冥王星(および太陽系外縁天体)探査機「ニュー・ホライズンズ」は、あと10日ほどで海王星の軌道を横切ります。
ニュー・ホライズンズが撮影した冥王星とその最大の衛星カロンの動画がNASAのウェブサイトで公開されています。7月19日から24日にかけて撮影された12枚の画像をGIF動画にしたものです。撮影時の冥王星までの距離は4億2900万km~4億2200万kmです(地球-太陽の距離は約1億5000万km):
- A Moon over Pluto (GIF動画)
- A Moon over Pluto (Close up) (GIF動画)
冥王星の直径は2300~2400km、カロンの直径は1200km程度で、カロンは冥王星の表面から1万8000kmのところを周回しています(地球-月の距離は約38万km)。冥王星には5つの衛星が発見されていますが、カロン以外の4衛星は小さく暗すぎて上の動画には写っていません。
冥王星が揺れ動いている点に注目してください。惑星の周りを衛星が回転する場合、惑星も衛星も両者の共通重心の周りを回転します(説明図)。ふつうは、惑星の質量の方が圧倒的に大きいため、共通重心は惑星の内部ににあり惑星自身のふらつきはそれほど顕著ではありません。しかし、冥王星系の場合は、カロンの質量が冥王星の11%ほどもあるため、両者の共通重心が冥王星の表面より外側にあり、冥王星のふらつきが大きくなります。ハンマー投げの選手がハンマーをもって回転している様子を想像するとよいでしょう。選手が惑星、ハンマーが衛星です。
現在、ニュー・ホライズンズは冥王星まで約4億km、地球から44億kmのところを飛行しています。地球からの指令電波が探査機に届き、応答が地球に返ってくるまで往復で8時間8分ほどかかる距離です。
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