2016年10月11日火曜日

フィクシスト


火星の生命と大地46億年』(丸山茂徳、ビック・ベーカー、ジェームス・ドーム著、講談社、2008)から:
火星の研究は、探査機を送り込み、それに搭載した測定機器を設計した研究者を中心に成果が語られている。彼等に共通した見解は「フィクシスト―大地は基本的に安定で上下運動の変動のみで進化した」そのものである。これは地球の造山運動がプレート運動によって統一的に説明することができるという、1960年代後半におきた革命的論争前夜の状況を彷彿とさせる。

著者の丸山茂徳氏はプリュームテクトニクスの提唱者です。ベーカー氏とドーム氏は、惑星科学のメッカであるアリゾナ大学の教授と研究者です。同書の内容は、これまでに判明している火星の地形や表面の成分について、プレートテクトニクスやプリュームテクトニクスで説明しようとするものです。全8章のうち、冒頭の3章は有人火星探査によって火星の大地の歴史を解明し、生物の化石の発見に至るまでを描いたSF小説になっています。