2009年1月10日土曜日

移動する海嶺、広がる南極プレート

Credit: U.S. Geological Survey

プレートテクトニクスを学び始めたばかりの人からよく出る質問に、「南極プレートは海嶺に囲まれていて、海溝がないのはおかしくない?」、「フィリピン海プレートには海溝があるのに海嶺がないのはどうして?」、「太平洋プレートがあるのに、『大西洋プレート』がないのはなぜ?」などがあります。

これらの質問が出る背景には、プレートの境界を非常に静的にとらえていることがあると思います。プレートテクトニクスの通俗的な解説書にはあまり書かれていないのではないかと思いますが、次のような動的な現象があることを理解できれば、上記のような疑問は氷解するのではないかと思います:
  • 海嶺や海溝が新たに生まれることがある。
  • 海嶺も海溝も活動を止めることがある。
  • 海嶺も海溝も移動する。
  • 海嶺が海溝に沈み込むことがある。
  • 海溝どうしがぶつかって、間のプレートが消滅することがある。
ちなみに上記南極プレートに関する疑問について、「グローバルテクトニクス 地球変動学」(杉村新、東京大学出版会)には次のように書かれています:

これら(アフリカプレートや南極プレート)は一部を除きほとんど拡大軸(海嶺)で囲まれている。もし拡大軸が動かないとすると、アフリカも南極もどんどん隆起でもしないと説明がつかないが、そういうことは決してない。これらの拡大軸の位置は、外へ外へと動いてゆき、アフリカプレートも南極プレートも、面積を拡げつつあるのである。このことが理解できないと、プレートの概念のポイントを把握したことにならない。

注:括弧内の文言は私(Nemo)が補足したものです。