています。これは気候変動による温暖化が原因とされていて(温暖化ではなく別の気象プロセスが原因だとする説もあります)、火山活動が高まって地温が上昇したからではないようです。
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