2015年6月10日水曜日

蔵王山に噴火警報 (続報-4)


4月24日付「蔵王山に噴火警報 (続報-3)」の続報です。

仙台管区気象台が、蔵王山(地図)に出されている「火口周辺警報(火口周辺危険)」を解除する検討を始めたとのことです:

地元の観光業界などから早期解除を求める声が相次いでいるそうです。気になるのは、現在は事務方を中心に構成されている火山防災協議会のメンバーを村井知事ら首長クラスに格上げする方針が示されたという点です。噴火警戒レベルの設定や解除に、これまで以上に地元政界や経済界の意向が強く反映されることになるのではないかと懸念されます。

ことあるごとに地元は「風評被害」という錦の御旗を持ち出しますが、観光客の安全が二の次にされているように感じます。昨今の箱根山の火山活動では、地元の首長である神奈川県知事や箱根町長が、内閣官房長官、気象庁、報道機関などに対して、風評被害を防ぐために「箱根山」の名称を使わないようにという馬鹿げた要請したことは記憶に新しいところです。

最新の「平成27年 No.23 週間火山概況 (平成27年5月29日~6月4日)」には、蔵王山について「火山活動はやや活発な状態で推移しています」として、「大きな噴石に警戒してください」、「風下側では火山灰や小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください」と書かれています。

また、国土地理院は6月8日、「蔵王山周辺の基線で、2014年10月頃から小さな膨張性の地殻変動が見られます」と発表しています:

以下の表は、2013年1月22日に蔵王山で観測開始以来初めてとなる火山性微動が発生してからの推移をまとめたものです:

月日 事象
2013年
1月22日
火山性微動、観測開始(2010年9月1日)以来はじめて
1月27日 火山性微動
4月5日 低周波地震が一時的に連続して発生
4月5日
~11日
東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化
4月7日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 3分20秒)
4月9日 火山性微動(継続時間 4分20秒)
4月21日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 5分40秒)、低周波地震が一時的に連続して発生
6月4日 火山性微動(継続時間 2分20秒)
7月17日 火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月18日 坊平観測点と東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月31日 火山性微動(継続時間 5分40秒)
10月19日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 16分57秒)
10月23日 火山性微動(継続時間 1分30秒)、直後に計測基準未満の火山性微動も。その後、23日05時ごろから24日08時ごろにかけて火山性地震がやや多い状況
11月1日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 2分30秒)。火山性微動の発生後に微小な火山性地震。10月下旬以降、火山性地震がやや多い状況。
12月4日 火山性微動(継続時間 3分40秒)。微動発生前後に低周波地震が4回発生。火山性地震もやや増加。
12月8日 坊平観測点および蔵王観測点で傾斜変動、直後に火山性微動(継続時間 8分)。火山性地震はやや増加した状態で推移。
2014年
1月3日
火山性微動(継続時間 1分)。微動発生後に火山性地震が4回発生。
8月6日 火山性微動(継続時間 8分)。微動発生後、御釜直下付近の浅いところを推定震源とする火山性地震がやや多い状況。全て低周波地震。7日にかけて55回発生、8日になって減少傾向。火山性微動発生の前から傾斜計に南東(山頂の南側)上がりの変化、9日13時ごろに終息。
8月8日 火山性微動(継続時間 短い)
8月10日 火山性微動(継続時間 短い)
9月4日 火山性微動(継続時間 短い)
9月30日 火山性微動(継続時間 4分)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。微動発生後の30日19時ごろから10月1日17時ごろにかけても、南東上がりの傾斜変動。10月1日6時ごろから2日14時ごろにかけて火山性地震が9回発生し、一時的にやや多い状況。
10月5日 火山性微動(継続時間 短い)
10月8日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
10月9日 火山性微動(継続時間 短い)
10月10日 火山性微動が2回発生(いずれも継続時間短い)
10月19日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
11月18日 火山性微動(継続時間4分超、周期の長い成分を含む)
11月19日 火山性微動が3回発生(継続時間約7分30秒、1分30秒超、1分超)、1番目の微動は、これまでと比べて規模が大きく、南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動が先行、微動発生直後に南東下がりの変動。
12月19日 火山性微動(振幅大きい、継続時間約1分20秒)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。
12月29日 火山性微動(継続時間約1分40秒)、微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。
2015年
1月19日
火山性微動(継続時間約3分40秒)
2月11日 火山性微動(継続時間約2分20秒)
4月9日 火山性微動(継続時間約1分20秒)
4月19日 火山性微動(継続時間約1分30秒)
4月20日 火山性微動(継続時間 短い)
4月23日 火山性微動(継続時間 短い)
5月17日 火山性微動(継続時間 短い)


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