2016年1月18日月曜日

歌詞が現実になる? (その1)


手元に『一月一話 読書こぼればなし』(淮陰生著、岩波新書 54、1978)という古い本があります。なんの解題も付されていないので調べたところ、「淮陰生」は中野好夫氏(英文学者・評論家)のペンネームで、岩波書店発行の月刊誌『図書』に連載された随筆を1冊に収録したもののようです。

その中に「世は歌につれ……」という一節があり、世の中に流行した歌詞の内容が現実になった例(もちろん付会、こじつけです)をいくつか集めています。まず冒頭は ――
今年(昭和四十八年)の初夏ごろ、アノネノネとやらいうグループ歌手の唄う「赤とんぼ」なる歌謡(YouTube)がひどく流行った。 (中略) ところが、この夏、首都東京の空には、何年ぶりかで赤とんぼの大群が現れたという。ある週刊誌の記事によると、この歌謡の流行が、俄然これらの大群を呼んだのだとの話まで巷には流れたそうである。

(続く)