2010年3月31日水曜日

水星と金星 ― 夕方の西空に

またぞろ UFO と勘違いする人がでるかも知れないので、簡単に書いておきます。最近、夕方の西空に水星と金星が明るく輝いています。

水星は、ほぼ真西の方向で、明るさは 0等級前後。日没時の地平線からの高度は、4月 9日に最も高くなり、20度弱になります。その後は徐々に高度を下げ、5月になると日の出前後に東の地平線に見えるようになります。

金星も、ほぼ真西の方向で、明るさはマイナス 4等級前後。日没時の地平線からの高度は、4月初めには水星と同じ程度です。その後は徐々に高度を上げて、6月には 30度近くに達します。

地平線近くにある天体は、水星や金星のような惑星であっても、大気のゆらぎによって瞬いたり、色や形が変わったりします。私自身は目撃したことがありませんが、ときには 2つに分かれて見えることもあるようです。特に金星は UFO と誤認されることが多く、流れている薄雲を通して金星を見ると、金星の方が移動しているように錯覚しがちです。

最近、アメリカ五大湖の一つ、エリー湖の上空に毎夜 UFO が出現するというニュースが流れました。多くの目撃者がいて、ビデオ映像にも記録され注目を集めました。TV のニュース番組では、航空関係者、軍関係者や NASA、あげくは UFO 専門家などにインタビューして、航空機や人工衛星の可能性はない云々などとやっていたようです。

しかし、私に言わせれば 「なぜ天文学者に問い合わせないのか」 の一言です。そうすれば、UFO の正体が金星であることがすぐにわかったのではないかと思います。おそらく TV 番組のスタッフの中にも気づいていた人が何人もいるのではないかと思います。なぜなら、複数の目撃証言の中に、「毎晩同じような位置に現れて、1~2 時間で見えなくなる」という情報が含まれていたからです。これは UFO の正体が金星であることを強く示唆しています。それに金星が見えるはずの位置と UFO が出現する位置が一致しています。目撃者が UFO だと言いはっても、「あなたが UFO を目撃したときに、金星はどこに見えていたか」と問えば、それ以上よけいな問答は不要でしょう。