X線観測衛星 ROSAT の大気圏突入の時刻と場所について、ようやく DLR (ドイツ航空宇宙センター)が最終(?)発表をおこないました:
上記発表によると、ROSAT が大気圏に突入したのは日本時間で 10月23日(日)午前10時50分、場所はベンガル湾上空とのこと。
他の情報源によると、大気圏突入の場所はインド洋とベンガル湾の境界付近、セイロン島とスマトラ島の間、セイロン島から南東に約 900km の海上です(地図)。ROSAT の進行方向は北東なので、燃え残りの破片があったとすればアンダマン海やミャンマー南部に向かって落下していったと考えられます。
先月落下した NASA の衛星 UARS にしても、今回のドイツの ROSAT にしても、大気圏突入の時刻と場所を最終的に確認するまでに数日を要しています。しかも、その時刻や場所に曖昧さがつきまとっています。この点について、『New Scientist』の記事は次のように書いています:
GPS が普及しているこのご時世にもかかわらず、(大気圏突入の)精確な位置が発表されないことに対して、メディアには驚きと当惑が広がっている。しかし、STRATCOM(US Strategic Command、米国戦略軍)は、地球上のどこで弾道ミサイルが発射されてもその熱を探知することができる赤外線探知衛星(複数)を保有しているので、ROSAT がどこに落下したかを精確に知っている可能性が高い。
大気圏に突入した衛星が発する高熱は、それらの赤外線探知衛星によって容易に探知されるはずである。しかし、STRATCOM が知っていることをすぐに明らかにしたことはない(9月に NASA の UARS が落下した場所が明らかにされたのは 4日ないし 5日後のことであった)。そのような発表をおこなうことは、保有している探知技術についての手がかりを敵方に与えることになるからである。したがって、ドイツの航空宇宙当局も、STRATCOM がデータを公表する準備がすっかり整うまで待たなければならないであろう。
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