12月9日午後5時40分ごろから箱根山の大涌谷(地図)で発光現象が観測されましたが、硫黄などの燃焼によることが確認された、とのことです。気象庁は「火山活動の活発化によるものではありません」と発表しています:
NHKの報道では「温泉の供給設備の周辺にたまっていた硫黄が何らかの原因で燃える火事」としています。いずれにせよ、なぜ硫黄に着火したのかは判明していません。
興味深いのは上記「火山活動解説資料」の記述の不自然さです。発光現象が起きた場所について大涌谷とは明言せず、「箱根小塚山北東に設置した遠望カメラで」発光現象が観測されたとしか述べていません。また、「箱根町及び神奈川県温泉地学研究所からの情報によると、硫黄などの燃焼によることが確認されました」と書いているのですが、ここでも燃焼があった場所を書いていません。さらに、発光現象の写真につけられているキャプションでも場所を明記していません。発光現象があった場所を大涌谷と特定することを意識的に避けているようです。
他の火山でも過去に硫黄の燃焼がありましたが、その際には場所がはっきりと発表されていました:
- 十勝岳で火口異変 ― 北海道 (続報) (12年7月2日)
- 倶多楽・大湯沼で有毒ガス発生 ― 北海道登別市 (14年4月2日)
今年6月に大涌谷で噴火があったとき、気象庁はそれをなかなか認めようとしませんでした。噴火という言葉を意識的に避けているようでした。今回の「火山活動解説資料」もその時と相通じるバイアスがかかっているように感じます。
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