ハーバード・メディカル・スクールが行った実験の映像です。
約60cm×120cmの長方形の寒天培地が、等しい幅の9つの帯に分けられています。左右両端の帯は通常の寒天培地。その内側の帯の培地は、バクテリアが生存できる限界よりわずかに高い濃度の抗生物質を含んでいます。さらに内側の培地にはその10倍、100倍、そして中央の培地には1000倍の濃度の抗生物質。
抗生物質が含まれていない左右両端の培地で増殖したバクテリア(大腸菌、E.Coli)は、隣の抗生物質を含んだ培地にはなかなか侵入できずにいます。しかし、しばらくすると培地の境界付近の一点で抗生物質に対する耐性を獲得した突然変異体が出現し、抗生物質を含む培地に広がりはじめます。他の場所でも同様の耐性を獲得したバクテリアが次々に出現し、侵入。抗生物質を含んだ培地はすぐにバクテリアで埋め尽くされます。
同じようにして、10倍や100倍の抗生物質を含む帯もバクテリアは突破し、最終的に中央の1000倍の帯もバクテリアに「征服」されます。それまでに要した時間は約11日:
抗生物質に対して感受性を持つ(抗生物質が治療に有効な)バクテリアが、突然変異の累積によって、極度に高濃度の抗生物質に対する耐性を短期間で進化させるという恐ろしい事実を実感させる動画です。
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