2020年7月31日金曜日

イエローストーンの間欠泉が「異常」噴出 (続報-105)


米国イエローストーン国立公園内のスティームボート間欠泉(地図)が、7月30日01時09分(日本時間30日16時09分)ごろから熱水や水蒸気を噴出し始めました。今年29回目の噴出です。

日付(現地時間) 間隔(日)
1 1月9日 14
2 1月23日 14
3 2月1日 9
4 2月12日 11
5 2月21日 9
6 2月28日 7
7 3月6日 7
8 3月15日 9
9 3月24日 9
10 4月2日 9
11 4月10日 8
12 4月27日 17
13 5月8日 11
14 5月14日 6
15 5月19日 5
16 5月23日 4
17 5月31日 8
18 6月3日 3
19 6月8日 5
20 6月12日 4
21 6月18日 6
22 6月23日 5
23 6月29日 6
24 7月3日 4
25 7月9日 6
26 7月13日 4
27 7月19日 6
28 7月24日 5
29 7月30日 6


以下は、最寄りの地震計と、噴出した熱水が流れ込む川の流量の記録です。勢いがよかったのは最初の10分間ほどだったようです:

昨年(2019年)のスティームボート間欠泉の年間噴出回数は48回で、正確な記録が残っている範囲ではこれまでで最多でした(昨年の噴出記録はこちらを参照してください)。


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NASAの火星探査機: 打ち上げ直後に通信途絶える


7月20日のアラブ首長国連邦、24日の中国に続いて、30日20時50分、米国NASAの火星探査機がフロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられました(打ち上げ日時はいずれも日本時間)。打ち上げ直後に、搭載している火星探査車 Perseverance に技術的問題が発生して通信が途絶したとのアナウンスがあり「エ〜ッ」と思ったのですが、約2時間半後に回復しました。想定外の温度低下でセーフ・モードに入ったことが原因とのことですが、先が思いやられます:

火星到着は来年2月で、火星探査車 Perseverance が着陸するのは北半球の赤道近くにある Jezero クレーター。過去には満々と水を湛えた湖があり、流入する河川に広大な三角州(扇状地?)が発達していたとされる場所です。同クレーターはイシディス平原(Isidis Planitia、イシディス盆地、Isidis Basin、地図)の北西縁に位置し、直径約45km。

イシディス平原の位置は、Google Map の火星版でどうぞ。検索窓に isidis planitia と入力して "Search" ボタンをクリックしてください:

今回の火星探査車 Perseverance の目的の一つは、火星生物の痕跡を捜すことと、将来の探査機が地球に持ち帰るための岩石や鉱物の資料を用意することです。これまでにも化石では!と思わせる岩石は見つかっているのですが、画像だけでは断定できません。実物を持ち帰って地球の研究室で詳細に調べる必要があります。以下は、化石かも知れないと言われている岩石の画像です。現行の火星探査車 キュリオシティの MAHLI(Mars Hand Lens Imager)で撮影されたものです(画像をクリックするとさらに拡大します):

火星探査車の名前 Perseverance の日本語表記には悩まされそうです。マスコミの表記もばらついています。NHK は「パーセヴィアランス」、毎日新聞・読売新聞・産経新聞・共同通信は「パーシビアランス」、時事通信は「パーセベランス」、AFPは「パーサビアランス」などなど(朝日新聞は記事が見当たりません)。着陸地点の地名 Jezero クレーターや、 Perseverance の腹面に取り付けられている火星ヘリコプターの名前 Ingenuity も表記が分かれそうです。


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2020年7月30日木曜日

イルカが座礁 — 宮城県仙台市


7月25日、宮城県仙台市(地図)の海岸にイルカが乗り上げているのが見つかりました。発見者が水族館に連絡し、到着を待っている間に自力で海に戻ったようです:

体側の模様から判断するとスジイルカのようです。


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2020年7月29日水曜日

遠ざかっていく NEOWISE 彗星


NEOWISE 彗星は7月4日に近日点を通過し、23日に地球に最も近づきました。日本では梅雨の時期にあたったため最盛期の勇姿を見る機会が少なく残念でした。この彗星が次に太陽の近くまでやって来る時、それを眺める人類は残っているでしょうか。

「私にとって当面は最後となるネオワイズ彗星の画像。楽しかったよ、6000年後にまた会おう」:


左側の青白く直線状に細く伸びているのがイオンの尾、右側の湾曲して広がっているのが塵の尾です。太陽はイオンの尾の延長方向(画面右下方向)にあります。


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2020年7月28日火曜日

小惑星 2020 OR4 が月と地球に接近


7月29日早朝、小惑星〝2020 OR4〟が月と地球に接近します。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2020 OR420~44  (月)7月29日 04:12
(地球)7月29日 05:55
2.00
1.19
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星はアポロ群に分類されています。

直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。この小惑星が最初に観測されたのは7月20日です。

接近時の地球との相対速度は非常に速く、秒速22.9km(時速約8万2000km)と予報されています。


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2020年7月27日月曜日

小惑星 2020 OY4 が月と地球に接近


7月28日午後、小惑星〝2020 OY4〟が月と地球に接近します。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2020 OY42~5  (月)7月28日 14:05
(地球)7月28日 14:32
1.07
0.11
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星はアポロ群に分類されています。

直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。この小惑星が最初に観測されたのは7月26日です。

接近時の地球との相対速度は秒速12.4km(時速約4万5000km)と予報されています。

現時点の予報では、月への接近時刻に ±12分、地球への接近時刻に ±13分の誤差が見込まれています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2020年7月26日日曜日

ピタゴラスの地震観


古代ギリシアの数学者であり、哲学者でもあったピタゴラス(ピュタゴラス)は地震という現象をどう捉えていたのでしょうか。『ギリシア奇談集』(アイリアノス著、松平千秋・中務哲郎訳、岩波書店、1989)に次のような逸話が載っています:
ピュタゴラスは人々に、自分は普通の人間が生まれる種よりも優れた種から生まれた、と説いた。
(中略)
ピュタゴラスは、銭葵(ぜにあおい、画像)の葉は最も神聖なものだとか、あらゆるものの中で最も賢いものは「数」で、その次は「事物に名を与えた者」だと語った。また、地震の原因は死者たちの会合にほかならぬと考えた。虹(イーリス)は太陽の光芒であり、何度も耳に入ってくる音は神霊の声だとも語った。いかなる問題についても彼に異議を唱えたり、彼の説に質問を呈したりすることは許されず、当時の人々は彼の教説を神託のごとく拳々服膺した。

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湧水の池が9年ぶりに満水 ― 静岡県三島市 (続報-2)


7月23日付「湧水の池が9年ぶりに満水 ― 静岡県三島市 (続報)」の続報です。

7月25日、静岡県三島市の市立公園「楽寿園」(地図)内にある小浜池の水位が 217cm に達し、1961年に記録されたこれまでで最高の水位 215cm を上回りました。

「7月10日に園が『満水』とする150センチを9年ぶりに上回り、19日には63年以来の200センチ超えを記録した」、「昨年の7月下旬はわずか20センチほどだった」:

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はやぶさ2 の第2の目的地


小惑星探査機「はやぶさ2」は、今年12月に地球に接近し、小惑星リュウグウで採取した物質が入ったカプセルを地球に投下する予定ですが、その後に訪れる第2の目的地の候補が検討されています:

上掲の記事によれば、検討されている2つの候補は "2001 AV43" と "1998 KY26"。いずれも直径 30〜40m でアポロ群に属しています。到着の予定は、前者の場合は2029年11月、後者の場合は2031年7月。

2つの候補のうち "2001 AV43" が選ばれた場合、ちょっと変なことになります。「はやぶさ2」が 到着する2029年11月には、"2001 AV43"は月と地球に接近しているのです。9年近い歳月を費やし金星経由で数十億キロを飛行してやっと到着した目的地は、なんと地球のそばだったというオチ。なんだか映画「猿の惑星」の結末みたいです。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2001 AV4330~40  (月)11月11日 10:16
(地球)11月12日 00:25
0.65
0.81
(1LD=地球から月までの平均距離) 

接近日時は2029年のもの。月への接近時刻には ±2分、地球への接近時刻には ±3分の誤差が見込まれています。


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小惑星 2020 OO1 が地球と月に接近


7月28日、小惑星〝2020 OO1〟が月と地球に接近します。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2020 OO113~30 (地球)7月28日 00:23
 (月)7月28日 00:44
1.74
0.78
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星はアポロ群に分類されています。

直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。この小惑星が最初に観測されたのは7月20日です。

接近時の地球との相対速度は秒速7.3km(時速約2万6000km)と予報されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2020年7月25日土曜日

イエローストーンの間欠泉が「異常」噴出 (続報-104)


米国イエローストーン国立公園内のスティームボート間欠泉(地図)が、7月24日13時02分(日本時間25日04時02分)ごろから熱水や水蒸気を噴出し始めました。今年28回目の噴出です。

日付(現地時間) 間隔(日)
1 1月9日 14
2 1月23日 14
3 2月1日 9
4 2月12日 11
5 2月21日 9
6 2月28日 7
7 3月6日 7
8 3月15日 9
9 3月24日 9
10 4月2日 9
11 4月10日 8
12 4月27日 17
13 5月8日 11
14 5月14日 6
15 5月19日 5
16 5月23日 4
17 5月31日 8
18 6月3日 3
19 6月8日 5
20 6月12日 4
21 6月18日 6
22 6月23日 5
23 6月29日 6
24 7月3日 4
25 7月9日 6
26 7月13日 4
27 7月19日 6
28 7月24日 5


以下は、最寄りの地震計と、噴出した熱水が流れ込む川の流量の記録です。かなり勢いのある噴出だったようです:

昨年(2019年)のスティームボート間欠泉の年間噴出回数は48回で、正確な記録が残っている範囲ではこれまでで最多でした(昨年の噴出記録はこちらを参照してください)。


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2020年7月24日金曜日

アラスカ半島沖 M7.8


7月22日15時12分ごろ、アラスカ半島南岸沖で M7.8、深さ 28.0km の地震が発生し、アラスカ州では弱い津波が観測されました:

米国地質調査所(USGS)の情報によると、この地震は太平洋プレートと北アメリカ・プレートの境界面またはその周辺で衝上断層が動いた結果である、震源付近では太平洋プレートが年間約 64mm の速度で北西に向かって北アメリカ・プレートの下に沈み込んでいる、断層の規模としてはおおよそ長さ 120km、幅 50km程度とのことです。

アラスカ大学フェアバンクス校のアラスカ地震センターによれば、今回の地震はシュマジン・ギャップ(Shumagin Gap)と呼ばれる地震空白域で発生、同空白域で地震が発生しないのは歪みが蓄積され続けているからなのか、スロースリップによって歪みが開放されているからなのか、議論になっていたとのことです。以下の図を参照してください:

吾妻山で火口付近が明るく見える現象 (続報)


薄い紫色の炎のようなものが見えています。なぜ、監視カメラの映像で「硫黄の燃焼によるもの」と判断できるのか、と疑問に思っていたのですが、この色合いですかね:


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2020年7月23日木曜日

吾妻山で火口付近が明るく見える現象


吾妻山(地図)では、7月22日20時00分ごろから大穴火口付近が明るく見える現象が起きています。硫黄の燃焼によるものと考えられ、2011年11月以来。火山活動に特段の変化はないとのことです。

「大穴火口付近では熱活動が継続しており、噴出現象が突発的に発生する可能性があることに留意してください」:

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湧水の池が9年ぶりに満水 ― 静岡県三島市 (続報)


7月11日付「湧水の池が9年ぶりに満水 ― 静岡県三島市」の続報です。

静岡県三島市の市立公園「楽寿園」(地図)内にある小浜池は、7月10日に2011年以来9年ぶりの満水(水深150cm)となりましたが、その後も水位が上がり続け、19日には57年ぶりに200cmを超えました。22日には209cmに達し、記録が残る範囲でこれまでの最高だった1961年6月の記録215cmに迫っています。

「富士山の溶岩の地層をつたって雪解け水などが湧き出すといわれる小浜池」、「1960年代から夏以外は水が枯れるようになり、ここ数年は夏でも水位が100センチを超えることは殆どありませんでした」、「最近は池底が見える姿が常態化していた」、「楽寿園東隣の白滝公園も水位があがり、公園内に土のうが積まれた」:

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2020年7月22日水曜日

ササが開花 — 岩手県


北上山地の全域で、春〜初夏にかけてササの花が咲いていたとのことです。

「今年はやけに春〜初夏にかけて、北上山地の全域に『大凶兆』『戦乱や飢饉の前触れ』と呼ばれて恐れられる笹の花が咲いていた。この4枚、全部今年の写真だ。笹の花は60〜100年に1度咲く花で、古来より笹や竹の花が咲く時は天下に大乱あり、大凶の前触れであると言い伝えられてきた:

上記の記事が引用しているツイートです:

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2020年7月21日火曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-225)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 7月18日17:00付で更新情報を出しています:

今回の更新情報の前半には、2020年上半期(1月〜6月)の予報実績がまとめられています。期間中に発生した M5.0以上の地震と火山活動は43件(注1)。43件のうち、前兆観測網のカバー範囲などから前兆が検知可能であった地震または火山性活動は 11件。各予報は、地震前兆変動検知観測情報・公開実験の参加者に配信済み:

分類 件数
予報を出せずに地震発生=見逃し(注2) 1
予報を出したが地震発生なし=空振り 0
3要素とも予報失敗(注3) 0
1要素予報成功 0
2要素予報成功(注4) 2
3要素予報成功 8
合計 11

(注1)群発地震では、活動期間中に M5.0以上の地震が複数発生しても 1件と数えている。
(注2)No.1778前兆との識別に失敗。事後、前兆が現れていたことを確認。
(注3)地震予報の3要素は時期・場所・規模。
(注4)予報発生日を1日越えて発生した地震1件、予報規模範囲を M0.5越えて発生した地震 1件、合計2件。

「重要なことは前兆変動検知可能地震に対し、1:1 で前兆変動が出現していること、また予報を出したが対応活動無しがないことは非常に重要です。」

串田氏が一般に公開している予測情報は、前例のない長期継続前兆 No.1778 についてだけです。ネット上でこの No.1778 の情報だけを目にしている方々にとっては、串田氏の予測手法は当てにならないという印象が残ると思いますが、No.1778前兆以外ではかなり良い結果を残していると言えるのではないでしょうか。

長期継続している No.1778 前兆については以下のとおりです:
  • 現在考えられる地震発生時期は3とおり:
地震発生時期前兆終息時期
11月3日± 8月14日± または 10月5日±
11月13日± 8月22日± または 10月12日±
12月2日± 8月1日± または 9月5日± または10月26日±
  • CH07観測装置(八ヶ岳)が、1年以上前から観測電圧の上限(50mV)を越えていたが、7月3日から上限以下になっている。下降傾向は続いており、8月上旬〜中旬ごろには正常基線電圧に戻る可能性がある。この変化は、12月以前に地震発生となる可能性を示唆している。

  • 前兆終息が確認できた時点で発生時期を計算し、報告する。

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イエローストーン: バイソンが女性を襲うも、死んだふりで無事


日付は明示されていませんが、先週の出来事のようです:

周囲の人たちが叫んでいる "play dead" は「死んだふりをしろ」という意味です。


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野生のイルカ2頭が沿岸に定着 — 三重県尾鷲市


三重県尾鷲市三木浦町(地図)の沿岸で、1ヶ月余り前から2頭のイルカが連日目撃されており、同所に居着いているとみられています。

「市は『遊泳者に接触する可能性がある』として、当面の間、(三木浦マリンパークでの)遊泳を禁止することにした」:

三重県尾鷲市の三木浦漁港では先月、イルカが港内に迷い込む事象も発生しています:


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2020年7月20日月曜日

イエローストーンの間欠泉が「異常」噴出 (続報-103)


米国イエローストーン国立公園内のスティームボート間欠泉(地図)が、7月19日11時42分(日本時間20日02時42分)ごろから熱水や水蒸気を噴出し始めました。今年27回目の噴出です。

日付(現地時間) 間隔(日)
1 1月9日 14
2 1月23日 14
3 2月1日 9
4 2月12日 11
5 2月21日 9
6 2月28日 7
7 3月6日 7
8 3月15日 9
9 3月24日 9
10 4月2日 9
11 4月10日 8
12 4月27日 17
13 5月8日 11
14 5月14日 6
15 5月19日 5
16 5月23日 4
17 5月31日 8
18 6月3日 3
19 6月8日 5
20 6月12日 4
21 6月18日 6
22 6月23日 5
23 6月29日 6
24 7月3日 4
25 7月9日 6
26 7月13日 4
27 7月19日 6


以下は、最寄りの地震計と、噴出した熱水が流れ込む川の流量の記録です:

昨年(2019年)のスティームボート間欠泉の年間噴出回数は48回で、正確な記録が残っている範囲ではこれまでで最多でした(昨年の噴出記録はこちらを参照してください)。


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2020年7月19日日曜日

幕末の木曽の空を飛んだ「光ったもの」


「木曾路はすべて山の中である」で始まる島崎藤村の小説『夜明け前』に、幕末の木曽で目撃された不思議な現象が書かれているそうです:

現象の記述は「序の章」にあり、次のとおりです:
「どうもことしは年回りがよくない。」
「そう言えば、正月のはじめから不思議なこともありましたよ。正月の三日の晩です、この山の東の方から光ったものが出て、それが西南の方角へ飛んだといいます。見たものは皆驚いたそうですよ。馬籠ばかりじゃない、妻籠でも、山口でも、中津川でも見たものがある。」

小説の舞台は中山道の宿場町・馬籠宿(現在の岐阜県中津川市馬篭、地図)。藤村の生まれ故郷です。時は、「東海道浦賀の宿、久里が浜の沖合いに、黒船のおびただしく現われたといううわさが伝わって来た」という文があるので嘉永六年。「光ったもの」が飛んだのは同年正月3日(西暦1853年2月10日)。

最初に掲げた『中日新聞』や『東京新聞』のコラム記事では、空を飛んだ「光ったもの」について「藤村は地元の資料を基にしたはずで、ひょっとしてUFOではないか」という見方を紹介していますが、私は伊賀上野地震か安政東海地震の前兆の可能性があるのではないかと思っています。

時系列を整理すると:
  • 1853年2月10日(嘉永6年1月3日) 「光ったもの」が西南の方角へ飛んだ
  • 1853年7月8日(嘉永6年6月3日) ペリーが率いる黒船艦隊が浦賀に来港
  • 1854年7月9日(安政1年6月15日) 伊賀上野地震(M7¼、震央地図
  • 1854年12月23日(安政1年11月4日) 安政東海地震(M8.4)
  • 1854年12月24日(安政1年11月5日) 安政南海地震(M8.4)
  • 1872年3月25日 島崎藤村 中山道馬籠(現在の岐阜県中津川市馬籠)に生まれる
  • 1943年8月22日 島崎藤村 没

伊賀上野地震や安政東海地震の前兆だとすると先行時間が長すぎるきらいがありますが、漠然と黒船が来たころに「光ったもの」が飛んだという言い伝えを出身地で耳にしていた藤村は、その話を小説のストーリーを展開する上で都合の良い時点に取り込んだのではないでしょうか。つまり、「光ったもの」が実際に目撃されたのはもっと地震発生に近い時期ではなかったか、と思うわけです。

なぜそう思うかというと、昭和の東南海地震(1944年12月7日、M7.9)の前に類似の現象が複数の人によって目撃されているからです。以下は 『地震前兆現象 予知のためのデータ・ベース』(力武常次、東京大学出版会、1986)に掲載されている2つの証言です。同書では同一の現象を目撃したと判断しています。目撃場所は静岡県浜松市の天竜川駅前広場(地図)で、震央距離 150km、先行時間 20時間:
12月6日午後5時30分頃?(うす暗くなった頃)。赤色 いわゆる火の玉というか、赤くて、進行方向がマルくて尾を持った様な物体が東から西に向かって流れるように通過、1つ、ゆっくりと浮び、流れるように、時間的には30秒位だったと思う。

月日は正確には記憶がない。夕方うす暗くなってからの時刻、国鉄東海道線天竜川駅前広場から見た。北方100〜350mぐらいの感じ、高さ100mぐらい。光の残る感じ(中略)火の玉が東から西に動く。色はオレンジがかった赤、大きな鳥がとぶような感じで動いた。頭部の直径は30cmぐらい 100〜150m動き、30秒〜1分間で消えた。列車が遅れ100人ぐらいの乗客が騒ぎながら見たので私一人の錯覚ではない。

『夜明け前』は青空文庫で読むことができます:

″幻の湖″ 出現 — 山梨県富士河口湖町


7月15日、山梨県富士河口湖町精進の窪地に ″幻の湖″  と呼ばれる赤池(地図)が出現しました。直径約20mで最大の水深約50cm。大雨の際に一時的に出現したことはあったが、継続的に見られるのは2011年以来9年ぶりとのことです。

「大雨によって一時的に出現する年もあるが、これほどの大きさになるのは珍しい」(赤池近くのレストラン・オーナー)、「地下でつながっているとされる精進湖の水位が上昇すると出現する」(富士河口湖町):

こちらも2011年以来9年ぶりでした:

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2020年7月18日土曜日

1本の茎に100輪のヤマユリ — 茨城県常陸大宮市


茨城県常陸大宮市野上(地図)の林で、1本の茎に約100輪の花を付けたヤマユリが見つかりました。高さ約2m。

「丸い茎が平たくなる帯化(たいか)と呼ばれる現象が起きると、一つの茎に花が多く付くことがある。メカニズムははっきりと分かっていないが、栄養が多過ぎると起きる可能性がある」「珍しい現象」(茨城県植物園):

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三浦半島に異臭広がる (続報)


7月17日午前10時40分ごろから11時10分ごろにかけて、神奈川県横須賀市(地図)の東部を中心に異臭がするとの通報が相次ぎました。

「海の方からガス臭」、「何か焦げている臭い」、「生臭い」、「形容しがたい臭い...何ていうんだかわからない」、「ガソリン?」:

17日午前には、10日に漂着したクジラの死骸を東京湾外へ曳航する作業が行われていましたが、横須賀海上保安部によると、異臭との関連は薄いとのことです。

横須賀市のある三浦半島では、6月4日夜にも広い範囲で異臭騒ぎがありました。原因は不明のままです:

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2020年7月17日金曜日

内陸にウミネコの群れ — 兵庫県丹波市


7月8日朝、兵庫県丹波市青垣町(地図)の田んぼに、海鳥のウミネコ13羽が飛来しているのが見つかりました。

「ウミネコは、2年前の西日本豪雨の後にも、丹波市内で飛ぶ姿が目撃された」、「悪天候が続いているので、海が荒れて餌が取れなくなり、内陸まで飛んできたのでは」「1羽で飛来したのは見たことがあるが、一度に13羽が来たのはびっくりした」(丹波野鳥の会):

6月9日には京都府福知山市にもウミネコが飛来しています:

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小惑星 2011 ES4 が地球と月に接近


欧米などのメディアでは、1週間ほど前から小惑星 2011 ES4 の地球接近をセンセーショナルに伝える記事が出始めています。日本のメディアでも追随するところがあるかも知れません:

現時点の予報は以下のとおりです。このブログの小惑星関連記事を常々ご覧いただいている方はおわかりと思いますが、大騒ぎするほどの接近ではありません:

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2011 ES422~49 (地球)9月2日 01:12
 (月)9月2日 13:57
0.32
0.22
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星はアポロ群に分類されています。

この小惑星が発見されたのは東北地方太平洋沖地震前の2011年3月2日で、3月6日には見失われてしまいました。わずか数日間の観測で得られたデータから軌道を計算していますので、地球と月への接近時刻には ±8時間を越える大きな誤差が見込まれています。また、地球への接近距離にも大きな幅があって、最短の場合 0.19LD、最長の場合 41.2LD とされています。

接近時の地球との相対速度は秒速8.2km(時速約2万9000km)と予報されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2020年7月15日水曜日

昆布の遺伝子で過去と未来の大地震を知る


オタゴ大学(ニュージーランド)の教授を中心とする研究チームの論文(The genomic footprint of coastal earthquake uplift)を紹介する記事と、教授との Q&A です。昆布の遺伝子を調べることによって、これまで知られていなかった過去の大地震を見出すことができる; また、今後大地震が起こりやすい場所を予測するための手段になり得るとのことです:

誤解を怖れずに単純化すると、大地震によって海岸が急激に隆起する → 海岸沿いに生えていた昆布は乾燥して死滅する → 新しい海岸沿いには異なる遺伝子グループに属する昆布が「植民」してくる → 周辺の昆布の遺伝子と比較することによって遺伝子グループの交代が起きたことがわかる → その場所でかつて急激な隆起(大地震)があったことがわかる、という流れのようです。

2020年7月14日火曜日

イエローストーンの間欠泉が「異常」噴出 (続報-102)


米国イエローストーン国立公園内のスティームボート間欠泉(地図)が、7月13日20時04分(日本時間14日11時04分)ごろから熱水や水蒸気を噴出し始めました。今年26回目の噴出です。

日付(現地時間) 間隔(日)
1 1月9日 14
2 1月23日 14
3 2月1日 9
4 2月12日 11
5 2月21日 9
6 2月28日 7
7 3月6日 7
8 3月15日 9
9 3月24日 9
10 4月2日 9
11 4月10日 8
12 4月27日 17
13 5月8日 11
14 5月14日 6
15 5月19日 5
16 5月23日 4
17 5月31日 8
18 6月3日 3
19 6月8日 5
20 6月12日 4
21 6月18日 6
22 6月23日 5
23 6月29日 6
24 7月3日 4
25 7月9日 6
26 7月13日 4


以下は、最寄りの地震計と、噴出した熱水が流れ込む川の流量の記録です:

昨年(2019年)のスティームボート間欠泉の年間噴出回数は48回で、正確な記録が残っている範囲ではこれまでで最多でした(昨年の噴出記録はこちらを参照してください)。


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地震予測の方程式


イギリスの研究者のチームが、岩石の動きを数学的な方程式に変換し、予測式を作成したとのことです:
  1. Using math formulas to predict earthquakes
  2. New equation helps predict earthquakes better

以下は、上掲の2つの記事の一部を機械翻訳したものです(私のテキトー訳よりも自然な日本語になっています)。文中にある「フィロケイ酸塩」とは、雲母類や粘土鉱物などで、SiO4正四面体が二次元的につながり、平面的網状型の結晶構造を持っています:

[1]計算式を使って地震を予測する
(前略)

大地震がいつ発生するかを予測する方法を見つけようと、過去数十年にわたって多くの時間と労力が費やされてきましたが、これまでのところ、そのような努力は足りていませんでした。今回の新しい取り組みでは、研究者たちはこの問題に数学を使った別のアプローチを取りました。

研究者たちは、ある種の岩石が地震に重要な役割を果たしているという証拠から研究を始めました。これらの岩石はフィロケイ酸塩と呼ばれるグループを構成しており、シート状またはプレート状に形成されています。地震は、このような岩石が互いに滑り合うことで起こると理論的には示唆されています。研究者らは、このような滑りには摩擦力が重要な要素であることを指摘しています。摩擦力とは、シートやプレートの一方を別のシートやプレートに押し付けるのに必要な力と定義されています。そして、摩擦強度は計算できるものです。研究者たちは、有用な計算を行うために、多くのフィロケイ酸塩のサンプルと、さまざまな条件下でのフィロケイ酸塩同士の相互作用を研究しました。研究者たちは、直接試験できない地下深くでのフィロケイ酸塩の挙動を説明する式を作成するために、学んだことを利用しました。次に、湿度レベル、断層の動き、断層帯での地盤の移動速度など、他の変数を考慮に入れました。この式を使って多くの作業を行った後、研究者たちは、与えられた場所でいつ地震が発生するかを予測するために、現実の状況で使用できると信じている式を開発しました。

(後略)

[2]新しい方程式が地震の予知に役立つ
(前略)

地震は、地殻の最も弱い部分の断層に沿って移動している間に発生します。地殻には通常、フィロケイ酸塩という鉱物が含まれています。

(中略)

断層帯は通常、フィロケイ酸塩の濃度が高い場所に形成されます。そこで科学者たちは、実験室では不可能な条件でフィロケイ酸塩の摩擦力を予測できるようにモデルを作成しました。

彼らは、人工亀裂のゾーンをミクロのスケールで分析した。これは、実験中に発生したプロセスを特定するために必要だった。白金フィロケイ酸塩鉱物の分裂についてです。

科学者たちは、このデータに基づいて、フィロケイ酸塩の摩擦力が湿度であろうと断層の速度であろうと、さまざまな条件でどのように変化するかを予測するために、一連の方程式を定式化しました。これにより、実験室にはない条件での予測が可能となり、地震を含む自然条件での断層運動のモデル化が大幅に簡素化されました。

2020年7月12日日曜日

有感地震の最長空白期間


気象庁が公開している1919年以降の全有感地震データでは26日間、高感度地震観測網が整備された1996年以降に限ると約98時間。2018年は約52時間、2019年は約50時間:

ストーンヘンジと夜光雲とNEOWISE彗星


ストーンヘンジ上空の夜光雲とNEIWISE彗星:



初めてイギリスに出張したときのことを思い出します。イギリス南部のウィンチェスター市に宿泊していたのですが、ストーンヘンジ(地図)が意外に近く(直線距離で約40km)にあることに気づき、休日に一人で車を運転して見に行きました。時折小雨の降る寒い日でしたが、迷うことなく目的地に到着。

天候のせいもあってか他の観光客が少なく、寂しい雰囲気の中でゆっくりと遺跡を見学できました。感心したのは、観光案内所や土産物販売所が窪地のような所に設けられていて周囲からは見えず、ソールズベリー平原の中に立つストーンヘンジの景観を壊さないように配慮されていることでした。

イギリスは日本と同じで自動車は左側通行ですので、ラウンドアバウト(環状交差点)への進入のタイミングにさえ慣れてしまえば、アメリカの場合よりもストレスが少なく運転できます。ただ、街中は道幅が狭いので気をつかいますが。


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初動の押し・引き分布


高密度で配置した地震計が捉えた地震初動の押し・引き分布:


『平成12年鳥取県西部地震』の余震の初動分布であろうと思われます。同地震は2000年10月6日発生。M7.3、最大震度6強。『理科年表』には、「M7級の地殻内地震にもかかわらず活断層が事前に指摘されておらず、明瞭な地表地震断層も現れなかった」とあります。

リンク先の論文 "Non‐Double‐Couple Microearthquakes in the Focal Area of the 2000 Western Tottori Earthquake (M 7.3) via Hyperdense Seismic Observations" の "Plain Language Summary"(平易な言葉によるまとめ)をテキトー訳すると次のようになります:
地震は、2つの岩盤の間の相対的な滑りによって、周囲の岩石が壊れることで発生します。発生過程の特徴から、岩石がどのように変形したかを知ることができ、地震発生の理解を深める上で重要です。私たちは、2000年に発生した鳥取県西部地震という大地震が発生した地域での小規模な地震を、超高密度地震観測データを用いて調査しました。観測では、1km間隔で1,000個のセンサーを設置しました。その結果、小さな地震が、断層面に沿う滑りだけでなく、引張応力による亀裂の形成を誘発することがわかりました。このような亀裂の形成は、局所的な高圧流体か、その地域の亀裂の開きやすさ、あるいはその両者によって説明できます。これまでの研究によれば、どちらの可能性も今回の大地震の発生に関係している可能性があります。したがって、私たちは、岩盤は流体の浸透と強い揺れによって破壊したとの結論に至りました。

2020年7月11日土曜日

湧水の池が9年ぶりに満水 ― 静岡県三島市


7月10日、静岡県三島市の市立公園「楽寿園」(地図)内にある小浜池が、2011年以来9年ぶりに満水となりました。小浜池の水源は富士山からの湧水ですが、最近は涸渇傾向が続いています。

「湧水は富士山からポンプのように押し出される地下水が数年程度かけて小浜池に到達するとの説がある。かつては絶えず湧水が池をたたえ、源兵衛川など周辺の川に注いでいたが、最近は減少傾向が続いている」(静岡県地学会東部支部):

以下は、楽寿園の小浜池を取り上げた過去の記事です:

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双頭のハスが開花 ― 和歌山県みなべ町


和歌山県みなべ町にある鎌田池公園(地図)の池で、1本の茎に2つの花が付いた「双頭蓮」が見つかりました。7月10日に散ってしまったとのことです。

「ハスは一本の茎の先に花芽のようなものが4つでき、通常は3番目だけ咲くが、まれに4番目も咲くことがあるという。養分が関係するといわれているが、詳しいことは解明されていない」「非常に珍しいといえます」(和歌山大賀ハス保存会):

以下は、これまでにこのブログで取り上げた双頭連の事例です:

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宏観異常情報の収集開始 ― 高知県 (続報-41)


高知県庁のウェブサイトに掲載されている宏観異常現象の報告受付件数の表が 7月10日付で更新されています。

今回の更新では6月分が記入されていますが、宏観異常報告の受付数はすべての項目で「0」でした。


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2020年7月10日金曜日

豪雨で地震数減少


特に九州地方で顕著だったようです。

「九州地方では2019年に1日当たりの平均地震発生数が73.4回であったが、07月03日から08日までの平均地震数は43.0回と平均の半分近くにまで落ち込んでいた」、「岐阜県と長野県を含む中部地方では、04月下旬からの群発地震により地震数が際立って多い状態が続いていたが、07月08日の大雨特別警報前日の07月07日から地震数が急減していた」:

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東京群発地震 Tokyo seismic swarm (補足)


7月6日付「東京群発地震 Tokyo seismic swarm」の続報です。

以下は、ツイートのリンク先にある記事 "Magnitude-5.9 quake is the latest and largest in Tokyo seismic swarm" の主要部分のテキトー訳です。非常に日本語に直しにくいところがあり、誤訳しているかも知れません:
ここまでの発生状況

首都圏近郊で最近頻発しているマグニチュード5.0以上の地震は、壊滅的な地震発生のリスクの高さを際立たせている。2020年4月1日から6月28日までの間に、東京都心から100kmの範囲内でマグニチュード5.0以上の地震が6回発生しており、これは1950年以降のマグニチュード5.0以上の地震の年間平均発生率の2倍に相当する。この発生ペースが続くと、2020年末までに同様の規模の地震が14回も東京を襲うことになる。

上の地図の群発地震(赤い点)は、過去の地震(青い点)とほぼ同じ場所で発生しており、過去に滑ったのと同じ断層が昨今の群発地震の間も滑っていることを示している。過去と違っているのは、現在では、これらの断層がもっと高い頻度で活動していることである。現在の高い頻度での地震発生は、通常の発生頻度の変動範囲を超えているので、私たちは「緩やかな群発地震(mild swarm)」と呼んでいる。これに匹敵するのは2011年に発生したマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震の翌年だけであり、それは関東地方に大きく急激な歪みのパルスをもたらすものであった。

良いニュース、悪いニュース

マグニチュード5.0以上の地震の発生率がなぜ上昇しているのか、また、現在進行中の「穏やかな群発地震」がより大きな大災害の前兆である可能性があるのか否かはわからない。しかし、最も単純で、おそらく最も慎重な解釈は、中程度の規模の地震の発生率が高いほど、より大きな規模の地震の発生確率が高くなるということである。これは、小さな地震と大きな地震の比率が変わっていないことを前提としているが、私たちが知る限りにおいて、この前提は成立している。

私たちの解釈に対する反論は、より高い危険性(大規模地震発生の可能性増大)は、「緩やかな群発地震」が房総半島沖で記録されているような‘非地震性’のクリープが発生していることを示していることにある、と示唆している。もしマグニチュード5.0以上の地震が断層のクリープの加速を伴っているとすれば、そのクリープは断層の歪みを減少させる可能性がある。これは、Sommerville (2014) が提唱しているように、大規模地震の発生確率を低下させる可能性がある。

しかし,上記の解釈には問題がある。「穏やかな群発地震」のうちのいくつかは、1855年に江戸を破壊したマグニチュード7.2の安政江戸地震と同じような場所と深さで起きている。これが意味するのは、東京の地下の断層は、マグニチュード5.0の無害な地震を伴ってクリープするだけではなく、破断して強い地震を起こすのに十分な歪みを蓄積するので、再び強い地震を起こす可能性があるということである。太平洋プレートに対するスラブ片の推定スリップ率1.7インチ/年(~40ミリ/年)の半分が地震性であったとしても、1855年以降、9.8フィート(3メートル)のスリップに相当する十分な歪みが蓄積されており、マグニチュード7.2の深い地震がもう1回発生するのに十分な量である。

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