12月28日午後9時38分に茨城県北部、深さ11kmで発生した M6.3、最大震度6弱の地震(震央地図)の発震機構は、東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型とのこと:
正断層型というと私たちは地表近くで断層が生じるこの図のようなイメージを抱きがちです。しかし、実際に地震が発生しているのは地下10km前後の地下深くで、前後・左右・上下から大きな圧力がかかっています。そのような場所で正断層の原因となる引っ張る力がなぜ働くのでしょうか。また、地表近くとはちがって、周囲から大きな圧力で押さえつけられているので簡単に段差が生じるとも思えません。この点について、『活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること』(遠田晋次著、講談社ブルーバックス B-1995、2016年12月20日)では次のように説明しています:
「正断層は引張場で生じる」と簡単に説明しましたが、地中で岩盤が本当に引っ張られている状況はきわめてまれです。海中での水圧と同じく、地中でも深いほど岩石の荷重による圧力が増します。これを鉛直荷重圧(応力)とか封圧といいます。大地震の震源となる地下10キロメートルでは、約250メガパスカル(大気圧の2500倍)もの圧力がかかっています。
一方で、後述するプレート運動によって、日本列島には水平方向からの力が加わっています。引張場というのは、この鉛直方向からの加重圧が、水平方向からの圧力よりも大きな場合のことです。この場合に正断層が動きます。
結局、色々な方向からの力のベクトルを合成すると、引っ張る力が出てくるということのようです。
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