8月24日、オクスフォード大学のチームが、おおぐま座にある M101 星雲の中に超新星を発見しました。この超新星は、9月7日から8日(日本時間では8日から9日)にかけて最も明るくなり、双眼鏡や小口径の天体望遠鏡でも見えるようになると予想されています:
- Nearest supernova of its type in 40 years, say scientists
- Supernova 'brightens up' 7-8 September
- M101と超新星〝SN 2011fe〟の拡大写真
発見された超新星〝SN 2011fe〟(暫定名は〝PTF 11kly〟)は、Ia型。このタイプの超新星はピーク時の明るさ(絶対等級)が理論的に明らかになっているため、それを地球から見たときの見かけ上の明るさと比較することによって、超新星爆発が起きた銀河までの距離が計算できます。一方、この銀河のスペクトルが示す赤方偏移からは、この銀河が地球から遠ざかっていく後退速度が判明します。銀河までの距離とその後退速度がわかれば、宇宙の膨張速度を示すハッブル定数を求めることができます。
M101星雲までの距離は、資料によって大きな差があります。理科年表には1900万光年との記載がありますが、Wikipediaでは2700万光年、AstroArtsのメシエ天体ガイドでは2300万光年となっています。今回出現した超新星の観測によって、精確な距離が求められると良いのですが。
M101星雲は北斗七星の柄(熊の尾)の先端近くにあります(星図、星図)。空があまり暗くない場所では、M101(光度 9.6等級)が微かすぎて見えず、超新星だけが見えることもあると思います。
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