2月28日付「2014年、彗星衝突か? (その2)」からの続きです。
以下は、NASAが〝2013 A1〟(サイディング・スプリング彗星)について発表している資料です:
- Comet to Make Close Flyby of Red Planet in October 2014 (2014年10月に彗星が赤い惑星の至近距離を通過)
以下は、上記資料の抜粋・翻訳(拙訳)です:
NASAジェット推進研究所(カリフォルニア州パサディナ)の地球近傍天体(NEO)プログラム・オフィスによる最新の軌道計算では、〝2013 A1〟(サイディング・スプリング彗星)は火星から30万km以内を通過しますが、この距離よりももっと火星に近いところを通過する高い可能性があります。NEOプログラム・オフィスが2013年3月1日までの観測結果にもとづいて推計したところでは、この彗星は火星の表面から約5万kmのところを通過します。この距離は、最外側を周回する衛星ダイモスと火星表面の距離の約2.5倍に相当します。[訳注:地球から月までの距離は約38万km、気象衛星や放送衛星などの静止衛星までは約3万6000km。]
科学者たちは2012年10月までの観測で得られたデータにもとづいてサイディング・スプリング彗星の軌道を計算しました。さらに多くの観測データが集まるにつれて、軌道計算の精度は向上します。現時点で言えることは、火星はサイディング・スプリング彗星が取りうる軌道の範囲内にあり、衝突の可能性が排除できないということです。しかしながら、衝突の可能性は現時点で600分の1未満であり、今後の観測がもたらすデータによって火星への衝突の可能性が完全に排除できることでしょう。
火星への接近中、サイディング・スプリング彗星は、火星上の探査機[訳注:オポチュニティやキュリオシティ]から見て0等級かそれ以上の明るさになると見込まれます。地球から見た場合、サイディング・スプリング彗星は肉眼で見えるほどの明るさにはならないと予測されますが、8等級ほどの明るさになるので、南半球では2014年の9月中頃に双眼鏡や望遠鏡を使って観測できるようになるでしょう。
サイディング・スプリング彗星は太陽系外側のオールトの雲から100万年以上の旅をしてやって来た、とNEOプログラム・オフィスの科学者たちは推定しています。短周期の彗星はたびたび太陽に接近するために揮発性のガスが欠乏していることが多いのですが、この彗星はそれをたっぷりを持っている可能性があります[訳注:長く立派な尾を引いて明るくなる可能性がある]。
(続く)