2021年8月15日日曜日

南サンドウィッチ諸島近海で M7.5、M8.1、M6.3

 
8月13日(日本時間)、南極大陸に近い南大西洋のサウス・サンドウィッチ諸島近海で大きな地震が相次いで発生しました。余震も多数発生している模様です:
 
以下は、M8.1 の地震について、米国地質調査所(USGS)の “Tectonic Summary” の主要部分をテキトー訳したものです:
2021年8月12日(日本時間13日)にサウス・サンドウィッチ諸島で発生した M8.1 の地震は、スコシア沈み込み帯の深さ約 48km のところで逆断層が動いたことに起因している。発震機構解は、北西に傾いた急峻な断層面か、南東に浅い角度で傾いた断層面のいずれかで滑りが生じたことを示唆している。なお、この場所では、沈み込み帯の境界が西に傾いている。
 
この地震は,北に約 90km、深さ約 63km の位置で発生した M7.5 の前震の約 3分後に発生した。
 
M8.1 の地震が発生した場所では、南アメリカ・プレートがスコシア・プレートとサウス・サンドウィッチ・マイクロプレート(広いスコシア・プレートの一部)の下に西向きに沈み込んでいる。南アメリカ・プレートは南サンドウィッチ・マイクロプレートに対して 1年に約 71mm の速度で沈み込んでいる。
 
この地震の深さと発震機構から、この地震は、2つのプレートの境界ではなく、沈み込んだ南アメリカ・プレートの内部で発生(プレート内地震)したと考えられる。しかし、2つの大きな地震が時間的に接近して発生したため地震波が重なり合っており、M8.1 の本震の断層メカニズムを精確に決定することは困難である。

地震は一般的には地図上の点として描かれることが多いが、今回のような規模の地震は、より広い断層領域でのすべりとして表現するのが適切である。今回の M8.1 のような規模の地震は、通常、150km × 75km(長さ×幅)程度の大きさである。
 
今回の一連の地震は、大西洋に 2つしかない沈み込み帯 —— 小アンチル海溝(北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の間)と南スコシア海溝(南アメリカ大陸と南極大陸の間)—— の 1つで発生しました。この 2つの沈み込み帯は遠く離れていますが、多くの共通点があります(プレート図のカリブ・プレートとスコシア・プレートを参照):
  1. 大きな大陸に挟まれた海峡のようなところに存在している。
  2. 東向きに凸な形をしている。
  3. 大西洋側の海洋プレートが西向きに沈み込んでいる。
  4. 両海溝はかつては今より西に位置していたが、東進して現在地に至っている。
  5. 海溝の南北両端は、東西方向に伸びるトランスフォーム断層へと変化している。

カリブ・プレートと小アンチル海溝の起源については定説に近いものがあるようですが、スコシア・プレートと南スコシア海溝は人跡まれな場所にあるため、あまり研究が進んでいないようです。
 
 蛇足ですが、「サウス」がつかないただのサンドウィッチ諸島はどこにあるでしょうか?(
 
 
関連記事