欧米でインターネット上にうわさが流布しています。日本でもすでに広まっているかも知れません。
さまざまなバージョンがあるようですが、3月25日に直径300m(半マイルとするものあり)の小惑星 DA2013cl2 が大西洋(カナダやメキシコとするものあり)に落下し、沿岸は巨大な津波で壊滅、生き残った人たちも数ヶ月のうちに死に絶え、人類は絶滅するというのが大まかな内容です。当局はパニックを避けるために真実を隠している、というお決まりの言い訳も添えられています。先月ロシアに落下した隕石(直径17m、重さ1万トン)も、この小惑星の一部が分裂したもので、3月25日には本体が地球に衝突するのだ、との尾ひれがついているものもあります。以下はうわさの一例です:
- Scientist confirms extinction event asteroid to hit earth (人類絶滅レベルの小惑星が地球に衝突することを科学者が確認)
このうわさは全くの作り話です。明快な反論が以下にありますので、翻訳しました:
- Yet Another Asteroid Hoax (There will be no Meteor Hitting Mexico this Month) (さらにもう一つの小惑星にまつわる作り話 ― 今月メキシコに隕石が落下することはありません)
現在、ある作り話が広まっています。ハーバート・レイモンド・ブラウン教授なる人物からのもので、DA2013cl2 という直径300mの小惑星が、3月25日に大西洋(あるいはカナダ、あるいはメキシコ)に衝突する、というものです。この衝突によって、数百万人が死亡し、残りの人類もその後すべて死に絶えるとされています。
これは作り話です。作り話であることはいくつもの証拠によって明らかです。
- 物語に添えられている写真は〝C/2011 L4〟パンスターズ彗星のものであって、小惑星ではありません。
- 〝DA2013cl2〟は実在の小惑星の名前ではありません。小惑星のうち、〝4 Vesta〟のような固有名を持つもの以外は、〝2012 DA14〟のように、年、アルファベットの識別子、数字の識別子を組み合わせて命名されます。〝2013 CL2〟という名前の小惑星は実在しますが、地球のそばにやって来ることはありません。〝2013 CL22〟という小惑星も実在しますが、2064年に地球に衝突する確率が 1千万分の1 とされており、うわさの内容とは合致しません。
- 直径300mの小惑星による衝突は、TNT火薬換算で1110メガトンのエネルギーを放出し、直径4.6kmのクレーターを形成する深刻なものですが、人類の文明を滅ぼすほどの威力はありません。白亜紀と第三紀の境目で衝突し恐竜を(少なくとも部分的に)絶滅に追いやった衝突天体は直径10km程度とされています。
- この作り話を広めているさまざまな投稿(書き込み)を別として、ハーバート・レイモンド・ブラウンという名の天文学教授は存在しません。
- 災害をもたらす可能性のある小惑星のリストには、(今のところ)いかなるハイリスクの小惑星も見当たりません。
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