2009年1月31日土曜日

四川大地震はダムが原因 (?)

昨年5月に発生した四川大地震は、ダムが原因だったとの説が浮上しています。四川省地質鉱物局の主任技師ただ一人がその説を唱えていたのですが(政府や党などから相当な圧力があったのではないでしょうか)、中国科学アカデミーは否定していました。しかし最近、アメリカ・コロンビア大学の研究者が、その説に肯定的な発表をおこなったため、再び注目を集めています:
記事によれば、四川大地震の原因となったのは、震源から数キロのところに新たに建設された Zipingpu ダムです。このダムに貯水された数億トンの水の荷重が、歪みを蓄えていた最寄りの断層に影響し、大地震を引き起こしたとのことです(記事によっては、逆に Zipingpu ダムの水を抜いたことが直接のきっかけであると受け取れるものもあります)。しかし、ダムやその周辺の地震についての詳細なデータは中国政府によって統制されているので、真相の科学的究明は困難だと、ほとんどの記事が指摘しています。

この件に関しての詳細な解説は以下にあります:
上記記事によると、これまでにダムが原因であると一般に認められている M6 以上の地震は以下の4件だそうです:
  • Xinfengjiang(中国)
  • Kariba(ザンビア)
  • Kremasta(ギリシャ)
  • Koyna(インド)
また、RIS(reservoir induced seismicity)と RTS(reservoir triggered seismicity)とは区別されるべきものなのだそうです。日本語でどのように訳し分けたらよいのかわかりませんが、直訳すれば、前者は「貯水池が引き起こした地震」、後者は「貯水池がきっかけとなった地震」です。私の理解したところでは、前者は貯水池の水の荷重やその変動で地殻に歪みがたまったことによって発生した地震、後者は貯水池の水の荷重やその変動が既存の断層に影響して発生した地震です。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency