2013年11月4日月曜日

フラッキングはイエローストーン・スーパー火山を目覚めさせるか?


イエローストーンについては、今年、前例のないパターンの群発地震が発生したり、マグマ溜まりの大きさがこれまでの想定の 2.5 倍もあるとの研究結果が発表されたりして話題に事欠きません。

以下に紹介するのは、イエローストーン国立公園(地図)に近いモンタナ州ビリングズ(地図)で発行されている『ビリングズ・ガゼット』紙の投稿記事です。米国ではハイドロ-リック・フラッキング(フラクチャリング、水圧破砕法)によるシェールオイルシェールガスの採掘がブームになっており「シェール革命」とも呼ばれていますが、各地で地震誘発や環境汚染などの問題を引きおこしています。記事はイエローストーン・カルデラ周辺で計画されているハイドロ-リック・フラッキングが噴火を誘発するのではないかと懸念する内容です:

以下は、記事のテキトー訳です:
2011年11月6日、オクラホマ州はマグニチュード 5.6 というかつてない大きな規模の地震を経験した。600マイル(約1000km)離れたデンバーにいた私はその轟音(家のきしみや窓ガラスや家具などが立てる音?)で目を覚ました。

『デンバー・ポスト』紙に掲載された記事と、2013年3月26日発行の学術誌『ジオロジー』に掲載された研究報告は、地震の原因について ―― 同地域でおこなわれていたハイドロ-リック・フラッキング(水圧破砕法)を使った石油やガスの生産にともなって地下に注入された廃水の蓄積が原因である可能性が高い ―― と結論づけている。最も地震が多発した郡には水を注入する井戸が 181 あり、群発地震の震源とそれらの井戸の位置には明瞭な相関関係があることを地図が示している。

米国地質調査所(USGS)は「誘発地震」を調査して、地下に注入された液体は注入地点から水平方向や垂直方向にかなりの距離を移動すると結論している。USGSは、地下に注入された廃水は断層の摩擦力を弱め、実質的に断層をこじ開ける働きをして、地震を起こす断層の滑りを促進する、と述べている。

10月24日付の『ビリングズ・ガゼット』紙の伝えるところによれば、ベアクリーク地区(地図)と同じく、眠れる巨大火山であるイエローストーン・カルデラの縁から約80マイル(約130km)離れたロスコー(地図)/ディーン地区でも同様のハイドロ-リック・フラッキングによる採掘が計画されている。

イエローストーン・カルデラは3回のスーパー噴火を起こしており、研究者によっては過去の噴火履歴データに基づけば4回目のスーパー噴火はすでに機が熟し切っているという。イエローストーンの地球物理学者ボブ・スミス氏は、もしイエローストーンが噴火すれば「もたらされる荒廃は壊滅的かつ際限のないものとなる」、イエローストーン国立公園は消滅し、数百度の温度の火山灰が1980年のセント・ヘレンズ山噴火の数千倍も噴出して、世界中の農業にいつ終わるとも知れない影響を与え、即死者数は8万7000人にのぼる、との見解を述べている。

イエローストーン火山観測所のジェイコブ・ローウェンスターン氏を含む他の科学者もこの見解に同意している。

廃水の地下注入が大地震を誘発し休眠中の火山を突然目覚めさせる可能性について、USGSは「肯定するにも否定するにもさらなる研究が必要だ」と表明している。

さらなる事前探査がおこなわれたり、計画中の数十の注入井戸が稼働したりする前に、地震活動が活発で活火山にも近い今回のような場所でハイドロ-リック・フラッキングをおこなうことによって引きおこされる恐れのある深刻な影響について、徹底的な研究が絶対に必要である。

水圧破砕法はフランスやブルガリアでは禁止されており、米国でも特定の地域での使用を禁止する州があります:

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