2012年8月28日火曜日

超新星爆発まぢかのベテルギウス


ベテルギウスオリオン座の一等星で、猟師オリオンの右肩(オリオン座の長方形の向かって左上隅)に相当する位置にあります。質量は太陽の約20倍、直径は太陽の約1000倍ある赤色超巨星で、仮に太陽系の中心にベテルギウスをおいたとするとその表面は木星の公転軌道近くにまで達し、地球や火星などはその内部に飲み込まれてしまうほどの大きさがあります。

ベテルギウスは恒星としての活動が不安定になっており、最近、さまざまな異変が観測されています。以下は、ウィキペディアからの引用です:
2009年時点のベテルギウスは、15年前の測定時と比べると15%も小さくなっており、しかも加速的に収縮しているらしいことがわかった。また、2010年1月にはNASAが、ベテルギウスが変型している事を示す観測写真を公開した。ガスが流出し表面温度が不均一になるなど、恒星が不安定な状態にあることが示された。近年の観測や研究により、その形状は球形ではなく、大きな瘤状のものをもった形状であるとされている。

このブログ記事のタイトル「超新星爆発まぢか」を見て「マジかよ~」と思われるかたもおられるかも知れませんが、「まぢか」と言っても天文学的な時間スケールでの話です。明日かも知れませんし、100万年後かも知れません。ベテルギウスまでの距離は640光年とされていますから、超新星爆発が今日おこったとしても、われわれがそれを知るのは640年先のことになります。もしかしたら、ベテルギウスはすでに爆発していて、その強烈な光や放射線が地球に向かって進行中なのかも知れません。

以下のニュース記事には、最近のベテルギウスの様子を観測結果にもとづいて再現した動画が掲載されています。北京で開かれた国際天文学連合(IAU)の会合で、8月24日にフランスの天文学者のチームが発表したものです。7年半にわたるベテルギウスの変化を、32秒間に圧縮して再現しています:

以下の動画は、ベテルギウスの超新星爆発が地球上のわれわれからはどのようにみえるかを再現しています:

関連記事

2012年8月17日金曜日

北方領土の「イワン雷帝」が噴火


8月15日から16日にかけての深夜、日本の北方領土・択捉島の中部にある火山・焼山(ロシア名: Ivan Grozny (〝Ivan the Terrible〟) = イワン雷帝地図)が噴火を始めました。今のところ、火山灰の噴出が主で、溶岩などの流出はなく、近隣居住地では硫化水素ガス(報道によっては〝hydrogen peroxide〟 = 過酸化水素)の臭いが漂ったもののしばらくして解消したとのことです:

関連記事

2012年8月14日火曜日

十勝岳で再び発光現象


北海道の十勝岳(地図)で、8月13日午前0時45分ごろから約1時間にわたって、火口付近が発光し明るく見える現象が観測されました。「その後は雲に覆われて確認できていない」とのこと。「火口付近の硫黄や火山性ガスが燃焼したことが原因」とみられています。

札幌管区気象台は、現時点では「地震や空気の振動といった噴火の兆候はないが、発光を繰り返しながら、火山活動が活発化していく可能性はある」としています。十勝岳では6月30日から7月4日にかけて、同じ火口で同様の発光現象が観測されています:

関連記事

2012年8月13日月曜日

金星食 ― 8月14日未明


日本時間で8月14日(明日)未明、東アジアから北米にかけての広い範囲で金星食を見ることができます。日本では、夜明け前の東の空の低い位置で、細い月(下弦と新月の中間)が金星(明けの明星)の前を横切ります。東京の場合、午前2時44分から3時29分にかけて、金星が月の後ろに隠れます。詳しくは以下の国立天文台の資料をご覧ください:

月と同じように金星も満ち欠けします。現在の金星は、下弦の月と同じように地球に向いた面の半分が輝いている状態です。大気の揺らぎが少なければ、双眼鏡でも金星が半月状に欠けているのが確認できるかも知れません。

金星食を特別なものと見なして地震などの発生と結びつける向きもありますが、惑星が月に隠される現象(惑星食)はそれほど珍しいものではありません。『天文年鑑』(誠文堂新光社)によれば以下のとおりです:
今年1年間に起こる惑星食は、世界的には、水星食4回、金星食1回、火星食1回、木星食8回である。準惑星の冥王星の食は10回、ケレス食は2回。主な小惑星ではパラス食が2回ある。そのうち日本で見られるのは7月15日昼の木星食と8月14日未明の金星食だけである。

関連記事

2012年8月5日日曜日

〝恐怖の7分間〟迫る (その2)


8月4日付「〝恐怖の7分間〟迫る (その1)」からの続きです。
時速200マイル(320km)まで減速すると爆発ボルトによってパラシュートが切り離され、スカイクレーンは1秒間の自由落下をします。続いて逆噴射ロケットが点火します。 
逆噴射ロケットは降下速度を時速1.5マイル(2.4km)まで低下させるとともに、横方向の力を加えて、より速い速度で落下してくるパラシュートを回避します。 
スカイクレーンが火星の地表から60フィート(18m)まで降下すると、蜘蛛が糸を伸ばすように、3本のナイロン製ロープにつるされたキュリオシティが少しずつ下に向かって下ろされます。スカイクレーンは、キュリオシティを20フィート(6m)下にぶら下げた状態で降下を続けます。キュリオシティが地表に接触すると爆発ボルトによってロープが切断され、キュリオシティは外部との最後の物理的接続を失います。スカイクレーンは飛び去り、火星の赤い砂に突入して、その驚くべき使命を終えます。 
びっくりするぐらい複雑にみえるかも知れませんが、「複雑にみえるシステムが実際には火星着陸をシンプルにしているのです」とセル氏は説明します。 
バイキング1号バイキング2号マーズ・フェニックス・ランダーなどのミッションでは、逆噴射ロケットを使いながら高度を下げ、着陸脚を使って火星表面に降り立ちました。その他のミッションではエアバッグが使われました。キュリオシティにはそれらの方法が使えませんでした。 
「キュリオシティのように大きなサイズの場合、(強力な逆噴射ロケットが必要となるため)逆噴射ロケットは大量の埃を舞上げて探査機やその搭載機器を危険にさらします」とセル氏は説明します。「そのようなリスクに加えて、(着陸装置の上に探査車を搭載する方式では)キュリオシティのように大きく重い探査車が着陸装置から傾斜路を通って火星表面に下りる際の危険もあります」。  
それらのリスクを、パスファインダー、スピリット、オポチュニティはエアバッグを使うことによって回避しました。しかし、キュリオシティはエアバッグを使うには大きすぎました。 
 [訳注: 探査車本体の重量は、ソジャーナ(マーズパスファインダー)が10.5kg、スピリットとオポチュニティが174kg、キュリオシティは950kgです。]
「キュリオシティの着地をやわらげるのに十分な大きさのエアバッグは、打ち上げるには重すぎ、また費用もかかりすぎます。それに加えて、エアバッグが着地の負荷に耐えられるように非常にゆっくりと落下させる必要がありますし、キュリオシティが車輪を下にした姿勢でエアバッグが静止する必要もあります」。 
セル氏は、キュリオシティにとってスカイクレーン方式は理にかなっていると語っている。しかし、今でも彼は心配で夜も良く眠れないでいる。

スカイクレーン方式は複雑な手順のどれか一つでもうまく作動しないと(Zero Margin of Error)、25億ドル(約2000億円)を投じたプロジェクトが水泡に帰します。すべては、キュリオシティが火星大気圏に突入してから着陸するまでの7分間で決まるということで、関係者はこの時間を〝恐怖の7分間〟(Seven Minutes of Terror)と呼んでいます。

百聞は一見にしかず、以下の動画をご覧ください。スカイクレーン方式による火星着陸や、着陸後の探査活動が描かれています。高精細の動画ですので、全画面表示で見ることをお勧めします:

以下は、キュリオシティの着陸手順を1枚にまとめた画像です:

キュリオシティが火星に着陸するとき、火星から地球までの距離は2億4800万kmあり、キュリオシティの発した電波信号が地球に届くまで13.8分かかります。

うまくいってほしいとは思いますが、なんど考えてみても、すべてがうまく行くとは思えません。着陸時にキュリオシティと地球の間の通信を中継することになっている火星周回衛星〝マーズ・オデッセイ〟が、7月11日に原因不明のセーフ・モードに陥るということがありました。現在は正常に復帰しているのですが、不吉な前兆のように感じます。

キュリオシティが搭載している観測機器のうち、私が注目しているのはChemCam(Chemistry and Camera)です。これは、探査車から7mの範囲内にある物体にレーザー光線を照射して蒸発させ、その時に発する光を分光分析して物体の成分を知る装置です。以下はキュリオシティがその装置を使っている様子の想像図です。もし現場に火星人がいたら、キュリオシティを攻撃的・敵対的な侵略者と見なすかも知れません(笑):

(完)


関連記事

2012年8月4日土曜日

〝恐怖の7分間〟迫る (その1)


大量のオリンピック報道に紛れてあまり注目されないかも知れませんが、日本時間8月6日(月)午後2時31分、アメリカの火星探査車〝キュリオシティ〟(好奇心)が8ヶ月半の飛行を終えて火星に着陸します。

スカイクレーンにつるされて火星に降下するキュリオシティ (クリックで拡大)
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

アメリカがこれまでに火星に送り込んだ3台の探査車 ―― ソジャーナ(マーズ・パスファインダー)、スピリットオポチュニティ ―― は、単純で安価なエアバッグ方式で火星表面に「落とされ」ていましたが、今回のキュリオシティは複雑な手順のスカイクレーン方式で火星表面に軟着陸します。この込み入った方式の概略と、なぜこの方式が採用されたのかについて、以下の資料に説明があります:

以下に、この資料の主要部分をテキトー訳します:
〝マーズ・サイエンス・ラボラトリー〟(火星科学研究所)という名でも知られるキュリオシティは、地球以外の惑星に着陸する探査機としてはこれまでで最大です。キュリオシティが大きいのは、それが解明しようとしている謎が大きいからです。その謎とは ―― 火星はかつて生命を宿していたのか、あるいは現在も生命を宿しているのか ―― です。 
火星に安全に着陸するために、キュリオシティを乗せたランダーは惑星間飛行速度である時速1万3000マイル(2万1000km)から時速1.5マイル(2.4km)まで減速しなければなりません。総重量1トンの観測機器をこのように減速するには、複雑な手順を精確に遂行する必要があります。重要な役割を果たすのは ―― 白熱状態になるヒートシールド(熱遮蔽板)、巨大なパラシュート、76個の爆発ボルト、そして、スカイクレーンです。 
ジェット推進研究所で大気圏突入・降下・着陸の副責任者を務めるスティーブ・セル氏は次のように語っています。「火星の大気圏への突入から火星表面への着陸まで、すべては7分間で終わります」、「ランダーに搭載したコンピューターがすべてを指揮します。複雑な手順のうちの一つでも失敗すればゲーム・オーバーです」。 
ゲームの計画は次のようなものです。 
スカイクレーン ―― 火星探査車キュリオシティに取り付けられている8つのロケットエンジンからなるジェットパック ―― を搭載したカプセルは、火星の大気との摩擦によって時速1万3000マイル(2万1000km)から1000マイル(1600km)まで減速します。この時、カプセル底部のヒートシールド(熱遮蔽板)は、大気との摩擦によって華氏3800度(摂氏2100度)の白熱状態になります。続いて直径60フィート(18m)のパラシュートが開きます。このパラシュートはカプセルと長さ160フィート(49m)のラインで結ばれています。ヒートシールドが投棄されると、カプセル内部のキュリオシティは下に広がる新たな住処を初めて見ることになります。 
このパラシュートは、地球外に送られたものとしては最大・最強で、キュリオシティをつり下げた場合に生じる6万5000ポンド(約30トン)の力に耐えることができるスーパーシュートと言うべきものです。

続く

2012年7月31日火曜日

水温上昇で3河川が釣り禁止に ― イエローストーン


米国北西部にあるイエローストーン国立公園(地図)で、公園内を流れる3つの川の水温が上昇しマスの棲息に適さなくなったため、8月1日から釣りが禁止されることになりました。釣りが禁止されるのは、ギボンズ滝より下流のギボンズ川、ケプラー滝より下流のファイアーホール川、とマディソン川です。気温の高い日が続いていること、間欠泉などからの熱水の流入、河川水量の減少などが複合的に影響して水温が上昇しているとみられています。公園当局は、今後も気温の高い状態が続くとの予報が出ているため、釣りが禁止される川が増える可能性があるとしています:

関連記事

2012年7月25日水曜日

頭上で核爆発


こんな実験をしていたとは。時は1957年7月19日、所は米国・ネバダ州の核実験場。5人の男性の頭上で空対空核ミサイルが炸裂します。以下の動画では、59秒目に核爆発の閃光、1分12秒目に爆風と轟音が5人を襲います:

核爆発の規模は2キロトン。爆発の高度は、上記YouTube動画の記述では1万フィート(3048m)となっていますが、他の資料によれば1万8500フィート(約5600m)です。上記動画では、閃光から爆音まで約13秒間です。途中の映像がカットされていないとすれば、音速を毎秒340mとして約4500mのところで爆発がおきたことになります。

5人の男性は自ら志願して爆心地(グラウンド・ゼロ)に立ったのだそうです。5人のうち、4人は佐官級(大佐・中佐・少佐)の将校です。5人の前には〝Ground Zero. Population 5〟(爆心地、人口5人)と手書きされた看板が立てられています。アメリカ人的なユーモアでしょう。

それにしても、中継しているアナウンサーの楽しげな調子は何なのでしょうか。私の聞き間違いでなければ、中継の最後は〝just beautiful!〟という言葉で締めくくられています(核爆発で生じた閃光や火の玉のことを言っていると思われます)。

以下の記事には、5人のその後を含むさらに詳しい情報が書かれています:

上記記事には、5人のその後を調査した結果が書かれています。偉い人ほど長生きしているようです:
  • Sidney C. Bruce 大佐 ― 2005年に86歳で死亡
  • Frank P. Ball 中佐 ―  2003年に83歳で死亡
  • John Hughes 少佐 ― 1990年に71歳で死亡(不確実)
  • Norman Bodinger 少佐 ― 不明
  • Don Lutrel 伍長 ― 1987年に63歳で死亡(不確実)

動画には映っていませんが、この5人の様子を撮影したのは、カメラマンの George Yoshitake 氏です。同氏は志願ではなく、上官の命令で撮影にあたったようです。同氏は、2010年に〝ニューヨーク・タイムズ〟紙のインタビューに答えて、核実験の撮影にあたった同僚カメラマンのかなりの数がガンで死亡した、核実験が彼らの死に関係していることは間違いない、と語っています。同氏は現在84歳になっているとのことです。

リュウゼツランの開花相次ぐ ― 岡山、愛知、青森、千葉


数十年に一度といわれるリュウゼツランの開花が各地で相次いでいます:

関連記事

2012年7月24日火曜日

聖地への巡礼で地震予知 (その2)


7月24日付「聖地への巡礼で地震予知 (その1)」からの続きです。

人間も、地震の前に影響を受けることがある。そのような事例は、1988年12月におきたアルメニアのスピタク地震[地図、USGSによるとM6.8、死者2万5千人]で初めて報告された。出産数と外来患者が急増したのである。1993年のインドのラトゥール地震[地図、USGSによるとM6.2、死者9748人]では、ラトゥール市民病院の医療記録が、地震前日の出産数と外来患者数が通常の6倍から7倍になったことを示している。ポートブレアとムザファラバードの病院のデータも同様の傾向を示している。 
上に述べたような事例は、聖地巡礼がおこなわれるアマルナート・ヤトラの期間に人間や動物の行動を用いて地震を予知するために活用できる。 
今年のアマルナート・ヤトラの巡礼や他の聖地巡りでは、敬虔な信者たちがグワーハーティー郊外のアンブバチ・メラに加えて、ギャンゴットリ、ジャムノットリ、ケダルナート、バドリナート、バイシュノ・デビの険しい山岳地帯を通り抜ける。それらすべての地域はゾーン〝IVに分類される地震多発地帯で、ほとんどがゾーン〝V〟に隣接しており、マグニチュード6かそれ以上の地震がおきる可能性がある。 
カングラ、アンダマン諸島、タイでの事例を勘案するならば、巡礼で使われるたくさんの馬を地震の前兆センサーとして使うのが得策だ。もし、すべての馬が巡礼を乗せるのをいやがったり、ふだんとは違うそぶりを見せたなら、それは地震の前兆であるかも知れない。 
同様に、何人かの巡礼者がとつぜん体調を崩し、胸の痛み、頭痛、吐き気を訴えたり、急に興奮したり怒り出したりしたならば、それは地震の前兆である。人間に見られる異常な前兆は、通常、地震発生の数時間前におおよそ4人に1人の割合で現れる。さらに、だれもが持つようになった携帯電話も、巡礼者たちが地震の前触れを察知するのに効果的である。地震の前には、携帯電話は通じにくくなり始めたり、まったく通じなくなったりする。この様な現象は、中規模地震や大規模地震の100分から150分前に発生する 
上に述べたことは、2001年のブージ地震[地図、USGSによるとM7.6、死者2万23人]、2004年のスマトラ沖地震[USGSによるとM9.1、死者22万7,898人]、2005年のカシミール地震[地図USGSによるとM7.6、死者8万6000人]の前に見られた。また、中国、日本、イラン、ニュージーランドでも報告がある。 
馬やその他の動物(は虫類、鳥類、ヤスデ、ムカデ)、そして巡礼者のかなりの割合に異常が現れ、時を同じくしてすべての携帯電話が通じにくくなり最終的にはまったく通じなくなったとしたら、短時間のうちに地震がおきる可能性がある。現場の責任者は、関連当局に連絡するのがよいだろう。 
この記事は、地震について注意を喚起するのが目的であり、巡礼者の心を不安にさせることを意図したものではありません。巡礼者の安全に資するため、中央政府や州政府ができる限りの予防措置を講じていることを巡礼者はご理解ください。

(完)


関連記事