2016年11月13日日曜日

地震雲と放射状雲


風と雲のことば辞典』(講談社学術文庫)を買ってきました。書名の通り、風や雲にまつわる言葉を集めた辞典です。「風の伯爵夫人」、「舞台風」、「死霊風」、「問答雲」、「雲の便り」、「白雲幽石を抱く」、「雲は竜に従い、風は虎に従う」など、あまり耳にすることのない言葉も数多く集められていて、読み応えがあります。

地震予知関係では「地震雲」と「放射状雲」が掲載されていますが、「地震雲」に傾倒している人にとっては残念な解説となっています。

地震雲 じしんぐも
科学的には認められていないが、大空にできる帯状の雲を<地震雲>と呼ぶ人がいる。地震の前に発生する電磁波が雲を作るというのだが・・・・・・? (以下略)

放射状雲 ほうしゃじょううん
風の吹く方向に沿って平行に並んだ何本かの帯状の雲。地上から見上げると、遠近法によって一点から放射状に広がっているように見える。高度数万キロの人工衛星から見下ろせば、平行に見える。

よく「雲が・・・の方向に集束している」という類いの掲示板投稿を見かけます。その方向に震源があり地震が起きそうだということなのですがどうでしょうか。観測者から遠ざかる方向に集束している事例ばかりで、逆に観測者の上空に四方八方から雲が集束してきているという報告を見かけないことが、雲の集束で地震予知ができるという主張の怪しさを物語っています。震源が海域にある場合などを考慮しても、もう少し後者のタイプの報告があってもよいはずです。