以下の記事に記載されている 3つの火山は以前から噴火を含む活発な活動を続けており、周辺を飛行する航空機のエンジンに影響する恐れがあるとして注意報が出されたこともたびたびです。なぜ今頃になって唐突に以下のような記事が掲載されたのか不可解です。これらの記事を見て、桜島や霧島山(新燃岳)に続いてカムチャツカ半島でも新たに火山噴火が始まったという誤った印象を持たないようにして頂きたいと思います:
- “Orange” threat posed to Kamchatka Region (“Voice of Russia”)
- 噴火活動が活発化するカムチャッカ半島 (“Voice of Russia”)
- Russian volcano erupts sending ash four kilometres high (英国BBC、動画あり)
上記「2」の記事は「1」を翻訳したものですが、冒頭の “3 volcanoes have started erupting …” (現在完了時制) を 「3つの火山が噴火を始めた」 と訳すなど、誤解を招きやすい内容になっています。「3」の記事は、おそらく 「1」 に触発されて書かれたものだろうと思います。
上記記事に登場する 3つの火山のうち、シベルチ山(Shiveluch、地図)とカリムスキー山(Karymsky、地図)は少なくとも過去10年間、ほとんど途切れることなく噴火を含む火山活動を続けています。キジメン山(Kizimen、地図)は昨年 11月 11日に激しいガスや蒸気の噴出が目撃されて以降、活発な状態が続き、噴煙を数千メートルの高さにまで噴き上げて航空機に対するカラー・コードが “RED” に引き上げられることが何度か起きています。
また、記事中で 1956年の大噴火が取り上げられているベズイミアニ山(Bezymianny、地図)は昨年 6月 1日に爆発的噴火をし火砕流が発生、11月下旬には溶岩の流出が確認されています。
現在、3つの火山の航空カラー・コード(Aviation Color Codes)は、すべて “ORANGE” になっています。
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