2010年3月26日金曜日

宇宙の外側の宇宙

「宇宙の果てはどうなっているの」とか「宇宙の外側には何があるの」という疑問は誰しも一度は抱くのではないでしょうか。「数百個の銀河団が時速 360万キロで同方向に流れている」 という 「暗黒流動」(ダークフロー) が観測され、その原因は、銀河団が 「既知の宇宙の外側にある物質の重力によって、強く引き寄せられている」 という報告が学術雑誌 “The Astrophysical Journal Letters” に掲載されました:

記事では:
「ビッグバン直後に、物質の塊が既知の宇宙の外に押し出された」という理論の新たな裏付けとなる。これが正しいとすれば、私たちの住む宇宙は“多世界宇宙(multiverse)”というさらに大きな宇宙の一部ということになる。
と書いていますが、多世界宇宙の概念が出てきて混乱させられました。話が飛躍しているように思います。素人考えですが、多世界宇宙の中の各々の宇宙は独立した時空間を持っているので、時空間を媒介とする重力が一つの宇宙からもう一つの宇宙に作用するということは考えられないのではないでしょうか。

そうではなくて、光速度の有限性に起因する事象の地平(光で観測できる宇宙の限界)の外側にも宇宙は広がっており、そこに存在する質量が事象の地平の内側の銀河団にも重力的影響を及ぼしているということだろうと思います。記事の終わり近くに「既知の地平を越えたところに存在する物質に、銀河団が引き与せられている」と書かれており、上に引用した多世界宇宙云々の部分とは相容れないように思います。多世界宇宙云々の部分は、記事を書いた記者独自の解釈ということなのかも知れません。

多世界宇宙については、以下の資料を参照してください: