以下は、イギリスの『Daily Mail』紙のサイトに載っている記事です。ハクガン(snow goose)と呼ばれる渡り鳥が、繁殖地である北極圏のツンドラ地帯から、越冬地であるメキシコ湾沿岸まで渡る途中で、アメリカ・ミズーリ州の Squaw Creek 国定鳥獣保護区に大量集結した様子を、写真入りで伝えています:
上から 2枚目の写真をご覧ください。たくさんのハクガンが写っていますが、鳥の分布や一羽一羽の翼の向きなどに注目すると、全体として、画面下部の水平線の中央部あたりを中心にして「放射」しているように見えます。また、背後の雲にも同様の「放射」が見られます。
このように見えるのは、基本的には遠近法の効果によるものです。さらに、撮影に使用されたレンズが広角系であるため、いっそう遠近感や「放射」が強調されています。
広角系(焦点距離が短い)のレンズは遠近感を強調し、望遠系(焦点距離が長い)のレンズは遠近感を圧縮します。一般のデジタル・カメラについているレンズは広角系であるため、地平線から広がる雲を撮影すると、実際よりも遠近感が強く表れ、「放射」が誇張されます。地震前兆をあつかう掲示板などに投稿されている「放射状雲」の写真を見るときには、このような効果があることを考慮に入れる必要があります。
ちなみに、上記の写真が撮影された鳥獣保護区は、以前は私有の猟場だったのだそうです。アメリカはスケールが大きいです。ハクガンは、一時は個体数が減少していたのですが、現在は年率 5%超で増加し続けており、他の種を圧迫する恐れがでているとのことです。
こちらは、中国で撮影された渡り鳥の大群です。掲載されている写真はすべて、望遠系のレンズで撮影されたように思われます: