これまでの地球の内部構造モデルでは、地球内部は大きく分けて
- 地殻(固体)
- マントル(固体)
- 外核(液体)
- 内核(固体)
以下は上記記事の概略です:
44億5千万年前、火星サイズの天体が地球に衝突した。当時の地球は誕生したばかりで、高温でほとんど融けた状態だった。衝突によって飛び散った破片が集まって月ができた。火星サイズの天体が衝突したとき、その天体の核は飛散せずに地球内部に留まり、地球本来の核のそばまで沈み込んだ。記事の中で、2つの内核が互いに逆方向に回転することによって、「背後からマグマを吸い込み、それを前方に吐き出す」とされている点について、イメージが湧きにくい方もおられるかも知れませんので、私流に少し説明します ――
太古の天体衝突によって月が形成されたとする説は、現在ひろく認められている。しかし、ほとんどの科学者は、2つの核は地球内部の途方もない高い圧力によって一体化してしまっていると考えている。
依然として内核は神秘的な場所である。最近、科学者は、内核が地球の他の部分よりも高速で回転していることを発見した。地震波がどのように鉄の内部を伝搬するかについての昨年おこなわれた研究では、核が明確な2つの領域に分かれていることが明らかになった。しかし、それ以上のことはほとんどわかっていない。
2人の研究者は、2つの内核があることによって、プレートテクトニクスの発生や、地球がその大きさから想定される温度に比べて今日もなお熱いままでいる理由、などを説明できると考えている。「もしこの仮説が真実であるならば、われわれが知っているすべての地球のモデルは変更を迫られる」、「もしこの仮説が間違っていて、2つの核が早い段階で合体してしまっているとしても、地球の初期に2つの内核が存在したと考えることによって、プレートテクトニクスがいかにして始まったかを説明できる」。
2つの内核は互いに逆方向に回転している。2つの内核は、その回転によって背後からマグマを吸い込み、それを前方に吐き出す。もし、この運動が十分に長い期間続いたならば、巨大な循環流が発生し、正面では地球表面のプレートを分裂させ、後方ではプレートをマントルの中に引きずり込む。
回転運動による摩擦が地球を熱く保つ。
研究者たちは、まだ状況証拠に基づく推測に過ぎないことを認めている。「まだ確固とした証拠はないし、(2つめの内核が)今も存在していると100%断定しているわけではない。地球の内部を調査するのは非常に困難だ。」
この仮説についてコメントを求められた科学者たちは、皆非常に懐疑的である。コロンビア大学 Paul Richards氏は、「地球の内核は、その体積や質量の観点から、地球全体に比べて非常に小さく、約1%しかない」、「内核の運動が、地表のテクトニックなプレートを動かす重要な役割を果たしているということは、非常に疑わしい」と語っている。
2つのボールを思い浮かべてください(ゴルフボール、テニスボールなど)。その2つのボールが接近して机の上に置いてあり、それを上から眺めている状況を想像してください。左側のボールは上から見て反時計回り、右側のボールは時計回りに回転しているとします(回転軸は机に垂直)。2つのボールの手前側にある空気は、2つのボールの回転に巻き込まれ、2つのボールの間を通り抜けて、反対側に放出されます(空気では粘性が弱いので、流動パラフィンをイメージした方が良いかも知れません)。このことによって、2つのボールの周囲に一定方向の流れが発生します。実際の地球では、この流れがマントル・プリュームとなって、「正面では地球表面のプレートを分裂させ、後方ではプレートをマントルの中に引きずり込む」というわけです。発表した研究者たちによると、この新しい仮説によって以下の点が説明できるとのことです:
- 太陽系内の地球型惑星の中で、なぜ地球だけにプレートテクトニクスが働いているのか。
- プレートテクトニクスはどのようにして始まったのか。
- 何がプレートを動かし始めたのか。
- なぜ、マントル・プリュームが発生するのか。
- なぜ、外核は液体なのか。
- なぜ、マントルの最深部に地震波の超低速度域が存在するのか。
- なぜ、地球の磁場は変化するのか。
なお、内核が予想以上に高速で回転していることについては、次の動画による解説が参考になります:
以下は、内核の回転についての別の説です。図2が興味をそそります:
冒頭で、今回発表された仮説について「にわかには信じがたい」と書きました。ウェーゲナーが大陸移動説を発表したとき、当時のほとんどの人たちも同じような感想を抱いたのではないでしょうか。