NASAの木星探査機・ジュノーが日本時間8月6日午前1時25分に打ち上げられました。ジュノーは太陽を1周したのち、2013年10月に地球付近にもどってきます。その際、地球の重力を利用して加速し木星に向かいます。木星に到着するのは2016年7月です。以下はその軌道を描いた図です:
- Juno Interplanetary Trajectory (PDF形式)
ジュノーには、これまでの木星探査機とは外観上大きく異なる点があります。以下の図を見てそれがわかるでしょうか:
答えは、大きな太陽電池パネルがついていることです。これまでの、木星以遠のいわゆる深宇宙(ディープ・スペース)を飛行する探査機には、プルトニウムなどの放射性同位元素を熱源とする原子力電池が搭載されていました。深宇宙では太陽光が弱く、地球付近の数パーセントしかないため、太陽電池では力不足だったためです。パイオニア、ボイジャー、ガリレオ、カッシーニなどの探査機がその例です。打ち上げ失敗時に原子力電池が破損して放射性物質が撒き散らされる危険があったため、打ち上げに対する反対運動が起きたこともありました。
ジュノーでは、技術の進歩によって太陽電池の発電効率が向上したことと、搭載している観測機器の省電力化が進んだために、太陽電池が搭載されることになったようです。また、ジュノーは離心率の大きい極軌道を周回するので、木星の影に入る時間が少ないということも関係しているのかも知れません。
ジュノーには、ガリレオ・ガリレイが木星の4大衛星を発見したときの観測ノートの文言と自画像を刻んだパネル(写真)や、3体のレゴ人形(写真)が載せられています。レゴ人形を積むことに何の意味があるのかわかりませんが、写真向かって左からローマ神話の主神ユピテル(ジュピター = 木星)、ユピテルの妻である女神ユノ(ジュノー)、ガリレオ・ガリレイなのだそうです。
多くの女神や人間の女、はては美少年との浮き名を流したことが伝えられるジュピターですから、その妻であるジュノーが周囲を回って監視するようになることを快くは思わないのではないでしょうか。
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