2015年2月25日水曜日

富士山の地磁気に変化


2月24日、第131回火山噴火予知連絡会が開かれました。以下はその際に使われた資料の1つですが、124ページ目「富士山における全磁力連続観測結果」に、富士山の地磁気について興味深い観測データのグラフが掲載されています:
Credit: 国土地理院・東京大学地震研究所

国土地理院と東京大学地震研究所は、富士山頂より北側に3ヶ所、南側に1ヶ所の地磁気の観測点を設けて、全磁力の観測をおこなっています。1番上から3番目までのグラフは山頂より北側の観測点、4番目のグラフは山頂より南側の観測点のデータを表しています。グラフの横軸は、2012年10月1日から2015年1月31日までの期間を表しています。2014年10月から2015年1月のデータに関しては、「ノイズの簡易修正のみ行った暫定値」とのことです。

グラフから読み取れることをまとめると以下のようになります:
  1. 1番目と4番目のグラフには毎年4~5月ごろをピークとした「うねり」が見られますが、これは年周変化とみられるそうです。

  2. 1番目と2番目のグラフには、右肩上がりの傾向(1年あたり2ナノ・テスラ程度)が見られます。1番目、2番目と同じく山頂の北側の観測点のデータを示す3番目のグラフにはこのような傾向が見られないので、「ローカルな変化が起きていると考えられる」とのことです。

  3. 山頂北側の3つの観測点のデータ(1番目、2番目、3番目のグラフ)では、2015年1月に突然1ナノ・テスラ程度の減少が現れています。

上の(2)と(3)については、「精察とともに今後も推移を見守る必要がある」とのことです。

全磁力が、山頂よりも北側で増大し南側で減少するのは、山頂直下の温度が上がり熱消磁が起きていることを示していますので、(2)で述べた右肩上がりの傾向は気になります。

また、(3)で述べた、今年1月に山頂北側の3観測点で観測された全磁力の減少は何を意味しているのでしょうか。全磁力の変化は、熱消磁だけでなく地下の圧力の変化によっても生じることがあるとのことですので、やはり気になります。

全磁力観測については以下の資料を参照してください:

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