2009年6月4日木曜日

地球と人類を救ったエーリアン

今から 101 年前の 1908 年 6 月 30 日にシベリアで発生したツングースカ大爆発は、いまだに原因がはっきりしていません。彗星が水平に近い角度で大気圏に突入し爆発したという見方が有力ですが、今ひとつ決め手がありません。このように科学がはっきりとした答えを見いだせずにいる分野には、疑似科学がはびこります。ツングースカ大爆発については以前から UFO と結びつける説が色々提示されてきましたが、新しい説が一つ加わりました。地球の破壊と人類の絶滅を防ぐため、エーリアンが自らの乗った宇宙船を突入させて隕石を破壊したというものです:
欧米のニュースサイトにはさまざまなバリエーションが掲載されていますが、以下のマケドニアのニュースサイトの記事が元になっているようです:
この説を唱えているのはツングースカ宇宙現象財団の Yuri Lavbin 博士。同財団が 2004 年に実施した爆心地への調査隊派遣で、異常な石英の結晶などさまざまな「証拠」が収集されたとのことです。複数の記事を通覧すると、同博士が提示している「証拠」は以下の 4 点です:
  1. 石英の結晶の表面に残る三角形の文様(上記記事中に写真があります)。同じ文様を石英の結晶の表面に作ろうとしたが、現在の地球の技術では不可能なことが判明。
  2. 石英の結晶のうち 10 個には、それらの結晶を鎖状につなげるための孔があいている。実際につなげてみると、地図のようなものが形成され、宇宙船の航法システムの一部であったと推測される。
  3. 地球上では形成されるはずのない“ferrum silicate”(鉄と珪酸塩の化合物)。
  4. 石英の結晶の表面に残る奇妙な人物の肖像。
たったこれだけの「証拠」で、エーリアンが地球を救うために自らを犠牲にして宇宙船を隕石に衝突させたという壮大なストーリーがなぜ展開できるのか、まったく理解に苦しみます。「浜の真砂は 尽きるとも 世にトンデモの 種は尽きまじ」(*)というのが私の感想です。

なお、 Lavbin 博士の写真は以下のブログに掲載されています:
(*)もとは「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」(大泥棒・石川五右衛門の辞世の句とされている歌)です。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency