以下のGIF動画は、2015年11月14日から2016年4月13日までの5ヶ月間と、2016年4月14日から4月27日までの震央分布を交互に見えるようにしたものです。2015年11月14日は、薩摩半島西方沖でM7.1(北西-南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型)が発生し、津波も観測された日です。2016年4月14日は熊本地震の「前震」(M6.5)が発生した日です:
以下は、薩摩半島西方沖の M-T図です。縦軸がマグニチュード、横軸が日時です。2015年11月14日にM7.1が発生して以降、地震活動が活発になっていましたが、2016年4月に入ってやや地震活動に間が見られるようになっていました。そして、4月半ばに地震の空白期間が現れたのですが、その時に熊本地震が発生しました:
2015年11月14日に薩摩半島西方沖でM7.1が発生すると、それに呼応するように熊本県では地震活動が活発化していました。政府の地震調査研究推進本部が出した『2015年11月の地震活動の評価』(PDF形式)には、「2015年11月中旬から熊本県熊本地方の地殻内で地震活動がやや活発となり・・・」と書かれています。
薩摩半島西方沖から始まって、熊本、阿蘇、大分と、中央構造線に沿って東に震源が広がっているように見えます。歴史を振りかえると、慶長豊後地震(1596年)のように中央構造線沿いに別府湾、愛媛、京都と地震が連鎖した事例があるようです。また、以下の記事では、トルコ北部を走る長大な北アナトリア断層帯で起きる連鎖地震との類似も指摘されています:
福岡管区気象台の地震情報官は、「(中央構造線に)影響があるか、連動していくかなどは分からない。気象台としては地震活動を監視していく」と述べています:
薩摩半島西方沖は沖縄トラフの北端部にあたり伸張応力の場(引っ張る力が働く場所)となっています。その延長上にある別府-島原地溝帯も同様で、一連の熊本地震でも伸張応力にともなう横ずれ断層の露頭が多く見つかっています。遠い将来(数十万年後)、九州は別府-島原地溝帯に沿って引き裂かれ、間に海が浸入して2つの島に分裂するとも言われています。
震央分布図とM-T図の作成には地震活動解析システム(TSEIS)を使用しました。TSEISは気象庁により決定された地震カタログを使用しています。同システムについては以下を参照してください:
- 鶴岡 弘. WWWを用いた地震情報検索・解析システムの開発.情報処理学会研究報告;データベースシステム115-9, 情報学基礎 49-9, 65-70 (1998)
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