2009年11月11日水曜日

科学と国防

一昨日の記事「カール・セーガン・デー」の末尾で、セーガン博士の著書『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』(新潮社)から私の好きな逸話を一つ紹介しました。実はその記事を書いたとき、もう一つ紹介したい逸話が頭の中にあったのですが、出典がわからないので控えていました。

私の記憶では、セーガン博士のいずれかの著書に載っていたはずなのですが、どうも記憶違いだったようです。『破局のシンメトリー』(ポール・プロイス、早川書房)が出所です。以下に引用します:
フェルミ国立加速器研究所の 1974年 5月の開研式典(デディケイション)のとき、招かれてここを訪れた某上院議員が、「この高価な施設はアメリカの国防にどれほど役に立つのか?」という皮肉な質問をしたところ、ウィルスン所長(初代研究所長 ロバート・R・ウィルスン博士)は即座に「何も。そのかわりこれは、アメリカを守る価値のある国とするために役に立つ」と答えたという。
民主党政権は科学技術分野の予算を削減しようとしているようです。科学技術については、短期間での成果の多寡や効用の有無といった近視眼的な評価基準で予算を削ると、後で必ず、減らした額以上のしっぺ返しを国や国民が受けることになると、私は思います。評価に際しては、どうか長期的な視点や世界的な視野(中国やインド、その他の国々との生存競争など)を忘れないで頂きたいものです。