2016年4月22日金曜日

熊本の大地震が関西にも地震を呼んだ?


熊本で4月14日夜に「前震」が発生する前、関西ではおおよそ3日間にわたって地震の発生が止まり、熊本で「前震」が発生すると関西でも地震が多発し始めた、とする記事です:

掲載されているグラフを見ると、関西では、たしかに4月11日午後から14日夜にかけて地震の発生がなかったようです。もしこの現象が事実であるならば、大地震の予知にも使えるのではないかという希望がわきます。でも、ある地域での地震がこんなにはっきりとした形で止まってしまうことがありうるのでしょうか。

TSEISをつかって同じ範囲(北緯32.5~38度、東経132~138度)、同じ時期の地震(M1.0~9.9、深さ30kmまで)のM-T図を描いてみました:

上の記事に載っているグラフのような数日にまたがる地震の空白期は現れません。また、記事のグラフをよく見ると4月10日にM7.0に近い地震が発生しているように見えます。グラフ作成の過程でデータ処理に何らかの錯誤があったのではないでしょうか。


震源分布図の作成には地震活動解析システム(TSEIS)を使用しました。TSEISは気象庁により決定された地震カタログを使用しています。同システムについては以下を参照してください:
  • 鶴岡 弘. WWWを用いた地震情報検索・解析システムの開発.情報処理学会研究報告;データベースシステム115-9, 情報学基礎 49-9, 65-70 (1998)