昨日の「エレーニン彗星が『空中分解』」という記事の補足です。
往生際の悪い doomsayer や fearmonger の面々の中には、核が分裂するということ自体がエレーニン(エレニン)彗星が特別な天体であることの証であるだの、分裂した破片が地球に降り注ぐからさらに危険性が高まっただのと主張する向きもあるようです。さらには、エレーニン彗星が危険だったからこそ、NASAがロケットを極秘裏に打ち上げて彗星を破壊したのだ、といったまったく根拠のない話も出る始末です。
彗星が分裂したり消滅したりすることは珍しくありません。周期彗星は一定の周期で太陽に近づきますが、そのたびに物質を宇宙空間に飛散させて核がやせ細っていきます。そして、最終的には消滅してしまうか、核の岩石質の部分だけが残って小惑星のような天体になり、尾を引かなくなります。時には、1回太陽に近づいただけで消滅してしまう彗星もあります:
彗星の核の性質については以下に説明があります:
ほかの天体と接近遭遇したり衝突したりして核が分裂・飛散したのならいざ知らず、今回のエレーニン彗星のように核が自壊した場合には、分裂後の個々の核は基本的に同じ軌道を描きます。したがって、破片が地球に降り注ぐようなことはないと考えられます。
彗星の核が分裂している様子をとらえた写真を集めてみました:
- 親子のような彗星を撮影 石垣天文台、同一軌道巡る
- 石垣島天文台、「親子彗星」を発見 同じ軌道に乗り移動
- 消失してしまった LINEAR彗星 (C/1999S4)
- 百武彗星の分裂
- すばる望遠鏡、「分裂彗星」の破片を50個以上とらえていた
- Hubble Provides Spectacular Detail of a Comet's Breakup (ハッブル宇宙望遠鏡が彗星分裂の詳細をとらえた)
- ドゥトイト・ニェウイミン・デルポルト彗星の核が分裂して20個に
- シュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星、分裂核がさらに分裂
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